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46話 成果を提出

お昼を食べた僕たちは、もうニケロの街へ戻ることにした。

 こっちはレイに合わせて歩くから、どうしても移動に時間がかかるしね。

 レイは普通の三歳児に比べれば足が速いんだろうけど、体格は普通。

 なので戦闘モードじゃない時の能力は、普通の幼児に近いのだ。

 それを急かしても仕方ないので、のんびり歩くことになるわけで。

 だから周囲から見たらすごく呑気にしているように見えるんだろう。

 街へ戻る途中の林の浅いエリアで、まだ狩りをしている他の冒険者とすれ違ったんだけど。


「おい、あいつら手ぶらだぜ」


「意地悪言わないの、初めての人ってそんなもんよ」


「格好つけて奥まで行ったくせになぁ」


若い冒険者たちがクスクスと笑いながら、色々言っている。

 そんな彼らを、レイがじぃーっと見ているわけで。


「レイ、知らんぷりだよ」


僕が行きと同じように声をかけると、レイは「わかっているぞ」と言いたげに見上げてきた。

 まあこっちは獲物を全部鞄に入れているから、傍目にはなにも持っていないように見えるし、そう思われるよね。

 それをいちいち彼らに説明するのは面倒だし、第一そうしなきゃいけない義理は無いし。

 ここは無視で素通りが一番無難だろう。



こうして、魔物狩りを兼ねたピクニックからニケロの街へ戻ると、冒険者ギルドのホール内は他の冒険者の姿はまばらだった。

 僕らが早く帰ってきたせいで、まだ冒険者の戻りのピーク前であるようだ。


「おや、お早いお戻りでしたね」


僕たちの姿を見て、ニールさんがカウンターから出て来た。

 この人ってブリュネさんと対等に話すくらいだから、カウンター業務をするような人じゃあないんだろうけど。

 なんでここにいたんだろう?

 ……もしかして心配して、僕らが戻るのを待っていたとか?

 ニールさんは最初から、幼児のレイの事を気にしてくれていたもんな。


「ただいま戻りました。

 レイの体力に合わせて帰ってきましたから」


「無理をしないのは、冒険者家業を長く続けるためにはいい心がけですよ。

 それで、なにか狩れましたか?」


ニールさんが、手ぶらの僕らを見て首を傾げつつも尋ねてくる。

 僕らが持っている獲物というか魔物は、レイが抱いているシロだけだからな。

 ニールさんの視線がちらりとシロを見るが、もちろんシロを出すつもりはないからね。

 だからレイはそんなにギュッと腕に力をこめないであげようか、シロが苦しそうだよ。

 僕はニールさんに説明する。


「この鞄がマジックバックでして、ここに全部入れてあるんですよ。

 ちょっと大きいのがあるんですけど。

 ここで出したらマズいですよね?」


「ああ、マジックバックをお持ちでしたか。

 では、こちらへどうぞ」


ニールさんが納得したように頷くと、場所を移動するように促す。

 そして連れていかれたのは、大きな倉庫だった。

 あちらこちらに討伐された魔物が置かれているところを見るに、冒険者が持ち帰ったものを一時的に保管する場所のようだ。

 しかもちょっと生臭いので、ここで解体もするんだろう。


「ここの空いている所へどうぞ」


ニールさんに指示されたのだが、アースドラゴンは出すには明らかにサイズオーバーだったので、僕はまずアースドラゴン以外のものを全部出すことにした。


「なんとまぁ……」


どんどん出していく僕に、ニールさんが目を丸くしている。

 たぶんビックリする量なんだろうな、とはさすがに僕にも想像できたけどね。

 こういうのは下手に隠さずに、最初にやらかした方が、後々楽だと思うんだ。

 なにより、鞄の中に魔物の死体がみっちり入っているって、なんか嫌だし。

 というわけでひたすら鞄から魔物を出していく僕の横で、レイはというとシロと遊び始める。

 レイは退治した後の魔物には一切興味がないらしい。


「これはこれは、トツギさんがこれほど強いとは。

 私はあなたを少々見誤っていたようです」


「すみません、ちょっと多かったですよね?」


驚きすぎて呆気にとられた様子のニールさんに、僕は一応そう言うと。


「いえ、ブリュノルドがたまに大量に持ち込むことがあるので、量は問題ないんですが」


そんな反応が返ってきた。

 あ、問題ないんだ。

 というかこの倉庫、ブリュネさんに合わせたサイズだったのか。


「それよりもトツギさん、まさか山へ入ったのですか!?」


「はい?」

ニールさんが詰め寄ってくるのに、今度は僕が呆気にとられた。

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