源精霊
ん...........嫌な夢を見た.....亡霊が....
『目覚めましたか?』
夢じゃなかった......
「って.....ここ....ベッド? 部屋も...綺麗になってる...」
彼女はニコリと笑いかける
『私が.....掃除....しました....つい』
「つい?」
『この体になってから....物に.....触れた事は....なかったので....』
ん? 矛盾するぞ?
「でも...掃除したんだろ?」
『はい.....あなたを寝室に運んでる最中に気付いたんです.....あなたに触れたら.....触れた分....実体化できる....』
「..................やっぱり」
『.....? 心当たりがあるんですか?』
「眠ってたときにな.....夢を見た...」
『夢....?』
「なぁ....光る球体.......あれって何なんだ?」
彼女は何のことを言ってるのか理解しようと考え込み、まるで憶測を言うように...
『.................もしかして......源精霊のこと....ですか?』
源精霊?......あの光の球体は....源精霊って言うのか
「源精霊って何なんだ?」
『ご存じないのですか!?』
「マジか?」と言わんばかりの驚き方だな
源精霊っていうのは知ってて当然の存在なのか....
「教えてくれ」
『隣......座っても良いですか?』
え?
「あ.....どうぞ」
そう言ってベッドの座る位置をずらす
『源精霊とは生物や物質....概念などの源が精霊になった物....とされています。』
源の精霊で源精霊....名前の通りか......
「それが.......人の体に入り込む事って...あるのか?」
『入ったんですか?』
「入ったんだ」
彼女は言いにくそうに顔をしかめる
『入ります......そして入れば.....その源精霊の加護を一生受けることになります。』
加護っていうのは.....だいたい分かる....
「加護を受けることを何でそんな嫌そうに言うんだ?」
『源精霊には意思が無く、知能もありません....なので行動に意味は無く、予測も不能.......寝てる間に源精霊が入り込んだ事例もあります.......』
マジか.....可哀想
『それに源精霊の見た目は全て同じ......どんな加護を受けるかは入られるまで分かりません。自分の意思に関係なく今後の一生を決められてしまうのです。』
まさにギャンブル....加護によっては一生苦しむ可能性だってある訳か......
「夢の話に戻るけど.....俺に入り込んだ源精霊が夢の中で色々な事を見せてくれたんだよ......それで分かったんだ」
『分かった....?』
「俺があんたが見えるようになったのも、触れるのも.......俺に入り込んだのは.....亡霊の源精霊だ.......」
そして源精霊が夢で見せたのは、与えられた加護の内容だった