第23話 ギルド報告
迷宮を出てギルドに着くまで道行く人は全員シルバーを見ていた。進化して大きくなり160cmくらいになった銀竜は鱗の光沢も相まって目立つ。
扉を頭で押し開け依頼書を受付に出す。
「え~とシルバー様でございましょうか?」
「あぁ、進化して大きくなったがシルバーで間違いない。それは置いといてポイズンスパイダーの討伐をしてきたんだが確認の方を頼みたいんだが……」
「分かりました。ではギルドカードの提出をお願いします。」
昨日と同じようにギルドカードをスキャンする。
「他はさておき、ポイズンスパイダーが113体とヴェノムスパイダーが2体ですね。こちらの方はお一人で?」
「いや、流石に皆でだ。」
「そうですか。ポイズンスパイダー討伐の報酬は用意しますがヴェノムスパイダーについてはギルドマスターに話を通してきますので少々お待ちください。」
受付嬢は上の階に上がっていく。少しして受付嬢が戻ってくる。
「お待たせしました。すみません、ギルドマスターがヴェノムスパイダーについて事情をお聞きしたいそうで面会していただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「大丈夫だ。」
皆を見ると頷いて答えてたので受付嬢に案内されギルドマスターの部屋に連れられた。
「此方に来てもらって悪いな。じっくり話を聞きたかったんでな。兎に角座ってくれ。」
ギルドマスターのダーウィンが悪びれもせず席を促す。全員が席に着きダーウィンが口を開く。
「さっそくだが今日のポイズンスパイダーの異常な討伐数とヴェノムスパイダーについて事情を聞かせてくれ。」
俺達は先ず8階層までの行動の経緯大まかな説明し、ギルバートがヴェノムスパイダーに殺されただろう冒険者達の遺品をアイテムボックスから取り出す。
「これがヴェノムスパイダーが居た場所にあった冒険者達の遺品です。ギルドカードもあります。」
「世話をかけたな。」
ダーウィンが頭を下げて礼を言う。
「偶々拾うことが出来ただけです。ヴェノムスパイダーはシルバーとの戦いで両爪と足2本を失っていましたから攻撃力と機動力が落ちたうえシルバーが最後に魔法を放てるだけの距離を離してくれたので俺達でも対処出来たんです。」
その後、俺が進化したことと倒したヴェノムスパイダーが雄であったことからポイズンスパイダーの大量発生の原因たる雌のヴェノムスパイダーがいると考え、また探し始めたことを話した。
「そんで、8階層に居たのか?」
「いえ、10階層でした。ボス部屋の手前の別れ道の行き止まりの先です。」
「あそこは行き止まりではないのか?」
「突き当たりの横に狭いですが通路がありました。」
ダーウィンとギルバートの会話が続き、通路の先に広場があり、気配察知の反応が多く、セフィリアとシルバーの魔法で粗方片付けてたことを話し一息つく。
「じゃあもう必要以上の危険は無いのだな?」
「断言は出来ませんが恐らく大丈夫だと思います。」
「分かった。それじゃあ次はヴェノムスパイダー討伐の報酬の話だ。上層でヴェノムスパイダーの出現はどう考えても討伐依頼を出す代物だからな。」
「ヴェノムスパイダーは1体どれくらいだ?」
俺が会話に口を挟む。
「銀貨5枚だな。ってことで2体で銀貨10枚だ。そんでポイズンスパイダー113体で銅貨904枚なんだが銅貨904枚も持ち歩く気はないだろうから銀貨9枚と銅貨4に両替しとくわ。合わせて銀貨19枚と銅貨4枚だが銀貨10枚は金貨にするか?」
「あぁ、それで頼む。」
俺達はダーウィンから金貨1枚と銀貨9枚、銅貨4枚を受け取りギルドを出た。
「今日の報酬はどうするか?」
帰りの道中すっかり忘れてた疑問を口にする。
昨日、一昨日はギルバートと2人だったし、ギルバートが一切手出ししないので俺の総取りだったが今日は3人に手伝ってもらった。
「シルバーが金貨1と銅貨4枚、私とティアナ姉様、ギルバートで銀貨3枚でいいのではないかしら?」
「俺はちょこっと斬っただけだし銀貨1枚で良い。2枚はお嬢様方で分けてくれ。」
俺は銀貨4枚をセフィリアとティアナに、ギルバートに銀貨1枚を渡す。
アイテムボックスをくくりつけるベルト欲しいな。
心の中で呟き城に帰るのだった。