75話 謎が解けたらお腹が空いた
ドラゴンから聞いた話はためになったんだけど。
そうなると、レイにもこのステータスを見るパネルは出せるってことで。
レイは今までパネルを見なくても困らなかったから、やってみようという気にならなかったのかも。
今は無理だろうけど、落ち着いたら試してもらって、鑑定を弾くように設定しないとな。
鑑定は弾く設定をしていないと誰でも見られるのは、僕でもガイルさんやブリュネさんを見れるからわかる。
レイもまだレベルが低いから、うっかり鑑定で誰かに見られて、「生体兵器」ということが知られたら面倒だ。
あ、でも前に教会の人からの覗き見を防いだな?
アレは結局どうしてだったんだ?
「あのですね、前に観察というスキルを持つ人からの覗き見を防いだっぽいんですけど。
それってどういう理屈なんですかね?」
教えを乞う相手がいるうちに疑問を解消しようと、僕はドラゴンに聞いてみた。
これに、ドラゴンはきょとんとした顔をして答えた。
「ああ、観察か。
アレは鑑定の粗悪品のようなスキルで、自分のレベル相応以下のものしか調べられんからな。
レベルが低ければほとんど役に立たんぞ」
なるほど、やっぱり正しく鑑定の下位互換だったのか。
そしてあの教会の人のレベルが低いのが原因だったと。
ちなみに、ドラゴンとそんな会話をしている間、レイは僕のお腹のあたりにべったりと貼りついたまま離れない。
どうもちょっと離れた隙に、僕が死にかけてしまうとでも思っているようだ。
心配させちゃったのは間違いないから、レイの気が済むまでこうしておくしかないな。
ちなみにシロは、気絶から回復して再び僕の服の中だ。
しかし、レイは大暴れしてからの大泣きで、お腹が空いたんじゃないかな?
洞窟の途中で休憩したけど、水分補給だけだったし。
「レイ、お腹が空いたよね?
ここでお昼ご飯を食べちゃおうか?
時間もちょうど頃合いだし」
レイの背中を撫でながら、話しかけると。
「……ごはん」
僕のお腹にレイの声が響いた。
どうやら食べるらしい。
となると竈を造って料理したいんだけど、一応ドラゴンにお伺いを立てておくか。
「あの、ちょっとここの隅っこを貸してもらっていいですか?
食事の用意をしたいので」
「まあ構わんがのぅ。
なんじゃ、鬼神は食事なんぞするのか?」
ドラゴンが目を真ん丸にして、僕にお腹に貼り付くレイを見る。
あれ、変な事を珍しがられたぞ?
「ひょっとしてあなたは食べないんですか?」
「ああ、ワシらは世界に満ちる魔素を糧にしておるでな、必要ないんじゃ」
なるほど、確かにこの巨体を維持する食事量を想像すると、この山程度の生態系だと、数日ではげ山になっていそうだ。
「必要ないってことは、機能的には食べられるんですか?」
「そうじゃな、だが試すことはそうそうないが」
僕の疑問に、ドラゴンは「フン」と鼻を鳴らす。
ふむふむ。
ということは、レイも――もしかしたら僕も、食事は生きていくだけなら必要ないのかもしれない。
しかし僕はこれまでの生活習慣で、食事をしないなんて考えられないし、普通にお腹が減る気がする。
でもこれはもしかすると気分的なもので、レイだって僕に釣られているのかも。
「けど、どんなものにも魔素はあるものだ。
ゆえに食事は無意味ではないぞ。
あくまで、そうだのぅ、趣味というものか」
そうなのか。無駄ではないのなら、食事を続けても問題ないというわけで。
「でしたら、あなたもよければ一緒に……」
僕はせっかくだからドラゴンを食事に誘おうとして、ふと気付く。
さっきも思ったけど、ドラゴンを満足させる食事量ってどんだけなんだ?
人間サイズの食事なんて、爪の先にも足りないだろうに。
この途中で止まってしまった僕の誘いに、しかしドラゴンがノッてきた。
「ふむ、人間の食事か。興味あるぞ」
ドラゴンはそう告げると。
ピカァッ!
湖の中で眩い光を放った。
「うわっ、まぶしっ!」
僕のお腹にくっついてドラゴンに背を向けていたレイはともかく。
僕と、僕の服の襟元から顔だけ出していたシロは、光ったドラゴンをまともに見てしまった。
うぅ、すごく目が痛い!
僕が目を抑えて悶えていると。
「これでよかろう」
そんなドラゴンの声が聞こえた。
目の痛さが和らいできてから、そろそろと目を開けると。あの茶色い巨体がどこにもない。
代わりにいたのは、茶色い髪の青年だった。
マッチョ体型で背が高くて、そこそこイケメンなんだけど、ただし真っ裸。
え、このマッパのイケメン誰?





