小さな執事はお好みですか?それともお強いお嬢さんがお好みですか?
特に他意は無いのです、暇ではないですが、書きたくなりますた。
ジャリィィィィィィン!!
ッパァァァァァァァン!!
ッドン!
ッグワァァッァ!!
パキィィィィン!
コォォォォォォォォン!!
ザザザザザ!!
スススス!!
お互いの剣は弾かれ弾き、お互いの足音とパリィで生じた振動音が鼓膜を揺らす。
何度お互いの剣をパリィしただろう。
お互いに腕はしびれ、不思議な感覚が右手を支配していた。
俺は左わきに剣を構え、腰を落とす。
対峙する剣は上段。
ダッッッ!!
ザッッッ!!
下げた左足をグッっと力を籠め、蹴り上げ、地を駆ける。
それと同期したように上段から繰り出された剣は、俺の剣と交錯し、火花を散らす。
交錯し鍔迫り合いになる前に地面をまた蹴り上げ、体を捻ねる。
剣を手首を返して抜いて行き、その回転の力を剣に伝え、剣を振るう。
すると剣腹を掬うように、切り上げられる。
体を一瞬右に倒して直撃を避ける。
風でなびいた短髪の一部が剣に掠り、はらはらと落ちる。
「だー!負けたぁー!!」
「お疲れ、シオン」
「強すぎだろ・・・メリーはよ・・・」
殺気の太刀筋とは打って変わってふんわりとした雰囲気を醸し出すのはメリー、本名メクリーヌ・スザンティス。勇者の一族の一柱で、戦士、いや男として育てられてきた。齢は13歳、女の子だ。
そしてさっき負けた無様な俺は、シオン・ラタゥユ。特技、子守りと家事。年は13歳。今はスザンティス家のメイド長をやっている。それの対価に少しの給与と剣技を教わっているわけだ。
さっきの練習は、パリィと桜華という技の練習。
パリィはいわゆる弾き。
剣腹を目掛け、または重心の乗っていない刃面を目掛けて剣を当て、弾き返し攻撃の起点にするというモノ。
桜華は、いなし技。
パリィされた勢いを全身を使って自分の剣戟の力へと変えるモノ。これまた難しい。
「さて、お風呂に入りますか」
「分かりました、メクリーヌ嬢」
「もう、止めてってばぁ」
俺は執事モードになると口調を改め、相性ではないく真名を呼ぶ。
「そうもいきません、ドレスも汚れてしまいましたね。お払いします」
「・・・///」
無言で払ってやると、顔を赤くしている。
どうしたのだろうか・・・。
これは執事が最強お嬢様のお供をし、いつしか自らが最強になるお話である。