温かい我が家
いや待て.....確かこのゲームは相手の称号を見ることは出来ないから....自分から見せない限り俺が【魔王】だって事はまずバレない....
「とりあえず俺の命は安全ってことか.....」
だが【魔王】を全員倒さない限りこの世界から出られないってことは....俺はもう......現実世界に......帰れないのか.....
「ちょっとそこのお兄さん」
誰!? 何処から声が!?
「こっちじゃよ、こっち」
振り向くとそこにはお婆さんが一人立っていた
「そこで何をしておるんじゃ?........というか顔色が悪いな、大丈夫かい?」
「あぁ、顔色は元々だから.....ちょっと道に迷って.....」
「なんじゃ、道に迷ったのか.....それじゃ帰る家はどの街にある?」
家.......
「俺の帰る家なんて...もう...何処にも...」
「なんと!? おぬし家を持ってないのか!?」
うっわ、すっげー驚いてんな.....
「持ってない、だから帰る家も....ない」
婆さんは考え込み、こちらに顔を向けた
「ならばおぬし、私の持ってる物件を貰ってくれないか?」
物件.....貰う.....?
「どういう....」
「まぁまぁ、とりあえず着いて来なさい」
言われるがまま婆さんの後を着いていく、しばらく歩くとそこには一つの建物があった
「この物件なんじゃが」
え? 貰って.....これを!?
「....って婆さん、これ....お屋敷じゃねーか!」
目の前にはお城並みに大きな建物が!
こんなの夢の国かUSJでしか見たことない!
「そうじゃよ屋敷じゃよ、50年以上誰も住んでない、勿論掃除も手入れもしていない、そんなアンティークみたいな屋敷で良ければ貰ってくれないか?」
えっ? いいの!? マジでいいの!?
「あ、なぁ婆さん....一様聞くけど....お金は...」
婆さんはキョトンとした顔になり、その後笑顔で「いらない」と言ってくれた
「屋敷も住んでくれた方が嬉しいじゃろうからな...」
「婆さん...」
婆さんは肩にかけてたバックから一枚の紙とペンを取り出す
「じゃあこの紙に屋敷の所有者としてサインしてくれないか?」
誓約書みたいだな.....まぁいっか
サイン....え~と....ここか、『コウスケ』っと
「.......うん。 これでこの屋敷はおぬしの物じゃ。」
この城みたいにでかい屋敷が.....俺の物!
「マジで! ヤッター!...............そういや婆さんは何でこの屋敷に住まなかったんだ?」
こんなにも立派なのに
「住む訳がないじゃろ、その屋敷呪いみたいな曰く付き物件じゃし」
.........え?
「昼夜問わず奇声や謎の鳴き声が響き渡り.....時には断末魔まで、もうすでに化け物の住み家って噂もあるからのぉ、そんなとこに住むなんて自殺行為じゃろ?」
化け物.....? 自殺行為....?
「建物ってのは住んでこそ意味を成すんじゃ....きっとこの屋敷も喜んどるじゃろうな。 よかったのぉ...」
「よかった? 何が? ...曰く付きって何? 初耳だよ?」
「それじゃお兄さんや....屋敷を大切にな、元気に暮らすんじゃぞ....」
元気に暮らす? 何が....? え....ちょ....え? ぶっ殺すよ?
「すいません、やっぱり屋敷いらな」
「『テレポーテーション!』」
『何か』を叫んだ瞬間、一瞬青白く輝くと婆さんの姿は無くなっていた
「何だ今の...」
突然の怪奇現象に腰から崩れ落ち、ここがゲームのファンタジー世界であることを思い出す...
「まさか...今の...魔法?」
魔法使いが存在するこの世界の住人が【化け物】と恐れるこの屋敷には、いったい何が住んでいるのだろう...