第2話 魔物との最初の戦い
(気配感知LV1のスキルを得ました。)
このタイミングでスキルを得るとはさい先がいい。人間のときより気配が読めないが生まれて一時間くらいで気配を感じられるなら大したことだ。
振り返った先には緑色の小人で頭に小さな角を付けたゴブリンと呼ばれる魔物が右手にボロボロの短剣と左手に鍋の蓋のような盾を身につけてこちらに向かってきた。
大きさは俺より少し大きい80cmくらいだろう。
「グギャギャ〰」
そんな声を上げて短剣を降り下ろした。
俺は二足で立ち上がりながら短剣に合わせて身体を反らしつつ左手でゴブリンの右手首に手刀を入れる。
ゴブリンの手首からゴキリと骨が折れる音が聴こえ、その痛みにゴブリンは短剣を手放した。
俺はその隙を見逃さず右手で心臓部めがけて貫手を放つ。
ゴブリンは盾で防ぐ間もなく心臓を貫かれ絶命する。
(12の経験値を手にいれました。)
最初の魔物との戦闘があっさり終わってしまった。だがこのままにしておく訳にも行かない。英雄の卵のせいか腹が少し減っている気がする。
最初の食事がゴブリンというのもなんだが背に腹は代えられない。
早速ゴブリンを生で食べてみた。確かに食べられるが不味すぎる。こんな物を食べ続けたら精神がおかしくなりそうだ。
とりあえず一匹食べ終わると周囲から気配が増えてきていた。
先ほどと似たような気配が5、6匹とそれより小さい気配が4匹。
(気配感知がLV2になりました。)
スキルがこんなに早く上がっていいのだろうか?
そんなことを考えていると背後から小さな気配が襲って来た。
振り返り様に裏拳で対象に当てると、びちゃっと顔に液体が付いた。
(10の経験値を得ました。)
あれがスライムだったのか。
ぬるっとした感覚があるが匂いは水と変わらない。頭を振って水を払うとゴブリン達が一斉に襲って来た。
それから倒しては食べ、倒しては食べを繰り返し、今現在俺は木陰に隠れていた。
いや本当にキリがない。寄ってくるゴブリンを53匹、スライムを37匹倒したがまだLV4だ。
なかなかLVが上がらない。
ゴブリンは数が増えるばかりか組織的な動きを見せることあった。なかには弓を扱う者もいて意識を割かなけれいけなくなり矢が翼を掠めることも多々あった。
何より嫌なのはゴブリンの不味さだ。生の味にも飽きて焼く方法はないかと考えたところ
(自分で火を吐けばよいのでは?)
初めてドラゴンになったのにどうやれと?
(魔法はイメージが大事です。人間が使う魔法もドラゴンが吐くブレスも同じ魔法です。まずは息を吸い人間の肺の間にドラゴン特有の器官があると考えて火を器官に溜めるイメージをしてください。)
言われた通りに息を吸って肺の間に魔力を溜めるイメージをする。
(それから気管を通して口径を調節して火を吹いて。)
言葉に合わせて吹く。
ボッと小さいが確かに火が出た。
(おめでとうございます。火の息LV1を取得しました。)
火は出た。しかし、継続できていない。肉を焼くには一定の火力と継続ができていないといけない。これは練習が必要だな。
木陰に隠れながらゴブリンを焼く練習をしていたが実際に焼いて食べてもほとんど味が変わらなかったのだ。
喉が渇けばスライムを水代わりに飲んでいるがゴブリンの不味さだけはもう勘弁してほしい。
第一何故他の魔物が出てこない?
(それは恐らく警戒しているのでしょう。貴方も薄々感じていた一際大きい気配に。)
やはりそうなのか。
さっきから本能的に危険が迫って来ているのを感じていた。間違いなく今戦っても勝てない程の大きな気配。今はまだ遠いがリキュアル草の効果で確実にこちらに近づいてくるので戦闘は避けられないだろう。
初心者の腕ならしに使う森じゃなかったのか?
(この森に誰かが持ち込んだのでしょう。理由は分かりませんが。)
はぁ。やはり運がない。
こいつと対峙する前に少しでもLVを上げなければならない。
俺は再びゴブリンを狩りはじめた。
ゴブリン
HP 18
MP 5
STR 15
VIT 11
AGI 13
DEX 20
INT 9
MND 10
LUK 17
スライム
HP 12
MP 3
STR 12
VIT 10
AGI 11
DEX 11
INT 10
MND 16
LUK 15
この森で戦った魔物のLV1の平均値のステータスです。