第九話:湖面月
さて、そろそろ辰也編も終了が間近となってきました。わんちゃんさんみてますか!それと、これまで読んでくださった方………ありがとうございます。さて、一つ前の前書きで皆さんに言っていたことをおぼえているでしょうか?あの後、悲しいことに一人も……一人もメッセージを……うう、くれる方がいませんでした!ま、まぁ、それはさておき、今回で第九話!泣いても笑っても、予定では次で先ほども言ったとおり辰也編は終了です!感想なんかくれると非常にありがたいんですけど………あ、それともう一つ……これは作者様に向けてのことですが、このことはあとがきのほうで詳しく聞きたいと思います。
九、
どんな過去でもそれは変えられない
決定していない未来は変えられる
湖面に映った月を歪めるのを決めるのは………
――――――
『じゃ、辰也………今日はお前の言うとおりにしとくぜ?』
「ああ、よろしく頼む………悪ぃな、面倒かけさせて」
『気にするな、徹にはきちんと言ってるんだろ?』
「ああ、徹のほうにも言っておいた………杞憂で済むといいんだけどな」
『そうだろうな、まぁ、俺はお前の頼みだから聞いているから。それに今日はお前の両親の命日だからな〜学校にはきちんと言ってるんだろ?』
「勿論」
『そうか、じゃ、気をつけて行って来いよ』
「ああ」
俺は電話を切って学ランに袖を通す。別に学校に行くわけではない。行くべき場所は両親の墓標だ。父が母を殺して自殺した。考えてみれば同じお墓にはいっていることはおかしいことなのではないのだろうか?母方の父さん母さんであるじーちゃんばあちゃんは娘を殺した男と同じ場所に自分の娘を入れたことになる。
「…………」
俺が別にとやかく言うことではないのかもしれない。息子ではあるのだが、父さん母さんのことについて詳しく知っているわけではないのだ。
「辰也、いくぞ」
「あ、うん」
じーちゃんに玄関のほうで呼ばれ、俺は急いで支度を終えて後を追った。
―――――
両親の墓標がある場所は近くの寺………ではなく、結構遠い場所で隣の県だ。きっと、家に帰りつくのは夜遅く、悪くて二日ほどかかるに違いない。
交通手段は電車、バス、電車、徒歩といったところか?
電車内、俺はばあちゃんの隣に座って考えていた。
「どうかしたのかい?」
「ん?いや………」
朝唐突に考えたことを危うく口走ろうとするのを飲み込む。
「何か言いたげみたいだけど………当ててやろうか?」
にやりとした表情をばあちゃんがしたときは確実に答えを当ててくるときの予兆であるということを俺は知っていた。
「何故、自分の娘を殺した男と同じ墓に娘をいれるんだろうか………そんなところだろう?」
今回も、ばあちゃんは確実に狙ってきた。
「そうだよ………」
考えてみれば誰だってそう思うのだろうから別に難しいことではないのかもしれない。そこで、それまで黙っていたじーちゃんが話に加わってきた。
「辰也、物事には何らかの理由が必ずあるものさ…………だからな、その理由を知りたいと思ったときはそれなりの覚悟がいる。知らないことを知るということは知らないということを犠牲にするってことなんだからな」
ちょっと難しいことを言っていることは明らかだった。成績が芳しくない俺には若干難しい。
黙っていると今度はばあちゃんが口を開く。
「…………知りたいかい?」
「いいや…………やめとく」
それを知ってしまうと何か変わってしまう………いや、壊れてしまう気がしたから俺は聞くのをやめた。
「そうかい、知りたくなったらいつでも聞きにおいで………まぁ、期限があるけどね」
なんともまぁ、この話題は期間限定だったのかと思ってそれは何故かと思ってたずねてみると………
「私らが死ぬ前に聞かないとね。死人はしゃべらないからね」
なにか意味深な顔をしたばあちゃんだったのだが………それ以前にばあちゃんじーちゃんはそれこそ、殺しても死にそうにない気がするのは俺だけだろうか?
―――――
墓の前にいるのは俺たちだけで、どうやら親族たちは既に終わらせているようだった。まぁ、母方の両親であるじーちゃんばーちゃんに合わせる顔がないことぐらい、ここ数年のことで俺は既にそれを知っていた。大抵、俺たちが来たときには既にお墓が綺麗にされており、お供え物がされている。だが、唯一父さんの家系で俺たちと顔を合わせているのは………
「やぁ、辰也君」
「おじさん………こんにちは」
おじさんだ。去年ぐらいからだろうか?たまにおじさんを見かけるようになったのは。おじさんはまだ独身で、このお墓参りにもしたがって一人でやってきている。
そこで、世間話に花を咲かせている三人を放っておいて俺はお墓のところをうろうろすることにした。うろうろしないほうが絶対にいいだろうが………
「ん?」
気がついてみれば毎年毎年ここにはやってきているのだがおかしなことにこの霊園のことを俺は殆ど知らなかった。まぁ、そんなものかもしれないんだが………
「あれ?」
墓の影に見知った人影を見た気がした。それも、二人………
「理恵、里香…………」
「辰也………」
「辰也君………」
二人とも片手に花束を持っていて、もう片方はしっかりとお互い手を握り締めあっている。きっと、お墓参りに来ていたのだろう、偶然。では、だれの?
たずねようとしたら理恵はそれを察知したのか俺から目をそらす。
「行くわよ、里香」
「え、あ、うん」
理恵はそのまま俺を素通りしてしまった。里香も同じようにして通っていき、世間話の花畑となっているところへ向かったところまで確認すると俺はその場を後にした。
――――――
綺麗な湖面がお墓の近くにあるのは珍しいことなんだろうか?俺はいまだに世間話をしているであろう三人を放っておいて湖を眺めていた。時折、小さな魚が動いている姿を確認できるし、ここには何か来た人を元気にさせる何かがあるのかもしれない。観光旅行の穴場にしたらいいかもしれない。
「辰也」
「辰也君」
「ん?」
気がつけば、右と左に双子が来ていた。
「何ぼーっとしてるのよ?」
「いや、ちょうどここ………観光名所にしたらよさそうだなって思ってさ」
俺がそういうと二人ともはぁ?って顔になる。
「辰也君、ここ、霊園だよ?」
おずおずといった調子でそういう里香に俺は当たり前であることを思い出した。
「あ………そうだったな」
墓地の中を通ってわざわざここに来たいと思う人がどれほどいるのだろうか?
「辰也、帰るぞ!」
じーちゃんの声が聞こえてきた。俺は双子に背を向けることになる。
「………二人とも、たまには俺の部屋に遊びに来いよ。お茶ぐらいなら出せるからさ」
「「!?」」
きっと、今の二人は物凄く驚いた顔をしているのだろう…………俺は振り返ってみたくなった。
「………まぁ、来たくないんだったらこなくていいけどな」
「そんなこと言って………お茶が切れても文句言わないでよ?」
挑発的な声が後ろから聞こえてくる。
「お菓子、持って行くね?」
素直に嬉しそうな声が後ろから聞こえてくる。
「ああ、待ってるからな」
俺は軽く右腕を上げるとじーちゃんたちのところへ向かったのだった。
さて、いかがだったでしょうか?双子と辰也が仲直り……したのはいいのですが、あっさりすぎる!と思う方もいるかもしれません。その理由は次回にて詳しく書きたいと思っています。前書きで最後に言っていたこと………それは、以前雨月が執筆していた『飛龍とかいてワイバーンと呼ぶ!』の続編を書いてくれる方を探しています。書いてもいいよ!という熱意のある方はどうかお願いしたいと思います。その場合はメッセージでお願いしたいと思います。




