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28話 やっぱりスキルは「買う」らしい

「スキル? そんなもんは教会に行くものだろうが。

 なんだお前ら、もしかしてスキルを買いに来たのか?」


あちらはどうやら、僕の疑問が理解できないようだ。

 僕はスキルをあのコンピューターから貰ったからこう考えたのだが。

 この兵士の中でスキルというものが、そのタブレットとつながっていないのかもしれない。

 スキルは教会かぁ。

 一体どういうシステムでそうなっているんだろう?

 それにスキルってやっぱり「買う」ものらしいね。


「あなたも、スキルを持っているんですか?」


僕のさらなる質問に、兵士は「ああ」とちょっと得意げに頷いた。


「兵士になると剣のスキルが格安で買えるんだよ。

 だから兵士になって剣のスキルを買って、何年か勤めてから転職するヤツが多いかな」


「そうなんですか」


僕はそう相槌を打ちながらも、こっそりこの兵士を鑑定してみる。


名 前 ミック・デイブ(人族)

性 別 男性

年 齢 32歳

職 業 兵士

レベル 12

スキル 剣術レベル13 掃除レベル10 裁縫レベル15


確かに剣術スキルはある。

 けれどそれ以外のスキルだってあるし、むしろそっちの方がそこそこレベルが高いよ?

 少なくとも以前に見たガイルさんの釣りレベル3よりも高い。

 スキルを買うのが普通なのだとすると、兵士がいくら掃除や裁縫が好きだとしても、わざわざ高価なお金を出してスキルを買うとは考えにくい。

 だってスキルなんかなくても、掃除や裁縫はできるからだ。


「あの、あなたって掃除とか裁縫って好きですか?」


僕のこの質問に、あちらはビックリ顔だ。


「なんだ、俺ってなんか汚れているか、糸くずでもついているか?」


兵士は自分の身体を確認しながら、ちょっと恥ずかしそうに語る。


「俺はちらかっているのが気になる性格でなぁ。

 我慢できずについ、ここでも暇があれば掃除しちまうんだよ。

 裁縫は、兵士の装備品を自分で手入れするからなぁ」


やはり、掃除も裁縫も経験がそこそこあるのか。

 それにもしかしたら、掃除や裁縫の方が、この人に向いているスキルなのかも。

 うーん、ますます気になるぞ、スキルの謎。


ともあれ、それから荷物検査がされた。

 マジックバックはそのまま見せていいものか、僕もちょっと迷ったのだが。

 これを隠したところで、荷物が少ない事が不自然になるので、結局そのまま見せることに。


「へぇ、いいものを持っているなぁ」


すると兵士はマジックバッグに驚いたものの、怪しみはしなかった。

 高価ではあるが、親の遺産として持っている人がたまにいるんだそうだ。


「この街へは、スキルを買うだけか?

 仕事を探したりはするのか?」


「ええ、まぁ」


尋ねてきた兵士に、僕は曖昧に頷いておく。

 恐らくそういう理由で田舎から出てくる若者が多いんだろう。


「それなら、冒険者になって荷運びの仕事を引き受ければいいんじゃないか?

 マジックバッグ持ちなら、低いコストで荷物運搬ができるから、有難がられるんだぞ?」


「なるほど」


兵士からのアドバイスに、僕は納得顔で頷く。

 確かに、リンク村でも木材の運搬で有難がられたもんなぁ。

 それにどうせ身分証を得るために、どこかのギルドへ登録しようと思っていたのだ。

 僕が商人や職人に向いているとは思えないから、商業ギルドや職人ギルドは考え辛いし。

 ここは素直に冒険者ギルドに登録するのがよさそうだ。

 そんな会話をしながらも、タブレットでどこかへ問い合わせしていたようで。


「うん、犯罪歴が出てこないな。

 二人とも門を通っていいぞ」


やがてそう許可が出たところで、通行税に銀貨二枚を払う。


「レイ、じゃあ行こうか」


僕が促すと、レイはコックリと頷くとシロを抱える。

 すると兵士が、そのシロを見て言った。


「ああ、そのペットはトラブルを起こさないよう、ちゃんと見ておくように。

 あと、盗られないために首輪をした方がいいぞ」


「なるほど、そうですね」


確かに、日本でもペットはちゃんと管理しておかないとトラブルの元だもんんな。

 鞄に手拭い代わりにと買った布があったので、それをバンダナみたいにシロの首に巻いてみた。

 うん、いい感じじゃないか?


「クゥーン?」

シロは首元の布が気になるらしく、しきりに前足で布をカシカシしているが、そのうち慣れてくれるだろう。

 さあ、それじゃあニケロの街へ入ってみようか!

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