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拳王転生銀竜の武者修行  作者: 鳴神
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第26話 編入

 昨日はギルドに良い依頼はなかったが確認の為に11階層に行き、魔物を狩ってきた。流石中階層と言うところか魔物との遭遇率も高かった。スキルが幾つか手に入りはしたがレベルが1しか上がらないのが残念である。ついでに魔物は上の階層よりも美味かった。


 そして今日は俺の魔法学校の編入の日である。事前にフォルテとライオネルが転生のことは伏せて教職員と全生徒に告知をしていると言うが生徒達の反応がどうなのかは分からない。

 とりあえず今は朝食を摂ってアイテムボックスに昼食の弁当を詰めて城の外でティアナとセフィリアを待っている。

「お待たせしました。」

「お待たせですわ。」

 2人が学校の制服を着てやって来た。

「シルバー、今日からはクラスメイトですわ。」

「ああ、だから魔法について色々聞くと思うから頼むな。」

「魔法だけでなく他の事でもいいですわ。」

「魔法についてはセフィリアの方が詳しいけどそれ以外なら私を頼ってもいいですよ。」

 学校に向かいながら取り留めのない話をしていた。勿論その道中、周囲の視線はシルバーに向けられた。その中には当たり前だがティアナやセフィリアと同じく制服を着た学校の生徒達もいる。s

 従魔も少数ながらいるこの世界で従魔と一緒に街を歩く者もいるだろう。

 しかし、従魔でない魔物なうえ人に危害を加える事なく友好的に会話をする魔物は恐らくいないだろう。

 周囲の人が興味を持たない訳がない。これで多少なりとも印象が良くなれば御の字である。

 そしてついに到着した。


 ここは王立フェリス魔法学校。入学した10歳の子供達が5年間通う校舎だ。幾つかの競技場とフォルテが作った人工迷宮があり、生徒達が日々切磋琢磨しているのだ。教員も元王宮魔道士や高ランク冒険者などをそれなりに揃えている。良い環境の学校である。


 セフィリアはライオネルが魔法の天才と言うだけあって一つ飛び級して学校に入学しており現在2年生なので俺が通うのは4年間と言う事になる。

 セフィリアと同じクラスになる事は分かっているが先ず教員達にこれから世話になる為の挨拶と担当教員の指示を仰ぐ為、俺達は職員室に向かった。ティアナは学年が違うので先に別れた。


「失礼します。セフィリア・ヴァンデウスです。銀竜シルバーを連れて参りましたわ。」

 セフィリアが職員室のドアをノックしてから入り、続いて俺も入る。

「おぉ、シルバー君よく来てくれました。セフィリア君も案内ご苦労様です。」

 周りの教員達が遂に来たのかという様子で授業の準備をしながらチラチラと俺を見ている。

「学長自ら出迎えに来ていただけるとは光栄です。ですがたかが一編入生にそこまでしていただかなくても結構ですよ。」

 教員達は少し目を見開いて俺の言葉を聞き、セフィリアは何か悪いものでも食べたのかとでも言いたそうな顔を俺に向けていた。

「いやいや、シルバー君を見てたかがなんて言える人はいませんよ。それに私に対してはその気持ち悪い話し方でなく一昨日のように砕けた話し方で大丈夫ですよ。」

フォルテもセフィリアと同じようなことを考えていたようで随分な事を言ってくれる。

「俺が敬語を使うのはそんなに可笑しいか?」

「可笑しいですわ。お父様にも使った事がないではありませんもの!?」

 フォルテではなくセフィリアが即座に答える。

「ライオネルに敬語無しで話すことはさておきこちらがセフィリア君の、そしてシルバー君のクラス担任のジミー先生です。」

 俺の疑問は軽く流されたが、それ以上にフォルテの隣にいる俺達の担任の先生がいつの間に現れた事に驚いた。

 彼女の名前はジミー・ブラウン。髪は肩くらいまで伸ばした茶色で、これといった特長のない目に茶色の瞳、顔は少し小さい丸顔、身長も大き過ぎず小さ過ぎず、体型も胸が大きくなく小さ過ぎるということもなく、腰は少しくびれがありお尻も大きくなくと全体的に言い表すと名前と同様に普通、あるいは地味としか言いようがない。

「あら?ジミー先生いつの間にいらしたんですの?」

「あのぉ、私最初の方からいたのですけど……」

 セフィリアがいつもの事であるかのように言い、ジミーも慣れているようであるが少し落ち込み気味に答えていた。

 俺が驚いたのはジミーが言ったようにずっとフォルテの隣にいたのにも関わらずセフィリアと同様に俺も彼女が始めの方からいた事に気付かなかった事だ。フォルテと話してたので対面していて勿論その隣くらいは視界に入っていたはずなのに気付かなかったのだ。


(いくら地味でも目の前に居たのに気付かないなんて影が薄いにも程があるというか絶対にあり得ん。何者なんだ?)


 俺が考えてるうちにクラスに向かう事になっていた。ジミーの案内でセフィリアと一緒にクラスに向かった。


「では、皆さん席に座ってください。」

 ジミーは教室に入ると生徒達を席に座らせる。

「事前に告知していた通り今日から編入生が一人?一体?兎に角このクラスに入ります。銀竜のシルバー君です。」

 ジミーの話に合わせて俺はセフィリアと一緒に教室に入り、教壇に立つ。

「はじめまして俺の名前はシルバーだ。この魔法学校には魔法を学び、より一層強くなる為に王様に頼んで編入させてもらった。生まれてそれほど時間が経ってないのでこの世界の常識や魔法に関する知識もないの皆には色々と教えて貰うつもりだ。魔法については分からない事ばかりだが、武術、特に徒手空拳での戦い方については色々と教えられると思うので聞きたい事があったら聞いてくれ。これからの1年間よろしく頼む。」

 挨拶の締めにお辞儀をしてから皆を見ると驚き、蔑み、喜びなど様々な表情をしているが例外なく俺に注目している。居たたまれなくなりジミーに視線を送る。

「それじゃあシルバー君専用の席を用意してありますのでセフィリア様と一緒に座ってください。それとこちらがシルバー君の教材です。」

 ジミーはすぐに対応し、俺は教材を受け取り用意された席に座る。中々凝った意匠の鉱石の机と椅子で座り心地はいいし、丈夫であった。

「シルバー君への質問は後回しにして早速授業を始めます。」

クラスからブーイングの声が上がるがジミーは気にせず授業を始めるのであった。


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