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第二話:苦しみの前、悲しみの後

え〜これからちょっとシリアスがはいってきますが………正直言って執筆している作者も先が読めてません。これからどういった展開になるのか………期待していてください。感想なんかを期待していますので、読み続けてくれる人がいたらお願いします。

二、

 塞いだ心、忘れた記憶………

 時がたち、忘れ行く旧友の顔、あなたは思い出せますか?

 たとえ、それがにくい相手だったとしても、裏切った相手だったとしても………

 そして、あなたはその相手を赦せますか?

―――――

「久しぶり!」

 右の女の子はそんなことを言った。どこかよそよそしいのはなぜだろうか?

「え?」

 面識のない俺はきょとんとするしかなかった。

「ほら、辰也が住んでいた隣の家に住んでいた双子の二人、忘れちゃった?」

 おぞましい記憶、一部、塞いだ記憶があの頃に俺を引っ張ろうとしている………いや、両親が死んだことはもう問題はない。踏ん切りはついた。だが、裏切った相手のことは………

「………帰ってくれ」

 俺はそういって玄関の扉を閉めた。

 今、思い出した。あの二人だ、俺を裏切った双子だ。どっちが姉で、どっちが妹か………そんなことはどうでも良くなった。

 綺麗な花だが、人を傷つける………そんな花に俺は興味はない。

 玄関の前にはまだ、いるのだろう。気配がする。

 何か言っても帰るかわからない。無性に心が汚く染まっていくのがわかった………あいつらに復讐したい。そんな気持ちが出てきたが………

「………」

 ふと、一人の女の子の顔が浮かび、その気持ちはつぶれた。そうだ、あの子に連絡しよう。

 携帯を取り出してさっさと電話する。

 何度かのコール音………すぐに出るはずなのだが、出なかった。

「………ああ、そういえば海外に行ってるって言ってたな………」

 昨日そんなことを直接俺の部屋まで来て話したのだった。いかん、頭がぱにくってるから忘れていたのかも知れんな。

 玄関の外にはあいつらが、まだいる。いつまでいる気だ。俺はお前らを町に案内する気はない。


 子どものころに受けた心の傷は、そうたやすく治らない。


 ベランダに出る。あいつら二人とは反対側の部屋に行くために壁を伝ってわたろうとしたのだが………

 一陣の風が吹き、俺はアパートから落ちた。

「ぐはっ!!」

「ひいっ!!!」

 右太ももから落ち、少しの間悶絶する。近くにいたおっさんが俺を見てビビッて腰をぬかしていた。しごく、全うな反応だ……それより、俺の部屋が二階でよかったな〜………今頃ぺちゃんこになっていたかもしれんからな。

 驚いているおじさんを置いて、俺はこのアパートにつけられているエレベーターへとむかった。

 みていたおっさんがこれは何かの撮影か?といったのが聞こえた気がした。

 とりあえず、アパートから脱出できた俺はじーちゃんとばーちゃんに事情を聞くために屋上へと向かう。

 エレベータであがっていく途中、まだ俺の部屋の前にあの二人がいるのが見えた。憎悪が、心を包む。心は昏く、凶暴性を俺に持たせようとして………


『最上階です』


 機械の無機質な声で我に返った。

 考えたって、時間の無駄だ。俺はさっさとじーちゃんとばーちゃんの部屋をノックもせずに開ける。

「じーちゃん!ばーちゃん!!」

「どうしたんだい、そんなに慌てて?」

 この二人があの双子のことを知らないことはないはずだ。きっと、承知のことでここに呼んだに違いない。

「何で、何であの二人を………」

 言葉が続かない。あの日のことを思い出しそうになり、心が締め付けられて涙が出てくる。

 流れる涙は部屋のじゅうたんをぬらした。

 ばーちゃんは普通の顔で言った。

「………あの二人、お前がお隣だと聞いてよろこんでいたよ」

 何を言っているのかわからなかった。心が何かを求める。そう、それはあの二人に復讐だ。それだけを求めている。それが、わかる。

「あの二人、お前に謝りたいといっていたよ」

 心が、止まった。

「謝る?何を?」

 あの二人が何を謝りたいのか、それはわかっている。

だが、憎しみはまだ、心を覆っている。

いや、覆っているんじゃない、俺の心は今、憎しみで出来ている。

あの二人がにくいのだ、俺は。いや、憎いというのならあのときの友達すべてがにくいはずなのだが…………憎いのはあの二人だけだ。裏切られたという気持ちがあるからだろうか?何故かは知らんがあの二人に期待をしていたからなのか?あの二人が俺を救ってくれると信じていたからなのか?駄目だ、よくわからない。

「そうだぞ、辰也」

 唐突に後ろで声がした。

「………じーちゃん」

 しゃがれている声のじーちゃんは双子を連れてきていた。どうやら、見事にはさまれてしまっているようだ、俺は。

 憎しみのこもった視線があの双子を貫くのを俺は感じた。その視線の持ち主は俺だ。双子は俺の視線を受け止めずに、そらした。

 そらしたまま、さっき久しぶりだといった女の子は俺に言った。

「ご、ごめんね」

「…………あ、あの」

 すごく、耳障りだ。あの双子の片割れだと知らずに聞いたときは心地よい声だったのに、人の心は現金なものだな。

「ご、ごめんなさい」

 もう一人もそんなことを言う。

 耳は受け付ける、心は受け付けない。赦さない、赦されてはいけない存在なのだ、この二人は。

 あの時、俺は苦しくて彼女に手を伸ばした、近寄らないで………彼女はそう言って俺から逃げた。悲しさで押しつぶされそうで手を伸ばした、おびえた顔で………彼女は彼女が嫌いだった毛虫を見るような目で俺から離れた。

 俺はじーちゃん、双子を押しのけてじーちゃんとばーちゃんの部屋を出た。

「あ、あのさ、辰也………」

「だまれっ!!俺は知らない………僕は、僕は裏切ったお前たちを赦さないからな!!」

 あの頃の俺はまだ心のどこかで生きているらしい。


 正直言って、今の俺はあの二人を赦している。だって、あの時あちらの立場だったら俺だってそうするから。友達がすべてだった。自分が不幸をよぶ少年と一緒にいたら確実に仲間はずれにされてしまう………そう思うのは当然だ。

 赦していないのはあの頃の俺。

 俺は俺、だが、あの頃の俺は心の奥に住んでいる。俺は………あの頃から成長しきれていないのか?


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