依頼と出会い
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ソラの言う通り、お金が多いに越したことはないが少し疑問があった。
「そういえばソラを心配してくれてそうな人はいないの?無事を知らせてあげないと可愛そうだよ?」
「うーん、お父様とお母様は絶対に泣いていると思います… 自分で言うのもなんですがすっごい甘やかされて育ちましたから。」
シュンとしたソラを見て聞いたことを後悔し「ごめん」と言って頭をそっと撫でる。するとソラは僕の胸に顔を埋めて来た。やはりソラはいい匂いがする。
「おいおいボウズ、ここはイチャコラする場所じゃねぇんだぜ?」
後ろから聞こえるその声は先ほどの強面の男であった。
「ああ、すいません。この子があまりにも可愛くてね。それよりさっきはありがとうございました。僕の名前はリュー、こっちがソラです。あなたの名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「ふん、俺の名はダン。Cランクだ。何かあったら俺に言え。」
腕を組んで鼻を鳴らしている姿はとても男らしかった。男の僕でさえその堂々とした姿に惚れてしまいそうだ。女の子なんてイチコロだろう。
そう思い恐る恐るソラを見てみるとあからさまに嫌そうな顔をしていた。よかった、と内心でほっとしていた。
「それで何か依頼を受けるのか?受けねえなら邪魔だからのいてくれ。」
ダンの言葉で本題を思い出す。
「あ、そうでした!ダンさん、エストワールに関連した依頼ってないですかね?」
その言葉にソラは驚いてこちらを見ていた。
「ああ、それなら2ヶ月後ぐらいに確かこの町のお偉いさんが護衛の依頼を出してる。えーっと、確かここの辺に...
これだこれだ。ふむ、Dランクからか。お前らにはちと厳しいかもしれんな。」
掲示板からエストワール関連の依頼書を手に取り考慮してくれる。見た目は恐さからはかけ離れた優しさを持っている。
「2ヵ月でDランクになるのってそんなに厳しいのですか?」
「ああ、GからDになるにはだいたい1年くらいかかるもんだ。相当無茶しねえと成せねえな。」
僕の問いに呆れもせずダンさんは答えてくれた。僕らはこの町の事も何も知らないしエストワールへの行き方もわからない。だからこの依頼を受けるのが最善の手なのだ。このチャンスをあまり逃したくない。
「ボウズ。いや、リュー、お前やる気があるようだな。いい目だ。
よし、俺が手伝ってやろう。俺は冒険者を長年やってるから効率のいいランクの上げ方を知ってる。俺に依頼しろ。」
ダンは本当に人がいいようだ。先程出会ったばかりなのに色々と世話を焼いてくれる。失礼だが何か裏があるのかとも思ってしまうほどだ。
「しかしダンさん、僕らには今お金がありません。報酬が払えないのですが…」
「そうか、それならお前達が受けた依頼の報酬の2割を俺に渡すってのはどうだ?」
「本当にいいんですか?
というか何でそんなに世話を焼いてくれるのですか?」
僕がそう言うと、うーん、とダンさん考え込んでしまう。
「そうだな... なんていうか俺の直感だ。お前らには恩を作っておいた方がいいって俺のここが言ってるんだ。」
トントンと自分の拳で胸を叩くダン。
「ダンさんすっごいカッコイイですね!男として憧れます!報酬はきちんと渡すのでこれからよろしくお願いします!」
そうして僕はダンさんと握手を交わした。ソラも恐る恐る手を出して握手をしていた。
「それじゃあこれからさっそく依頼にいくとするか。GからEにランクアップするには依頼を1回こなすだけでいいんだ。そういやお前達は金が無いんだったな、これなら1日でそこそこ稼げるぜ?」
そう言って提示してきた依頼書の内容は薬草の採取だった。
「薬草は森に結構生えてるからな。俺もついて行ってやるから魔物が出ても安心だぜ?」
自信満々のダンを鑑定してみる。
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ダン Lv.64
体力 630/630
魔力 100/100
筋力 720
防御 550
魔攻 78
魔防 170
【第六感】【拳闘術】
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うん。普通はこのぐらいなのだろう。Cランクは中堅冒険者、つまりは強くも無く弱くもないのだ。無いと思いたいがダンさんが僕らに攻撃しようとしても返り討ちに出来る。
「ダンさんがいてくださるなら心強いですね!ではお願いします!」
そう言うとダンさんは「任せとけ!」と言って受付に行ってしまった。それを見たソラが、クイクイと服を引っ張る。
「ん?どうかしたの?」
「リュー様、私のためにありがとうございます… その、エストワールに帰ったらぜひお父様とお母様に紹介させてくださいね?」
満面の笑みのソラに心を持っていかれた。この笑顔をずっと守りたい、そう思った。
そしてダンさんが受付から戻っ来たダンさんは「ついてこい。」と言って町の外にある森まで案内した。
そこは故郷の村にあった広葉樹林では無く針葉樹林だった。
「うわぁ、すごい!」
初めて見る光景につい声が漏れてしまう。
「ん?町に入ってくる途中でも見ただろ?馬車の中で寝てたりしたのか?」
聞いてくるのはダンさんだ。ダンさん曰くこの町には出入口が一つしかない。昔に魔物の大軍が押し寄せて来て4箇所あった出入口からぞろぞろと侵入されたらしい。
つまり町に入るには絶対にこの針葉樹林を見るのだ。
いい機会かもしれない。ありのままを話すことを僕は決意する。
「ダンさん、少し僕とソラ話をします。歩きながらで構いませんので聞いてください。その後にこの町の事を教えてください。」
そうして僕は話始める。途中からソラも補足をしてくれていた。少しずつダンさんに慣れてきたのだろうか。
話が終わるとダンは立ち止まる。
「なるほどな、だから無銭なのか。納得したぜ。しっかし大精霊の森か、ただの伝説じゃ無かったんだな。」
冒険者の中で大精霊の森を知るものは大半らしい。伝説の聖地として崇められているのだとか。その場所の大精霊があんなのだからきっと幻滅してしまうだろう。
「そろそろ薬草の群生地だ。薬草を採りながらでも話は出来るしな焦って説明するこたねぇ。まあ、何でも聞けや。」
そして再び歩きはじめるダンさん、本当に尊敬出来る人だ。頼れる兄貴とはダンさんの事を言うのだろう。
数分歩いたあとまたダンさんが立ち止まる。
「よし、着いたな。ここはあまり知られてねぇ群生地だ。誰にもばらすンじゃねぇぞ?」
目の前には足場が無いほどハート型の形をした草が生い茂っていた。これが薬草らしい。品質によって葉の形が変わるのだとか。綺麗なハート型は特上品だそうだ。
「あの町の名前はアンゼって言うんだ。シスラティス=フェンド=テマラッセ帝国にある。この地図を見てみな。ここがアンゼだ。」
シスラティス=フェンド=テマラッセ帝国、略称システマ帝国だ。ダンさんは地図にインクで黒く丸を書いた。そこは以外にも国境スレスレでエストワールに近かった。
「リュー様は確か南端の村って言ってましたからアズヴェルト王国出身ですね?」
ソラの問いに頷く。
「ほんとに大精霊様ってすごいんですね!こんな端から端を一つの場所に集めるなんて!どういう原理なのでしょうか!」
僕もそう思う。だが何かはわからない。【強欲】が目覚めたら何か知っているかもしれないので聞いてみようと思う。
町の事を聞いたあと薬草の採取に取り掛かった。そして何事も起きることなく持って来ていた皮袋に薬草をパンパンになるまで詰め込み、日が沈みかけた頃ギルドへと戻った。
受付に行くとやはり長蛇の列が一つだけ出来ていた。そのことをダンさんに聞いてみた。
「ああ、あれはな受付嬢目当ての冒険者の列だ。あの列の受付嬢はすごい美人なんだよ。まあ、お前みたいな女持ちや恋愛沙汰に興味が無い俺みたいなんは効率を優先させりゃいいのさ。」
そう言って人の少ない列に並ぶ。
「ネネさん、依頼完了だ。こいつらが朝言ってた奴らだ。ランクアップしてやってくれ。」
ネネさんとは受付のおばちゃんである。優しそうな雰囲気を醸し出している。
「わかったよ、リュー君とソラちゃんだったね。ギルドカードを出しな。更新するからさ。」
そして僕達からギルドカードを取ると奥に行ってまた帰ってくる。
「はいよ、ランクアップおめでとさん。ギルドカードとこれは報酬だよ。」
ネネさんが机に置いた反動で皮袋の中のお金がジャラジャラと音を立てる。
中には80枚の銀貨が入っていた。素直にそれを受け取り約束通りダンさんにも分け前を渡した。ダンさんへの報酬が16枚、僕とソラに64枚だ。
「お前ら泊まる宿は決めてんのか?」
ダンさんは渡したお金を懐にしまうと聞いてくる。
「いえ、まだ町の事を全然知りませんからね。」
そう言うとダンさんは少し嬉しげに宿を紹介してくれた。無知の僕らの事を思って事前に考えてくれていたのだろう。候補を3つ用意していたのだ。
銀貨5枚と少し高価だが質の良い宿、銀貨3枚で中堅所の宿、銀貨1枚だが食事は各自で取らなければならない宿。
貯まったお金はとりあえず必需品に使いたい。ソラもそれに同意していた。なので1番安い宿に案内してもらった。僕は宿に泊まる事が初めてだったので恥ずかしくも内心ワクワクとしていた。
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「ついたぞ!ここがお前らが希望した宿だ。」
太陽が橙色に染まった頃、僕の前には実家と比べ物にならない立派な家があった。
「やはり銀貨1枚ですとこの程度ですか…」
そう言ったのはソラである。確かにこの宿に来る前にも立派な宿らしき建物があった。だが、それでも僕には目の前のこの宿でも豪華だと思えてしまう。さすが王女様としか言いようがない。
「リュー様どうかしたのですか?」
「べ、別に何も...」
(そうだ!こんなことでへこたれてはいけない!)
と、心の中で喝を入れる。
そしてさんに案内されるがまま受付たどり着く。
「あら、ダンさんじゃない。お泊まりですか?」
受付にはエプロン姿のおばちゃんがいた。歳の割に可愛いフリフリがついたエプロンを着ているおばあちゃんが。
「エレナさん、その格好はいったいなんだ?」
「ふふっ、変かしら?エプロンが無くなったから娘のを借りてるのよ♪
たまにはこんなのも良いかもしれないわね!」
「はぁ。」と頭を押さえてため息をつくダンさん。このおばちゃん、エレナというらしい。
「それでお泊まりになるのかしら?」
「いや、俺は泊まらん。こいつらを泊まらせてやってくれ。」
ダンさんが僕らを指さすとエレナさんはこちらを見てくる。そしてダンさんは用が無くなったので「また明日、朝のうちにギルドに来いよ」と言い残し颯爽と宿から出ていった。エレナさんの事が苦手なのかも...
「可愛いカップルね。こんな宿に来たのだから安さにつられたのでしょ?
一人部屋2つより二人部屋1つの方が安いわよ?どうかしら?」
「二人部屋を所望します!」
間髪入れずにソラが答える。そこまでハッキリと言われるとは思わなかった。もちろん僕も二人部屋にしようとは思っていた。
「わかったわ。はい、これ103号室の鍵よ。荷物があったら預かるけど、無さそうね。もしあったら私か娘に言ってちょうだい。娘はちょうどあなた達ぐらいの歳でレベッカって言うの。いつもツインテール出しエプロン着てるしわかると思うわ。」
「わかりました、ありがとうございます。ところで、おすすめの食事処なんてありますか?」
「ええ、宿を出てすぐ左に曲がってまっすぐ行ったところに朱雀亭って言う店があるの。あそこは安いのにとっても美味しいのよ!」
エレナさんは目を爛々と輝かせて聞かせてくれた。よほど美味しいのだろう。
「わかりました。では行ってきますね。」
「行ってらっしゃい。気をつけてね。」
そんなやり取りをして宿を後にした。
しばらく歩くと『朱雀亭』と書かれた看板が見えてきた少し薄暗く、人に尋ねてなければ気付けないだろう。そして朱雀亭の扉を開けようとした時近くで悲鳴が聞こえた。
「キャァーー!」
すぐさま扉の取っ手から手をはなし悲鳴の聞こえた方へと向かう。
「こっちです!」
ソラの耳を頼りに悲鳴の方へと急いだ。そして路地裏の角を曲がった時一人の女性が男に捕まっているのを発見した。
「やめてっ!やめてくださいっ!」
女性は手を縛られて、男は全裸だった。これから何が行われるのかというのは一目瞭然だ。
「ハァハァ、メアちゃん、メアちゃんが悪いだよぉ?」
じゅるり、と音をたて舌なめずりをする男。僕は不快感に襲われる。そして気づいたら男の肩を掴んでいた。
「あぁ!? なんだテメェ?俺とメアちゃんの...グフッ!!」
男の言葉を最後まで聞かずに僕は男の腹部を殴った。一発KOだ。
「大丈夫ですか!? 今解きますね!」
ソラはそう言って縛られていた女性を解放する。その女性は綺麗な顔立ちだった。女性はまだ気が動転しているらしく落ち着くまで少しかかった。
「助けてくれてありがとうございました。私メアって言います!お礼もしたいのでこの後、うちでお茶を飲んで行ってくれませんか? それと、あと、一人で帰るのがこ、怖いので…」
無理もない。強姦されかけた後に一人で帰らせるなんて真似はしない。
「それじゃあ、ごちそうになろうかな。家まで送ってくついでにね。」
僕がそう言うとメアは顔を綻ばせた。それを見たソラは僕の方をジト目で見つめていた。
ちょっとリュー君、フラグ立ててんじゃないよ!۹(◦`H´◦)۶プンスカ!
幼なじみであるミサの閑話をこの章が終わったら(エストワールに行ったら)書きたいと思ってます。




