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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
82/147

82:ちょっとだけ、いいかな

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 「行っちゃった……」


 私は没入した遊多さんを見詰める。


『必ず、私が遊多さんを守ります』


 あぐらをかいたまま、足元に置いた書物に没入する遊多さんの手をそっと持ち上げると、書物は一緒に張り付いてるかのように持ち上がる。そのまま私はその輪っか上に書物で固定された腕の中をくぐる。


『ちょっとだけ……』


 私は遊多さんと向き合い、抱き合う態勢に落ち着く。


『いい、よね』


 少しめくれたローブの隙間から、私は意を決して何度も何度も確かめるのでした。



 遊多さんが戻ってきたのは、そんな十分後でした。


「ふぅ、良いのあったよ!」

「はい」


 私はバレてないかな、と頬を朱色に染めたまま頷くのでした。

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