クラゲと彗星蘭

色を無くした、かつて天才と言われた天川夢乃（あまかわゆめの）。
彼女は大人たちの下心ある評価に嫌気をさして絵を描かなくなってしまった。
もう二度と描かないと決めた夢乃の元に、彼女に色をもらった一つ下の後輩、海崎叶恵（うみさきかなえ）が声をかける。
描いて欲しいと何度も夢乃にいう彼女に対し、夢乃は何度も何度も拒絶をする。だけどその拒絶はひどく中途半端だった。
その理由は、色のない夢乃の世界に唯一彼女の瞳に色がついていたからだった。
心のどこかで、夢乃は彼女が自分にとって何か意味のある人物ではないかと思っていた。
ひどい言葉を投げかけながらも、夢乃は叶恵が近くにいることを許していた。だけど、絵の話題になれば拒絶するように彼女から離れていく。