大精霊の森とこれから
本日2本目
*リューの容姿*
深い藍色の髪を流している。整った顔立ち(本人はよくわかっていない)。身長182cm 体重67kg 少しほっそりとしているが畑仕事をしていたので筋肉はついている。村人服を着用中。
「そういえばソラ、なんであんな怪我を負っていたんだい?」
大樹に寄りかかる僕の隣に座るソラに尋ねる。風でソラの長髪がサラサラと揺れ首を傾けてこちらを見ている。
「えっとですね、実は私エストワールの王女なんですけど「ちょっと待って。」はい?」
いきなりの爆弾発言だった。エストワールとは獣人の王国である。そこの軍と言えば獣戦士1人1人が一騎当千と言われる程の実力者集団であることで有名だ。
「ソラは王女様なのか… ん?ソラ様って言った方がいいの...ですか?」
「そんなよそよそしい呼び方は嫌です!リュー様は私の恩人ですので全く問題ありません!」
「あ、ああそう。」
必死の剣幕で言いよるソラに押されて僕は引き下がった。
ただ、近ずいて来たソラからは何故かいい匂いがした。
「それで続きは?」
「あ、はい。それでですね、ある日私は獣人の中でも一際ステータスが高かったので部下達と共に魔物討伐に駆り出されました。そこまではよかったのです。魔物を倒した私達は帰路の途中で野営の準備をしようとしていました。私は周囲に魔物がいないか確認しに見回りをしていたんです。魔物がいないことを確認して野営地に戻ろうとしたんですが急に何かに後ろから攻撃され意識を失いました。そして目を覚ますと私の尻尾と耳が無くなっていたいました。それに野営地には誰もいなかったんです。3本の尻尾を持つ獣人は珍しいので高く売れるのでしょうね。おかしいと思いました、いくら強いからと言って王女1人だけで見回りをさせるなんて... 」
ソラの悔しそうな顔をみて少し怒りを覚えた僕はソラの頭をそっと撫でた。
「はうぅ」
可愛い声を出すとソラは僕に身を寄せる。さっきまでの深刻な表情も相変わって口元がニヤけていた。
「でもまだ、その段階であれほどまでに怪我を負ったわけじゃなかったんでしょ?ならどうして?」
「えっと、獣人は自分のシンボルを失うと恐ろしく弱体化するのです。それにステータスカードにはマイナス値として何故か反映されないんです。なので迷信だと疑う人もいるのです。私の場合は狐が元になっているので尻尾がシンボルです。3本ともなくなれば一般人並の強さとなってしまうのです...」
「なるほど、そんな時に魔物に出くわしたらそうとうやばいと。」
「はい、その通りです。命からがら逃げて逃げて... そしたらいつの間にかこの森にいてこの大樹の下で死を覚悟したのです。でもそんな時に… うふふ」
照れるソラを見て素直に可愛いと思える。見た目は15歳ながらも溢れる気品があり、たまに垣間見る幼さのギャップに心が惹かれる。それに顔も整っていてピクピクと動く耳も可愛らしい。ソラに会ってまだ短い。だが、僕は彼女の事を好きになりつつあるのだ。ミサに抱いていた不快感はあの不思議な夢を見て以来すっかり消えてしまったのだ。
「本当に幸運でした。こんな北端の地域にリュー様がいてくださって!出会えた事が運命ならその運命は変えたくありません!」
顔が真っ赤なソラを見ているとこちらまで恥ずかしくなってくる。
「ああ、そうだ...ね?」
ソラの発言が脳内再生される。
『…こんな北端の地域に…』
「ソラ、急で悪いんだけど南端から北端まで徒歩だとどれ位かかるかな?」
「えっとですね、多分3年くらいじゃないですか?」
質問んの意味がわかないのだろう。ソラはキョトンとしていた。あまり地理には詳しくないが僕でも流石に北端のエストワールから南端の国までとてつもない程遠いのは知っている。
「リュー様、どうかしたのですか?」
険しい顔の僕を心配して声をかけるソラ。今僕が考えているのはこの森の場所。僕とソラの発言に矛盾が生じているのだ。
「ソラ、僕は南端の村出身だ。」
「...へ?」
再びキョトンとするソラ。今度は目が点になっている。
「リュー様、ご冗談が下手くそですね~。流石にそれはバレますよ~。」
ソラは上品に笑った。しかし真顔で見続けると冗談ではないことが伝わった。
「さらにもう一つこの森には疑問がある。それは空腹にならないと言うことだ。」
「た、確かにそうですね…」
深く考えても答えは全く出てこない。
「...まぁ、なんとかなるか。」
「私はリュー様がいれば何でもいいです!」
無邪気なのか計算高いのかわからないが嬉しい事を言ってくれる。
「そういえばソラには僕の事何も話して無かったね。」
そして僕は過去の事を全て話し最後にステータスカードを見せた。
「ゔぅ... リュー様、私は、私はリュー様を絶対に裏切りませんから!絶対ですぅ!」
「うん。ありがとう。ステータスの事は何も驚かないんだね…」
泣いているソラを撫でる。
「部位欠損を治せる程のお方ですから何も疑問はありません!それとリュー様、お願いがあるのですが…」
俯いてモジモジするソラを見て気付く。これは告白の前触れだと。男である僕から言わなければならないのではないだろうか。
「ごめんソラ。僕から言わせてもらうよ。
僕は君の事が好きだ。その容姿も、僕の事を考えてくれる優しい心も。君の全てが好きになってしまった。ソラ、僕と付き合ってくれないか?」
「っ!」
僕の告白にソラは口を両手でおおった。耳と尻尾をピンと立ている。
「...リュー様、抱きついてもいいですか?」
恥ずかしそうに聞いてくるソラに僕は口角を上げ笑顔で答える。
「許可なんていらない!いつでも抱きついてくれ!僕はいつでも君に触れていたいし触れられたい!」
「リュー様!!!」
ギュッと強く抱き締めてくる彼女を軽く抱きしめる。
「大好きですぅ!どこまでもついて行きますぅ!」
耳元でそう囁かれて今にも押し倒してしまいそうだった。
そんな時だった。
『おうおう、お熱いねぇ』
声が聴こえて来た。その方向を見るとそこには大樹があった。
(なんか最近こういうの多いなぁ)
それが僕の感想だ。もう慣れてしまった。
ソラはと言うとそそくさと僕の後ろにかくれてしまい顔だけをぴょこっと出している。
「あなたは何ですか?」
シンプルイズザベスト。ソラとの仲を邪魔された事もありめんどくさくもあった。
『冷てぇ野郎やなぁ。まあええやろう。わしゃぁ森の大精霊や。起きてみればイチャイチャしとるアホどもがおったでな、邪魔したろかい思うたんやわ。ほんであんたらなんでわしの森におんねや?』
なかなか性悪な木だな、と思った。
「僕達は2人とも無我夢中で歩いてたらここにたどろついたのです。」
「(コクコク)」
僕の言葉の後にソラは頷く。
『ほ~ん。けったいな事もあんねんなぁ。まあええか。ほんであんたらをこの森から出せばええんか?』
「それでいいかな?」
ソラに同意を求める。
「そうですね。大丈夫です。」
そう言うとソラは僕の手を取って指をがっちりと絡めてきた。俗に言う恋人繋ぎだ。
「じゃあお願いします。」
『はいよ~。ほんなら目ぇ閉じといてぇ~。…よし。もう開けてもええで~』
言われた通り僕らは目を閉じて目を開けるとそこは日も当たらず人のいない路地裏だった。
『一応わしの加護つけといたからの。ほんなら気ぃつけてな~』
そう言い残してその声は聞こえなくなった。
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森から脱出した僕らはとりあえず今後の事を話し合うことにした。
「さて、ソラ。これからどうしようか。というかここはどこなんだろうね。大精霊に聞いておいたらよかったよ。」
「そうですね。ということはまず必要な物はお金と情報ですかね。
そういえばリュー様は冒険者になりたいのではなかったですか?」
「うん、冒険者ギルドの登録は無料だし依頼をこなしてお金を貯めるしかないか。よし、大通りに出て冒険者ギルドの場所を聞いてみようか。」
そして人のいない路地裏を出て大通りに出た。そこには数多の露店が並んでおり活気で溢れていた。焼いた肉の香ばしい匂いや薬のような匂いもする。声を張り上げる人もいればフードを被り黙ったままの怪しい人もいる。普通の人もいれば獣人やドワーフ、エルフなどもいる。まさに十人十色だ。
「おうそこの兄ちゃん!カーウの串焼き食ってかねぇか?今なら安くしとくぜ!」
キョロキョロと周りを見渡す僕らに声をかけてきたのは串焼き屋の人間だった。ちなみに、カーウとは牛が魔物化した生物で普通の家畜牛よりも肉が固く味が落ち、値段もそんなに高くはない。
「すいません。僕ら今お金を持っていませんので。ところで、冒険者ギルドってどこにあるかご存知ですか?」
「ん?兄ちゃん達は冒険者だったのか!ギルドならこの通りをまっすぐ行ったらつくぜ。だいたい10分も歩けばつくはずだ。」
「わかりました、どうもありがとうございます。お金ができたらまた来ますね。」
「おうよ!頼んだぜ!」
そんなやり取りをしていると僕の隣から音が聴こえた。
「(ぐぅぅ) 」
音の鳴る方に顔を向けると顔を真っ赤にしたソラがいた。そういえば森ではお腹が減らなかったが長い間何も食べていないのを思い出した。
「はうぅ、恥ずかしいです...」
「はっはっは!嬢ちゃんの腹の虫がないてるな!しゃあねぇ、嬢ちゃんはべっぴんさんだからな、1本だけサービスだ!」
そう言って男は串焼きをソラの前に出した。ソラは僕の方を見て僕が笑顔で頷くと串焼きを手に取って食べ始めた。
「美味しいです!ありがとうございます!」
「そうかそうか、ならよかった!俺の名前はダンだ。金を稼いだらまた食いに来てくれ、安くしてやるからな!がっはっは!」
ダインは腰に手を当ててのけぞりながら高笑いした。気前のいいおじさんである。仲良くなれそうだ。
そして、ダインと別れた僕らは冒険者ギルドへと向かった。
「リュー様、カーウのお肉結構美味しかったです!今度一緒に食べに行きましょうね!」
「うん、そうだね。そのためにはまず冒険者ギルドでお金を稼がないとね。それに今夜泊まる宿も探さないといけないね。」
会話をしながら歩く僕ら。手を繋ぎながら横を歩くソラは尻尾を揺らしていた。ご機嫌なようだ。
そうして歩いているうちにいかにも冒険者ギルドという風貌の建物に着いた。荒くれ者が多そうな感じである。そしてドキドキしながらそこの扉を開けた。
中はガヤガヤと騒がしく賑わっていた。入って左側の空間はいかにも冒険者と思える人々が列をなしている。5列に別れているが左から2番目の列だけ異常に長い列を成している。
そして右側の空間は広々とした食事場になっていた。一つの机を平均して4人が囲んで話し合ったりしている。あれがパーティというものなんだろう。
様子を観察していると髪の毛のない男が声をかけてきた。
「見ねぇ顔だなボウズ、ここに女なんか連れて何の用だ?」
声は低く凄みがあった。
「えっと、冒険者になりたくて来たんですが… どうやって登録したらいいんですかね?」
僕は少し怖かったが聞いてみた。ソラは王女なのであまり話すことに慣れておらず「え、えっと、あの、その」と、戸惑っていた。人見知りなのだ。
「それなら受付に行けばいい。あそこの列に並びな。」
そう言って去って行く男。なかなかイイヤツなようだ。人は見かけによらないというのを実感した。
言われた通り1番人の少ない列に並び、ついに順番が回ってきた。
「本日はどのような用件でしょうか?」
そう言って来るのは受付嬢だ。
「冒険者になりに来たんですが…」
「わかりました。お2人でいいですか?」
「はい」と僕が言うと受付嬢は「少々お待ち下さいませ」と言って奥に行ってしまった。帰ってくると手には2枚の紙と丸い水晶玉を持っていた。
「それではこちらの水晶玉に触れてください。」
僕は言われた通りに水晶玉に触れるが何も起こらない。ソラも触れるが何も起こらなかった。
「あの、これは?」
「これは魔力水晶と言って本人の確認をとるものでございます。これでお客様方の本人確認をするのです。今触れて頂いたのは登録のためですね。ギルドカードと魔力水晶は魔力回路を通じて繋がっているので登録をすれば本人確認ができるのです。大きな町に入る時などにも使用されたりしますよ。」
なるほど、と思う。ソラも「お~」と感心しているようだ。
「ではこちらの用紙にお名前と年齢をお書き下さい。」
言われるがままに名前と年齢を書く。そして受付嬢が紙を受け取ると再び奥に行き次はカードを持ってきた。
「これがギルドカードになります。リュー様とソラ様でございますね。このギルドカードには今まで採取、討伐した物の数、種類が記録される仕様になっていますので誤魔化しはできません。」
冒険者ギルドってただ魔物を狩ったり採取したりする少し荒れたものだと思っていたのだが少し違うようだ。意外というか何というかキッチリしている。
「最後にランク制度についてです。ランクは下のランクから順にG、F、E、D、C、B、A、S、SSとなっております。最初は誰でもGランクからとなります。ランクをあげたい場合はあちらに見えます掲示板に貼ってある依頼書を受付までお持ち頂きその依頼をこなしてください。ただランクアップには試験が必要な場合もあります。相応の実力がないといけませんので。それと依頼にも適正ランクがあり依頼書に記載されておりますのでそちらを参考にしてください。それと、ランクが高い程報酬は多くなります。例を言えばCランクですと1.5倍の報酬を受け取れます。以上で説明は終わりです。何か質問はおありですか?」
大体の事がわかったので首を横に振って「ありがとうございました。」と礼を言い掲示板の方に向かう。
「当面の目標はランクアップかな...」
「そうですね!お給料が多いに越した事がありません!」
僕が呟くとソラは目を輝かせていた。
も、もう少し書きたかったけどあまりに長いのもあれだし、少し中途半端ですが次回に持ち越し。
*ソラの容姿*
銀髪(白髪)の長髪。顔立ちは10人中9人が振り返る程の美少女(町の中は活気で溢れておりまだあまり気づかれていない。今後波乱の予感...)。
身長160cm 体重 ヒミツ
動きやすい軽装を着用中。




