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40話 服を買おう

リンク村の雑貨屋でも買ったんだけど、子どもというのはあっという間に大きくなるもの。

 なのでリンク村では子ども服というと、誰かのお下がりなのが基本だった。

 新しい服は特別な日に誂えるものなんだって。

 それはニケロの街でも同じみたいだけど、それでも子ども服というのは売られていた。

 レイはせっかく美幼児なんだから、似合うものを色々着せたいじゃないか。

 というわけで色々店を覗いた中でも、良さそうな店を選んで入ってみる。


「いらっしゃいませ~」


女性の店員さんの声に迎えられたところで、早速服を物色だ。

 できるだけ肌触りがよくて、動くのに邪魔にならないデザインがいいよな。

 特にレイは普通の三歳児よりも動きが激しいから。


「うーん、これは布地が柔らかいからパジャマにいいかな」


僕がレイに服を当てながら選んでいると、出迎えの声の店員さんが寄ってきた。

 彼女、見た目は人族っぽいけど、どうなんだろう?

 でもその程度の疑問でやたらに鑑定をかけるのは、個人情報を覗き見しているみたいでよくないよね。

 そんな事を考えている僕に、店員さんが話しかけてくる。


「そちらのお坊ちゃまの服をお選びなんですか?」


僕がずっと子ども服のあたりにいるからだろう、そう尋ねられる。


「あ、はいそうなんです。

 どうせなら似合うものをと思いまして」


「可愛い子ですものねぇ、着飾らせたくなりますよねぇ」


僕の言葉にうんうんと頷く店員さんが、「そこでですね」と切り出した。


「実はここに並べていない商品があるんですけど、見られますか?

 ああ、別に商品に問題があって下げているわけではないんです。

 ただ当店のデザイナーが趣味に走り過ぎまして。

 着こなせる子がおらず、結果として売れないため下げていたのです」


そうまくし立てるやいなや、「少々お待ちを!」と言い置いて奥へと駆けて行く。


 ……僕、まだなにも返事していないんだけどなぁ。


 ともあれ、せっかくだからと店員さんが戻るのを待っていると、やがて彼女が戻って来た。

 その手に洋服の山を抱えて。


「どうぞ、ご覧ください!」


そう言って見せてくれたのは、着ぐるみっぽくなっていたり、大人の仕事着をミニサイズにしたデザインのものだったり。

 これってまさしくアレだ、コスプレ!

 僕はギャルソンみたいなデザインの服を手に取った。

 飲食店の制服をそのままサイズダウンしたみたいに、仕事着としての動きやすさがちゃんと考えられているものだ。


「これはまた、仕事が細かいなぁ」


隣の猟師服っぽいのは毛皮は本物だし、ポケットがいっぱいついている。

 どれもが、日本で子ども向けに安価で売られていたような、簡素なつくりのものではない。

 あと着ぐるみにはウィングドッグのものがあった。

 フードになっている箇所が頭部を模してあり、本物さながらのクオリティだ。

 しかもシロよりも精悍なので、大人のウィングドッグなのだろう。

 尻尾もリアルなのがついていて、布地の手触りも申し分ない。

 レイはこのウィングドッグ着ぐるみが気になるようで、じぃーっと見つめている。


「レイ、それ着てみるかい?」


僕の問いかけに、レイはコクコクと頷く。


 ……どうやらすごく着たいようだ。


 というわけで、試着させてみたんだけど。


「うーん、かわいさと凛々しさのバランスがなんとも……」


「そうでしょう?

 フードのデザインを敢えてかわいい方に寄せていないのが、ポイントらしいです」


ウイングドッグ着ぐるみ姿のレイに僕が唸っていると、店員さんの解説が入る。

 確かにフードの強面なデザインが、着ているレイのかわいさをより引き立てている。

 さらに言えば、敵を見たら突っ込んでいくレイの内面を表しているようにも思える。

 もちろん、動きやすさも申し分なさそうだ。


 ……これは買いだな。


「いくらですか?」


「売れずに困っていたんで、お安くしておきますよ!」


そんなことを言う店員さんが提示した価格は、普通の服と変わらない金額だった。

 これって素材に拘っていそうだから、本当はもっと高いと思うんだけど。

 よほど売れずに残っていたんだなぁ。

 でも日本みたいな仮装を楽しむコスプレ文化が下地にないと、買うにはハードルが高いのかも。

 お金持ち向けには受けそうだけど、そうした階級に人たちが来るには、庶民的な店だし。

 デザイナーさんは、なんでこの店でこの服を作ったんだろう?

 けど僕としてはかわいいし安いし、レイもシロとお揃いになれて喜んでいるみたいだしで、買うことにした。

 ついでに大人の仕事着シリーズ数着も一緒に。

 もちろん普通の服も買ったよ、あと僕の分も。

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