第18話 報酬と事情聴取
中途半端なので後で編集します。操作ミスで完成間近で消えてしまったので一度上げときます。
冒険者ギルドに入るとその場にいた冒険者達の内、数人がこちらに目を向けるが気にせず今朝応対してくれた受付嬢のところに行く。
「こんにちは。どのようなご用件でしょうか?」
「これを頼む」
俺は受付嬢に依頼書を3枚渡す。
「分かりました。では、こちらの依頼の品をお願いします。」
「ホーンラビットの方がまだ解体してないんだが大丈夫か?」
「こちらで解体することも可能ですが料金が発生します。自分で解体するのでしたら倉庫の方をお貸しできますが、どちらにいたしますか?」
「ギルバート、解体のやり方を教えてくれ。」
「いいぞ。覚えておいて損はないからな。」
「分かりました。では後程倉庫の方にご案内いたします。ではまず、ミノタウロスの角の方をお願いします。」
「ではこれを。」
ミノタウロスの角を2つ差し出す。
「良い状態ですね。ではミノタウロスの角2つでまずは銀貨2枚、ポイズンスパイダーの討伐数を確認しますのでギルドカードの提出をお願いします。」
受付嬢にギルドカードを渡し、レジのような魔道具にスキャンしている。
「では今日の討伐数の記録を確認します。コボルト12体、パラライズスネーク8体、ロックタートル6体、アーミードードー18体、ブラックビー16体、ハンマーローカスト8体、ウィンドバット8体、ホーンラビット4体、ミノタウロス1体そしてポイズンスパイダー30体ですね。因みにこれはそちらの方とご一緒に討伐しましたか?」
「いや、俺一人だ。ギルバートはあくまでも監視役だからな。」
「確認したいならどうぞ。」
ギルバートがギルドカードを出す。
「では失礼します。確かにギルバート様の本日の討伐数は0ですね。ありがとうございます。」
ギルバートからギルドカードを受け取り俺と同じようにスキャンして確認すると顔をひきつらせながらギルドカードを返す。
「では、ポイズンスパイダー30体で銅貨240枚になりますが大銅貨24枚に両替しときますか?それとも銀貨2枚と大銅貨4枚に両替しときますか?」
「それなら銀貨2枚と大銅貨4枚で頼む。」
「畏まりました。こちらはお返しします。」
俺にギルドカードを返し報酬を取りに行く。
「お待たせしました。こちらがホーンラビットの素材の報酬を含めて銀貨4枚と大銅貨8枚になります。では、倉庫の方にご案内させていただきます。」
倉庫に案内され大台に袋からホーンラビット4体を取り出す。前世でも狩った動物を解体したことがあるが魔物が同じか分からない。ギルバートに教わって解体していくがあまり変わりなかった。
「ところでシルバー気付いているか?」
「何にだ?」
「魔石食べた後くらいから話し方に引っ掛かりがなくなっているぞ。」
「えっ?」
そんな会話から王城に戻る。
王城に戻る時には5時半を回っていた。扉の前ではセフィリアとティアナが待っていた。
「お帰りシルバー、とギルバートも。」
「シルバー、お帰りなさい。ギルバートもお帰りなさい。」
「セフィリア、俺はついでかよ。ただいま戻りました。」
「ただいまティアナ、セフィリア。」
一連の挨拶を終えてティアナが口を開く。
「シルバー、帰ってきたところで悪いんだけど今朝の話を聞かせてほしいからお父様の執務室に来てほしいのだけどいい?」
「そうですわ。折角待ってもらっているんですもの。早く行きますわよ。」
「分かったがちょっと待ってくれ。ギルバート、悪いんだけど料理長に袋を渡しといてくれないか?」
「はいよ。分かったから姫さん達がお待ちかねだぞ。」
分かってる、と言って俺はセフィリアとティアナのもとまで行き、王様の執務室に向かう。
「ただいまシルバーを連れて戻りましたわ。」
「だからセフィリア、ノックくらいしないか。」
アルディがノックをしないで入室したセフィリアを注意をする。
王様の執務室では皆談笑しながらティータイムを楽しんでいた。セフィリアとティアナも近くのおそらく来客用の長椅子に座り、俺は長方形のテーブルの部屋の入口から一番近くにある椅子に座る。
思ったより暇なのか?重い空気で話すよりかはましだけど。
「今はそんな細かいことはどうでもいいですわ。」
どうでもよくはないだろう、と心の中でツッコミを入れるも黙っておく。大分待たせたみたいだからな。
「それよりも早く事情を聞かせて頂戴。」
セフィリアが急かす。
「そうだな。すまないが頼めるか?」
「そうだな。思ったより早くまともに話せるようになって俺の事情を話せそうで良かったよ。魔物だからとか経験値が多くもらえるからだとか素材になるからとかそんな理由で殺されてはたまったものじゃないからな。珍しいからペットにするなんてのも自由に動けなくて嫌だし、俺はあくまで強くなるためにこの世界に来たんだからな。」
「この世界に来たとはどういう意味だ?」
「そのままの意味だ。俺はこの世界とは異なる世界からこの世界エヴァンにやって来た。」
それから俺の事情を説明していく。元の世界地球のこと、地球には魔法がないこと、そこに現れた武神に追いかけられた女神様こと、武神に殺されて女神様が武神を転移させたこと、女神様が俺をエヴァンに転生させたこと、転生してからこの王城に連れられるまでのことを粗方説明した。
「俺の事情はこんなものだが何か質問はあるか?」
「質問ではないがまさかリキュアル草がトータスの森にあったとは。では4日前からトータスの森で魔物が見られなくなったのは……」
「俺のせいだな。効力はもう消えたけど。リキュアル草を見つけたのは運が良かったが、その分寝る間もなく大量の魔物に襲われたし、オーガなんてのも出てきた。その代わりスキルはそれなりに得られたし、レベルも上がったのは良かった。」
「この世界に来たばかりのお前がリキュアル草に関する知識を何故知っている?」
アルディが状況をしっかりと把握していれば当然気付くだろう質問を投げかける。
「俺は知らなかったが俺のユニークスキルが知っていたんだ。」
「どういうことだ?」
「俺が持っているユニークスキルは4つ。STRを大幅に上昇させる英雄の卵、スキルやレベルの他諸々を早熟させる成長補正、運が劇的に上昇する極運、そして女神様の分身体でこの世界のナビゲーションをしてくれる神の先導。リキュアル草についてはこの神の先導で効果を知ることが出来た。本当に頼りになるスキルだよ。」
それを聞いてアルディは納得したようで頷いた。
(頼りになると言うのであれば、もっと頼ってくれても構いません。)
いつも頼りにしているよ相棒。それはそうと
「俺の事情を知って王様は俺をどうするつもりか聞きたい。」
「私はお前さんが国に害をなさないなら自由にして良いと思っている。城を出ていくも残るも自由だが、出ていくことはオススメできないぞ。お前さんは魔物だから付き人がいないと命を狙われかねないからな。城に残るのなら今まで通りの待遇にするつもりだ。食事に関しても食料を自分で取ってきているようだがあまり気にしなくていいぞ。この国は資源も食材も豊富だからお前さん一人が大食漢でも金に困らない。気にせずここにいるがいい。」
俺を縛ることはしないと言うが出ていくデメリットをあげて、残るメリットをあげているあたりできれば残ってほしいのだろう。
まぁ、今はまだ外に出てもたいしたメリットがないから構わないけど。むしろ食住が安全で風呂があるここを離れる方のデメリットが大きすぎる。向こうでも俺の利用価値があるとの考えがないわけではないだろう。折角できた縁だし大事にしてもいいだろう。だが、
「皆はどう思う?」
そう王様はいいと言うが他の皆が同じとは限らない。
「私は構いません。」
「私も事情が分かりましたし、構いませんわ。事情を知らなくても構いませんけど。」
「姉上、事情は気にしてください。まぁ今回の事情なら問題ないと思いますが。後々利益があるかも知れないしな。」
「兄様のいい方も大概だと思いますが、私は元々反対する気はありません。」
「私はそもそもシルバーを外に出す気はありませんわ。私が世話をするんですもの。」
皆も俺が王城に残ることに問題はないようだ。
「そう言っていただけて大変ありがたいです。お言葉に甘えさせていただきます。そして図々しいとは思いますが1つ頼み事があるのですがいいですか?」
「何だね?」
「後2、3日で進化すると思うので進化したら魔法を教えてほしいのです。」
「そう言えばお主の世界には魔法がなかったのだったな?いいだろう。しかし、どうすればいいか?宮廷魔法士の誰かに頼むか、それとも……」
と言ってセフィリアを見ると何かを思い付いたらしく頷いている。
「シルバーよ、それならばティアナとセフィリアが通う学校に行ってみる気はないか?」
「本気ですか?父上!!」
「本当ですか?お父様!!」
「本当ですの?お父様!!」
アルディが正気を疑い、ティアナとセフィリアが嬉々として尋ねる。
「理由を伺っても?」
俺も学校に通わせる理由が気になり尋ねる。
「学校に通わせるがより正確にはセフィリアと同じ学年にするつもりだ。今は見ないが大昔に存在した銀竜は様々な魔法を使うといわれている。お主にも同じように多くの魔法適性を持っているだろう。ユニークスキルで魔法を覚えるのも早いだろう。こういうと親馬鹿と言われるかも知れないがセフィリアは魔法に関しては天才だと思っている。だから同学年にセフィリアと魔法で競える者がいないと思っている。だがお主という好敵手ができるのではと考えているのだ。それとついでに学校での護衛をやってほしいのだ。」
ここまで話をするとアルディも反論が出ないようだ。
「分かりました。ですがそう上手くいくとは思えませんが。」
「お主のこともセフィリアのことも心配ないと私は思っているよ。私がそう思う理由もそのうち分かることだと思うからな。」
王様が微笑みを浮かべて言うが、俺にはまだその理由が分からない。
「では、話もまとまったことだし夕食にしよう。」
そう言って話を締めくくり王様は執務室を出ていく。俺達もすぐに部屋を出て食堂に向かった。
食事は談笑を交えながらも恙無く終わり、ティアナとセフィリアとそして何故かマリアも一緒に浴室に向かう。
「それにしてもマリア姉様が一緒に入りたいなんて珍しいですね?」
「私もシルバー君が気になるっているのですよ。可愛いですから。」
「俺も男だから一緒に入るにしても男のアルディと入った方がいいと思うんだが?」
「私が世話をするんですものそんなの関係ありませんわ。」
「いやいや、それは関係あるだろう。食事の時にアルディは反対していただろ。王様だって難しい顔していたし、ティアナとセフィリアならまだいいがマリアは立派な女性だろう。王様も何故承諾したのか。」
「私達は子供だと言いたいんですね。シルバーは。」
「私はまだ子供でも構いませんわ。そうでなければ世話を出来ませんし、色々好き勝手出来ませんの。」
「セフィリアは賢いわね。私は大人だけどシルバー君は子供だもの気にしませんわ。」
と後ろから抱きつくマリア。ティアナ以上の感触を背中に感じるが態度には出さない。大人の余裕を見せ付けなければいけないのだ。
「いや、俺は中身は大人だから。年齢に関しては仕方ないだろ。この世界だって大人は15歳からなんだろう。地球じゃあ早くても18歳だし、俺が住んでた日本では20歳からだったんだから。せめてこの世界基準の15歳になったら言ってくれ。」
この世界は地球と違って大人の扱いが早いのだ。
「魔物で可愛い0歳のシルバーに言われると釈然としませんね。」
と風呂の湯に浸かりながら会話をする。
「そう言えばシルバー。明日は私とセフィリアは学校が休みだから貴方の狩りに付いていきますね。」
「ギルバートも一緒ですけど、仕方ありませんわね。」
何で休みなのか気になるけど2人も付いてくるとなると11階層以降は明日は諦めるしかないな。と考えて風呂を後にする。
「俺は今日はどこで寝ればいいんだ?」
「今日は私の部屋ですわ。」
「分かったがさすがに寝るには早い時間帯だな。セフィリアは去年使った魔法の教材を持っていないか?」
「ありますわ。早速魔法の勉強をしますのね。」
「魔法に関しては何一つ分からないからな。とりあえず知識だけでも頭に入れとかないと授業を聞いても理解できないかもしれないからな。」
それからセフィリアの部屋で教材を読んでいく。セフィリアから教材の分からない文字の意味などを教えてもらいセフィリアが眠気に襲われるまで読み続けた。
明日も普通に狩りができると思いながら眠りについたのだった。