第 二 話
「それ絶対ツンデレだよ」
今日の授業は昼からだったから友達の奈緒と一緒に大学の近くのカフェでランチを食べている。色々話しているうちに、私の家に来た春ちゃんの話題になっていた。同居を始めてそろそろ3ヶ月が経とうとしていた。お母さんとは随分と仲良くなったが、春ちゃんとはまだまだである事を奈緒に話したら冒頭の言葉を返してきた。
「いや、思春期ってのもあると思うけど…」
不安そうに呟くと奈緒はにやけながらこちらを見てくる。
「きっと照れ隠しだって、だってこんなかっこいいお姉ちゃんが急にできたらそんな態度とっちゃうのも仕方ないわ」
「はあ?誰がかっこいいお姉ちゃんだよ」
奈緒は「あんた」と言いながらパスタを食べ始める。奈緒の言う事に納得ができず、若干不機嫌になりながら私もパスタを食べ始めた。第一、ヘタレだし、運動もそこそこで、頭はまあ中の下程度で、髪はショートで身長は165くらいはあるけど、顔は普通だ。恋愛経験だって多くはない。かっこいいなんて、ほど遠い。やっぱり奈緒の言うことは適当さが感じる。
「でもさ〜やっぱ仲良くならなきゃ生活し難いよね、家族なわけだし」
「…まあね、でもまだ3ヶ月しか経ってないんだし、これからだよ、これから」
奈緒に言われた「家族」って言葉に何故か反応してしまった。そうか、春ちゃんは妹なんだ、お姉ちゃんらしく振舞わなければ。でも、春ちゃんはお姉ちゃんが欲しかったのかな。もしかしたら妹が欲しかったのかもしれない。そういえば…
「私、春ちゃんのこと何も知らないなぁ」
気づいたらそう呟いていた。
「じゃあ春ちゃんとゆっくり話してみなきゃね、きっと向き合ってくれるよ」
奈緒は優しく笑ってそっと背中を押してくれた。奈緒はなんやかんや優しくて暖かい子だなと思った。
「ありがと、奈緒。ていうか、髪型変えたんだ」
「そう!ボブにしてみました〜どう?」
気づいてもらえて嬉しいのか笑顔で髪を触る奈緒が本当に可愛いくて「うん、似合ってんじゃん、可愛いよ」と微笑んで言うと奈緒の頬がみるみる赤くなる。
「だから…そういう所じゃん」
「ん?」
「あんたは罪な男だな」
「いや、女だし」