第27話 魔法学
魔法は体内の魔力を使い発動させるもので使い方は感覚的なものでしかなく魔法書はそのイメージを掴みやすくするのに、この魔法はこういったものだ。詠唱はこうだ。と国で統一化された記述をしたものであり魔法書通りに詠唱を唱えないと発動しないというものではない。
だが詠唱に意味がないかと言われればそんな事はない。詠唱はイメージををより鮮明にする為魔法の威力は無詠唱に比べれば高くなる。
ただ戦闘の際は詠唱から使用される魔法を特定し対策を取られる為無詠唱で使用される事が多いので詠唱魔法を使う時は独自で詠唱を改変させるなりして対策をする必要がある。
魔法具を媒介にして無詠唱で詠唱と同じ威力の魔法を使う事もできる。
魔法には様々な属性があり、その属性を使うには適性がないと使えない。
こればかりは個人の生まれつきの才能でしかないが身体強化のような適性を必要としない魔法もあるし、適性を持たない人間は非常に少なく一般的に一つ以上は適性を持っている。他にも種族特有の魔法などもある。
端的に言えば魔法を使うには適性とひたすら練習をするしかないと言うことで魔法学の授業は訓練所に移動し、各々個人で魔法の練習をしていた。魔法学校なだけあって魔法学には時間を多く割いているし、教員も複数人で対応している。
「シルバーはどうするんですの?私に出来ることなら手伝ってあげますわ。」
初めての授業で俺を気にかけたセフィリアが年不相応に成長している胸に手をあて協力を申し出る。
「それなら魔法書に載ってる魔法を無詠唱で構わないから始めから見せて欲しい。実際の魔法、そこに至るまでの魔力の量、魔力の流れを見てイメージを固めたい。」
セフィリアのステータスを見ているのでどういった魔法があるのかは知っているが実際に使っている所を見たことがないのがほとんどだ。
「お任せですわ。先ずは、ファイアボール!」
セフィリアの前方斜め上に赤い火球が現れ闘技場の地に勢いよく飛んでいき火の粉が散る。地面には焦げ跡が付き少し黒くなっていた。
セフィリアに魔法を使ってもらって俺はその様子を見逃すまいと眺める。
時間はたくさんあるので一つ一つ見ては試し、出来なかったらまた見てとトライ&エラーを繰返し初級魔法を覚えていく。
魔力操作がある為か使うのにさほど苦労しなかった。そうして一つ一つ覚えていく途中で気付いたことがあった。
「なぁ、セフィリア。何で闇魔法は魔法書に載って無いんだ?」
「禁忌なものが多いからだと聞いたことがありますわ。どんな魔法も使い手次第だと思いますのに。」
セフィリアは闇魔法の存在に忌諱感を持ってないようで少し安心する。しかしそうなるとどうやって闇魔法を覚えるかと言う疑問にぶつかる。
魔法書に載ってないなら闇魔法を使える人に教えてもらえばいいだけの話なのだがそんなうまい話が早々ある訳がない。
一応生徒達と教員達のステータスを視てみると使える人物が一人だけいた。