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●序章-10. これからの生活のために

ペース遅いですよね……説明解説は次回処理してしまおう。


※前回のあらすじ

 入市管理所に到着。

 便利端末パーソナルブレスレッドをゲット。

 で、シノさん。そのお手紙なんですか?

 -fate アキヒト-




「……貴方はこの手紙の内容をご存じないのですか?」

「ええ……」


 エルフのお姉さんは一度シノを見て、それから手紙を俺に手渡した。


 ざっと読む。

 要約:二人を同居させろ


 理由は明白だが、俺もお姉さんと同じくシノを見る。

 特に忌避するような感じもなく、視線に気づいて俺の顔を不思議そうに見上げてくる。

 彼女が良いなら、良いのか?


「こちらはそれぞれに住居を用意できますが、必要であればそのように手配します」


 今日出会ったばかりの男女がという倫理的なことはさておき、百メートル離れると死ぬというリスクを負っている現状、受け入れざるを得ないだろう。


「それでお願いします。事情がありますので。

 ……って、一部屋ってことじゃないですよね?」

「はい。家族の方に提供しているサイズの住居を手配しますね」


 それってお高いんでしょ?

 と脳裏に浮かんだものの、マッチョメンの言う通り無料なんだよな。

 ……ああ、なんかゾワゾワする。ちょっと耐えられない。


「どうして無料なんですか?」


 これも良くされる質問なのだろう。お姉さんはすぐに答えを口にする。


「一つはこの町に居ついてもらうため。もう一つは種族の性質的な兼ね合いから、こちらである程度居住区を制御しないと問題が発生するためですね」


 一つ目は分かる。しかし二つ目は無料の理由なのだろうか?

 あと、種族の性質って何だ?


「分かりやすい例で言うと、聖霊種、聖人系の、常時対魔の力を放っている方の隣に妖魔種や霊体系の住居を置くわけには行きませんよね?」


 ああ、なるほど。確かにそういう組み合わせはまずいだろう。

 ……って


「霊体?」

「アンデッド種や妖怪種が代表的ですね。ご存じありませんか?」


 知識の上ではもちろん知っているが……実在するのか……

 そういえば医院を出た時に何か見たような……呪われてませんよね?


「幽霊は半信半疑……な世界なもので」

「ああ、科学特化型世界ですか。世界によっては科学的に霊体を観測する世界もありますが、日本語を使用していますし、随分と根源世界寄りのようですね」

「根源世界?」

 

 ああ、次から次にワードが出てくる。

 だが、エンドレスに出てくる質問は慣れっこなのか、お姉さんは「興味があればPBで確認ください」と流す。

 ……このシンプルな輪っかにどれだけの情報が詰まっているのだろうか。


「他にも種族的に必要な器具などもあり、そういった諸所の問題を回避するためにすべての住居はこちらで管理していまして、そこに賃貸料の優劣をつけるわけにもいかないというところです。

 職場までの距離などで区域の変更を希望される場合は、管理組合かここまでお越しください」

「職場……そうだ。仕事の斡旋もここでしていると聞いたのですが」


 不安は残るがとりあえず『住』は確保できた。

 あとは衣食をなんとかしなきゃいけない。


「それでしたら……郵便、はご存知ですか?」

「はい」

「では、エンジェルウィングスが配達員を募集していますので、如何でしょうか?」


 エンジェルウィングスと聞いて、マッチョメンの筋肉が脳裏を過る。

 これ、呪いだろ。これからエンジェルと聞くとあの岩のような顔が浮かぶ気がする。綺麗な天使なお姉さんは居ませんか?


 って、今はそういう話じゃない。


「郵便屋ってことですか? 知っていますけど、大丈夫なんでしょうか?」

「地球世界の、日本の方なら好まれると思いますよ。郵便制度を知らない方の方が多いですから」


 こんな異世界でも日本の国民性は知られているのか。

 いや、そもそも共通言語が日本語の時点で、一番有名な世界なのかもしれない。ほんと、なんで日本語なんだろう。PBにあとで確認するか。


「他には無いのですか?」

「気に入りませんか?」

「そういうわけではないですけど、選択肢を確認しておきたくて」


 そうですね、とお姉さんは手元にある何かで検索をする。


「店番などの仕事はありますけど、日雇いですね。

 医療技術や錬金術に心得があるなら施療院も候補になります。

 少し前までは司書院からの求人もあったのですけど、先日埋まってしまいましたね」


 施療院ってのは医療機関ってことだろうか。瀕死の重傷を一日で治すような技術も無ければ、医学部でもありません。

 司書院というのは図書館職員だろうか。あいにく漫画くらいしか読まないので、向いているとは思えない。

 結局最初の郵便屋が良さそうだ。


「とりあえず、エンジェルウィングスって所で話を聞いてみます」

「わかりました。紹介状をそちらのPBに入れておきますので、明日にでも住居近くの営業所を訪ねてみてください」

「ありがとうございます」

「案内は以上です。貴方の良い生活を願っています」


 綺麗な笑顔で祝福をくれるお姉さんに「ありがとうございます」と頭を下げる。

 美人エルフさんとのお別れは悲しいが、住処となる場所に向かうべきだろう。

 そういえばシノが静かだなと見れば、こちらをじっと見上げていた。特に何かを言ってくる様子は無い。

 数秒見つめ合うが、こちらを覗っているだけらしいので行動に移る事にする。


「それじゃ、行こうか」

「はい」


 やはり異存はないらしく、素直にうなずいた。

 一旦落ち着くためにも新しい住処を見に行きますか。

原型世界⇒根源世界 に修正。


次回はPBとの質疑応答です。

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