18話 お仕事しました
13話を飛ばしていたことに今更ながら気付いて、割り込み投稿させていただきました。
なんか変だな、と思っていた皆様、これで話がつながるはずです!
食堂でガイルさんと別れて朝食を食べて歯磨きをしたら、早速お仕事開始だ。
仕事内容は森の中に放置された大木を集め、村の木材置き場へ運び込むというもの。
「じゃあ、行こうか」
「……」
宿屋を出て僕が隣をると、レイが無言でコックリと頷く。
初仕事に、レイなりにやる気が出ている気がする。
ちょっとキリッとした顔になっているし。
宿屋で作ってもらったお弁当を鞄に入れて、二人でのんびり森へと歩く。
その際、仕事の役割を話し合う。
「レイは僕が大木を鞄に収納している間の、魔物が寄ってきているか注意するのと、倒せそうなら倒す役目だね」
僕が説明すると、レイは「わかっているぞ」と言いたげに頷く。
レイには普通の三歳児のように育ってほしいとは思うけど、鬼神スキル持ちであることは消せない事実で。
だったら上手くコントロールする方法を学ばせるべきだろう。
普段使わせないで、いざって時に暴走する方が怖いしね。
だから使える時にバンバン使って、感覚を養ってもらいたい。
役割分担ができたので、大木拾いスタートだ。
森の入り口から拾っていき、徐々に奥へ行く作戦である。
無理をすれば今日中に拾えなくもないが、これだけの量の大木を鞄に収納しているのも変だろう。
ガイルさんも、現在出回っているマジックバックは家一軒分程度の収納力だって言ってたし。
それを明らかに超える量の大木を出したら、目立つなんてものじゃない。
「まあ、異世界初仕事なんだし。
のんびりやろうか、レイ」
そんな僕の気分とは裏腹に、レイは無言ながらも生き生きとした様子で駆け回っていた。
「……!」
無言で駆けていき倒しては、獲物を抱えて戻ってくる。
三歳児の小さな身体で頭上に掲げて戻ってくるのは、ちょっとしたホラーだ。
レイの手にかかったのは、キラードッグにイビルボア、あとでっかい熊の魔物のビックベアなどなど。
全て殴り倒していて、今のところ一撃必殺。
どうやら肉弾戦が戦闘スタイルらしいが、なんてチートな三歳児だろうか。
拳を痛めていないか心配するも、傷もなくて綺麗なもので。
鬼神スキルで肉体が保護されている状態なのかもしれない。
僕が目覚ましいレイの戦績に半笑いでいると、また新たな獲物が現れ、レイがやる気満々で駆け出そうとするのだが。
「あ、レイ待って。僕にも倒させて」
僕は慌ててストップをかける。
大木拾いに、ちょっと飽きて来たところなんで。
レイは若干不満気味な顔に見えたものの、素直に獲物を譲ってくれた。
現れたのは因縁のイビルボア。
今度はあんな悲惨な最後じゃなくて、ちゃんと倒してやりたい。
扱う魔術は、やはり因縁のカマイタチ。
今度は魔力量を調節して、適度な風の刃を生み出す。
「カマイタチ」
そう唱えて放たれた風の刃は、イビルボアの巨体の首を落とした。
カマイタチも魔力の量さえちゃんとすれば効果的な魔術だと、これで証明された。
やった、カマイタチさんの汚名返上だね!
そんなことをしつつ、このくらいでいいかという地点まで来たところで休憩だ。
「お昼にしようか、レイ」
僕はレイに声をかけて、適当な切り株をテーブル代わりにして弁当を並べる。
弁当箱である木の皮を編んで作られた箱を開ければ、油紙で中身が包まれていて、中には薄切り黒パンでこんがり焼いた鶏肉とチーズを挟んだものと、サラダにピクルス、果物というメニューが詰まっている。
これにタイム茶と、レイには村で分けてもらった搾りたてミルクを温めてやれば、立派な昼食の出来上がりだ。
あれ、でもレイの弁当の中身は僕とちょっと違う。
黒パンのスライスと鶏肉とチーズが別々にしてあった。
黒パンをふやかして食べられるように、という配慮だろう。
でもこれだと、レイにはパンケーキのほうが食べやすいかな?
昨日焼いたのが残っているんだよね。
「レイ、この黒パンとパンケーキ、どっちが食べたい?」
本人に選ばせようと尋ねる。
「ぱんけーき」
するとレイからは即答だった。
こういう時はちゃんと発言できるんだね。
普段無口だけど決める時は決める男って、カッコいいと思うよ。
ともあれ、ベラの実もちゃんとたっぶり盛ったパンケーキに、レイは嬉しそうだ。
やっぱり子どもにはあの硬い黒パンは辛いか。
旦那さんはレイが食べやすいように、気を使ってパン粥を作ってくれるのだけど。
レイ自身はあのドロドロとした食感が逆に食べ難いみたいで、あんまり好きじゃないようなんだよね。
眉間に皺が寄ってたし。
今後の事を考えて、主食をレイにも食べやすくするのは課題だな。
食育的にも、ちゃんと噛んで食べるものを食べさせてあげたいし。
それにいくら激強チートでも、身体は普通の三歳児なんだから。
昨日もなんだかんだで宿屋についたらウトウトし始めたから、夕食前にちょっとお昼寝したもんな。
そんな風に今後の事を考えつつ、弁当を食べる。
鶏肉にかかっているタレが甘しょっぱい中、ハーブのような爽やかな風味がする。
うん、これは美味しい!
サラダやピクルスも色鮮やかで見た目に楽しいし。
こうしてレイと一緒に大満足なお弁当を食べたら、村へと戻る。
木材置き場に轟音を響かせながら大木を納める光景は、村人たちをとても驚かせた。
お騒がせして、本当にスミマセン。
静かに置けない仕様なんです。
そんな作業を三日繰り返したら、倒れた大木がなくなって森の景色がずいぶんとスッキリした。
森の中にどでかい道ができたようなもんだしね。
ここに再び木が生えるのって、いつになるんだろう……。
もちろん、リンク村へ来る前に鞄に溜めていたものも足しておいたよ。
そして木材置き場にみっちりと積み上げられた大木たちに、僕はため息を漏らすしかない。
いやぁ、カマイタチさんこんなに頑張っちゃってたんだね。反省……。





