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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
91/147

91:俺の選ぶ道

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 俺達は王城に戻り、再び会話の場を設けた。


「流石だね、あっという間に撃退するなんて」

「俺達にかかれば簡単ですよ。それよりもそろそろ名乗ってくれてもいいんじゃないですか」


 海道が冷静に突っ込みを入れる。と、女性リーダーはすまないと笑いながら返事をする。


「すまなかったね。私はペンネの国、第一騎士団の団長をしてるワーカーさ。こっちのが副団長のシャインだ」


「シャインだ」


 二人は軽く頭を下げると、再び会話を始める。


「色々と話の途中だったね。あやつらがザイ国を築き上げた奴等だよ。ここの王城を築き上げたのは全て排除したのでこの際詳しい説明を省かせてもらう」


「何か、狂人じみてたんだがどういう事かな?」


 海道は質問を続ける。


「あれらは全て狂っておる。トレントを狩ると噴き出る液が人を狂わすのだ。故に、トレント族との付き合いは慎重に行う必要があったのだよ」


 しかし、と続ける。トレント族を狩りだしたザイ国の民は中毒にかかっていると、そのため狂人化してしまったと。


「更に、そこに何かの加護を得た奴らは暴走状態。困ったものだよ本当に」


 地上に出た民は狂人と化した民と、それらと戦うべく王城を築き上げた民へと分裂していったと。そういう事なのである。


「第一波は防げたが、ここからが問題なんだよ」

「問題、とは?」

「多数の民を先行投資し、状況判断をした後本部隊が来るんだよ」

「その数は?」

「いやはや、お恥ずかしい。たったの五人だよ」


 ワーカーは但し、と付け加える。


「その五人がヤバイ。ザイ国の王と王女、その息子二人と娘のたった五人さ。そいつらが直接襲ってくる。そして捕えた者に次々とトレントの液を飲ませていくのさ。最悪だよ本当に」


 と、いう事は敵の正体は囚われた民が狂人化された結末だという事実を伝えられる。


「うぅ……」


 俺は淡々とやりとりされる会話を聞き、再び気分が悪くなる。


「ところで、ペンネの国はどのあたりに?」

「ああ……」


 ワーカーは更に一つの事実を伝える。


「先ほどの地下空洞の更に北側に位置するよ。ペンネの国の真上に奴等ザイ国はある。故に常に争いの日々だよ。そんな中、地上に出た末裔である王城の民はここまで逃げて来たんだろうね、きっと」


 と、そこで再度兵から報告が入る。


「報告します、ザイ国の王、他四名が動き出しました」


 ついにか、とワーカーは意気消沈する。


「その五人を始末すれば、貴方達ペンネの国の人も、俺達も安心して過ごせるって事か。悪くない」


 海道は一人納得すると、理深に向かっていう。


「理深、俺達でその五人を始末してしまおう。いい加減争いの日々は御免だ」

「えー、いいですけども。確かに、僕たちの世代は戦争の無い時代に育ちましたしね。俺も先輩みたいに旅してみるのも良いかなって思いましたし」


 理深は俺とサーモを見て、そんな事を言う。


「あの、俺は……」


 俺は決めかねていた、この争いにどこまでかかわっていいものかと。しかし、海道が俺に告げる。


「深浦君、君はここでゆっくりしてるといいよ。俺達みたいになってないんだろ? わかるよ、その反応で。君だけでも、心を清らかに保っててくれると俺は救われるよ」

「うん。俺もそれがいいかと思います。俺も、先輩も生きる術はこうするしかなかったから、もう染まっちゃってますし。えへへ、大丈夫です。俺無敵ですから」


 二人の言葉に、俺は声が出ずありがとう、と何度も心の中で繰り返すのであった。同時に、二人とも殺しに対しての忌諱感が残っているんだと知り、先ほど二人を敬遠してしまった自身を殴ってやりたいと思ったのだった。


「遊多さん、私も守りますから」


 サーモが、そっと俺の心情を察したのか慰めてくれるのであった。


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