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●序章-15.そして今日が終わる

序章ラストです。

ニコ動でやっているTRPG動画も次回最終セッションなので共に頑張っていきたいところです。


※前回のあらすじ

 純白の酒場でお食事。

 クリームパスタ美味しいです。

-fate アキヒト




「……テーマパークに遊びに来た感があるなぁ……」


 自分でもくだらないと思いながら、言葉を漏らす。

 目が覚めて半日。

 驚きと困惑は山のようにあったが、見た目ほどの危険は結局なかった。


『日常でない、刺激的な空間』


 キャッチコピーとしてありきたりなものだが、得た感想はまさにそれだ。

 そして今、物がほとんど無いすっきりとし過ぎた部屋に俺は居る。真新しい壁や天井。白いシーツ。新しい部屋の匂い。まるで観光地のホテルの一室だ。


 ほんの少しだけ視線を右へ。壁の向こうには今日出会ったばかりの少女が居るはずだ。

 あれから家となったこの場所に帰ってきた俺たちだが、PBのアシストのお陰で無事お風呂特有のイベントなどを回避し、今に至る。この輪っか、ちゃんと防水である。


 ベッドに横になったものの目はまだ冴えていた。

 明かりを消した薄暗い部屋で今日の出来事を思い返す。

 とても現実とは思えない。しかし、夢にしては流石に長すぎる。

 疑問はいくつもある。日本語関連は特に気になるところだ。異世界が無いとは言わないが、事故に遭って偶然異世界への門へ飛ばされるというのも出来すぎている。


「……わっかんね」


 ごちゃごちゃと浮かぶ言葉をゴミ箱に投げ捨てる一言と共に自分の頬をつまんで延ばす。

 指も頬も感覚はちゃんとある。強く抓めば痛みもある。


「PBにその辺りの情報、あったりしないのかな?」

『提唱されているうち、有力視されている仮説ならば提示できます。

 これらの情報はこれからの発見により適切でなくなる可能性があることをご了承ください』

「PBさんマジ有能っすね……」


 思わぬ回答に呆れ半分でお願いする。


『これまで接続が確認された世界の内、大よそ80%以上の世界で大気成分が同一であることが確認されています。また、他世界の生物が呼吸可能な範囲とするならば90%以上の世界がその条件に適合しています。

 また原子の種類についてサンプリングされたいくつかの世界でほぼ同じであることも確認されています』


 あれ? 日本語の話では?


『この調査結果の基に、創世系神種に聞き取り調査を行ったところ』

「待って」


 聞き流せない単語に思わずストップをかける。

 PBの頭に直接流れるような言葉は音でなく意味として伝わってくる。今出てきた

 『創世系神種』という単語も聞き違えることなく理解できてしまう。


「それって、世界を創った神ってことだよな?」

『はい』

「創造神まで居るなら、そいつに聞けば解決じゃないかよ」

『この世界の創造神については未確認です。

 この世界に居住している神種は確認されている限り全て、別の世界の存在。来訪者です』


 神様が居住しているということも、それに対し聞き取り調査をしているということも、突拍子も無さ過ぎて理解が付いていかない。

 もしかして町中ですれ違っていたり、さっきの酒場に混ざって居たりしたのだろうか。

 よくよく思えばマッチョメンは天使だし、シノは『神話食らい』なんていう それっぽい種族だった。その上司っぽい神が居るのは当然なのだろうか。


『彼らの証言をまとめた結果、「根源世界」論が有力視されています。

 「始まりの世界ルートワールド」があり、その地で神になった者がその世界を参考に新たな世界を創造した」というものです』


 全ての世界は「最初の世界」のアレンジ。だから基本的な性質は似ている、ってことか。異世界人だらけのこの街で人間型が多かったり、獣型でも複数の動物のあいのこみたいな種類が散見されたりしたのも、参照元が同じと言うなら頷ける。


「ってことは、シノが俺の世界に来ても大丈夫?」

『不明です。世界の性質調査、並びに移住の可否判断については、専門に調査を請け負う業者がありますので、そちらへ相談する事を推奨します』


 業者というからには管理組合ではないのかな。今の懐具合では難しそうなので、覚えておくに留める。


 それにしても神様まで居るとは……俺、本当は死んで無いよな?

 死を覚悟した瞬間から意識は半日しか経過していない。ぐっと右手を握りこむ感覚を確かめていると、天井がぐらりと歪んだ。

 違う。難しい話を一気に詰め込まれた上に脳裏を過る不安に疲れが限界を超えたらしい。


 ……次、目が覚めたら知らない場所に居る、ってことはないよな……?


 胸を抉る恐怖も強い眠気に飲み込まれていく。

 シノはもう眠っただろうか───


 ともあれ、俺の異世界一日目はようやく幕を下ろすのだった。

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