お昼と子供
食堂にはワイワイ、キャッキャッと楽しい話し声が響いていた。
「えー!ご主人様そんな事があったんですか!面白いですね!」
「じゃあ、今度は私達と一緒に行きましょうよ」
「おう!良いぞたーのしーぞー!」
サンドウィッチの中身は、卵サンド、カツサンド、ミックスサンドと選り取り見取りだった。
「シェフ!いつも美味しいの作ってくれてありがとう!」
「ありがとうございます!このサンドウィッチおいしーです!」
「シェフ!試食とか必要だったら呼んで下さい!飛んできますから!」
シェフは料理中だったため、一礼して手を振ってくれた。
「おい、ノルベルト。お前もありがとう言ったらどうだ?」
「あふ、あふっ。ふぇ?…んっ!シェフ!この鍋焼きうどん美味しいですよ!もう汗だくで…。冬にも作ってくださいね!」
汗だくのイケメンほどそそらないものもあるんだな。
「で、ノルベルト。突然押しかけてきてなんのようだ?」
「ふー、ふー、ああ、それなんだがな。あふっ、あふ、うん。また、ふー、」
「話してるんだから食べるなよ」
「なに言ってるんだ!折角の美味しいうどんが伸びるだろ!」
「それもそうだな。じゃあ、食べ終わってから話すか。熱々のうちに食えよ冷めたら味が落ちる」
そうしてノルベルトが熱々の鍋焼きうどんを食べ終わるまで待っていた。
「それ面白いな。アハハ!」
「え!ネムちゃんそれほんと!?」
「お前はいいから飯食え。待ってるんだから」
「はい…。ふー、ふー」
やっとのことで食べ終わったノルベルトに自分の分の皿を片付けさせた。
「おい、これ客にやらせるのか?」
「大丈夫だ、お前は客じゃない」
「なんでだよ!」
「突然押しかけてきたくせうちの秘書をナンパしてただろ、ただのストーカーだ」
「ひでぇ!」
「で、なんの用だ、ノルベルト」
「切り替え早いな。最近奴隷専門で人攫いが起きてたのは知ってるよな」
「ああ。でもそれなら、この前解決しただろ」
「それがな、その誘拐された奴隷達の半分は奴隷契約を破棄されて、残りは、あんな所戻りたくないって逃げ出してしまったんだよ」
「どちらにしても、酷い主人だな」
「それで誘拐された猫娘の中にまだ4歳の子がいるんだ」
「4歳!?そんな小さい子を奴隷にしてたのかよ!」
「ロリコンがいて、そいつがその子だけ使役していたらしく、「絶っっっっっっっっっ対帰らない!」って言ってる」
「それでどうしたんだ?まさか」
「ああ、そうだ。この家で受け入れてくれ。他の子達は俺ら猫の会で分けるからさ。会長のお前は1人でいい」
「1番大変なの押し付けやがって!」
「え?受け入れないの?」
「受け入れるに決まってるだろ!」
「じゃあ、明日教会にきて、そこで預かってるから」
「そうか、分かった。」
「じゃあ、俺はこれから用があるから帰るわ」
「ここで見送るから。じゃあな」
ノルベルトが帰った後、メイド長に相談して早速教会に向かった。なんでって早いほうがいいだろ。
教会に行くのに同行したのは、メイド長とニムとネムだ。
教会に入り、メイド長に話を通してもらう。
その間ニムとネムと3人で中を見学していた。
ニムとネムはここに来るのは初めてでテンションアゲアゲだった。
「わー!すごーい!天井に絵が書いてある!!」
「ご主人、ご主人!あの壁に書いてある絵はなんで光ってるんです?」
「ああ、あれはステンドグラスて言ってガラスなんだよ」
「なるほど!外からの光で光ってるんですね。凄いです。うちでもやりましょう!」
「ここは教会ですよ。もう少し小さい声で話して下さい」
「「「はい…」」」
帰ってきたメイド長に怒られた。
「奥の部屋に居るそうなので行きましょうか」
「分かった」
メイド長について教会の奥にくると、子供達が沢山いた。
子供達は突然現れた大人達にびっくりした顔だったが、メイド長をはじめニム、ネムと人猫族と分かると見下した態度になった。
「やいやい、人猫族が俺らになんのようだ!」「どれいのぶんざいでに洋服きやがってよ!」「そうだそうだ!」「おらおら、なんかいえよ!」「人猫族がにんげん様にはむかったら死刑だけどな!」
…聞いてて、人間辞めたくなった。昔からこう言うのは聞いているけど、子供にまでとは。はあ、人間みーんな絶滅すれば良いのに。
心配してニムとネムに目を向けるとニムは今にも飛びかかりそうに、ネムは昔散々言われたのだろう涙目になっていた。
そんな2人の肩に手を添えて後ろに移動させた。
子供達は前に出てきたのが男で大分ビビっていたがすぐに罵声を吐き出し始めた。
そんな子供達を横目に大きく息を吸って
「お前ら!」
罵声よりも大きな声で一喝。
「うちのかわいい使用人達を馬鹿にしたという事はその主人である俺を馬鹿にしたこととなる!奴隷は馬鹿にしても良いかもしれないが!使用人を馬鹿にするのは大罪だ!それでも良いなら好きなだけ馬鹿にすればいい!」
しばらく何を言われているのか分からないのかボケッとしていたが、やっと理解できたようで焦った顔つきになった。
子供達は俺に近づき謝ってきた。
「? 俺じゃないだろ、謝るのは」
そう言われて素直に頷き彼女達の元へ行った。
「おねーちゃん。馬鹿にしてごめんなさいでした」「ごめんなさい」
1人が言うと周りの子達も謝りだす。
それを見たネムは涙を拭き、目の前の男の子に
「もう、あんな事言っちゃだめだよ。私達だけじゃなく誰にでもだよ?できる?」と言った。
「うん…。じゃあ、絶対守るから指切りしよ?」
「いいよ。ゆーびきりげん…―」
そうして、ネムは男の子の頭をポンポンとやり、周りを見渡して
「皆もだよ?」
と言ってその場は収まった。
ニムはというと、ウムウムと頷いていた。…いや、お前は何もしていないから。