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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
81/147

81:アレを使おう

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 俺達は西へ歩く事二時間、小さな地下空洞を見つけ休憩中である。


「はぁ、はぁ」

「遊多さん、ちょっと体力落ちてませんか」

「いや、砂漠を渡るのってこんなにキツイんだな」


 砂漠の移動は川に流されるのが一度、後はタマコの背に乗って飛行移動のみだったので、初めて砂漠地帯を徒歩で移動したわけだがこれがキツイ。


 温度調整の為に火の操作を維持する事は勿論、砂が口や目に入らないようにフードを深く被る必要があるのだ。視界が悪く、精神力もじりじり消費する中、この長時間の移動なのだ。正直砂漠をなめていた俺である。


「ぷはー、生き返るわー」

「そう、ですね」


 地下空洞には飲み水があり、その水たまり場で俺とサーモは休憩をとっている。と、サーモが俺の膝の上に乗っかって背を向けたまま俺に話しかける。


「遊多さんは、す、すす、好きな人っているんですか……?」

「ん、突然どうしたよ」

「考える余裕がなかったな、そんな事……。サーモはいるのか?」

「いますよ」


 年下の女の(サーモ)は即答する。そういえば、出会った当初より口調が柔らかくなっているような。そしてこの場面でこの返答って事はもしや……。


「あぅ」


 俺はそっと後ろからサーモの体を支えると、小さな恥じらいに似た声が漏れる。


「そ、その……遊多さん、モロを必ず助けましょうね」

「お、応。勿論だ」

「私も、危なくなったら最優先で守って?」

「はは、俺の方が守られてばかりだけどな」


 少し間をあけ、俺は続ける。


「必ず守ってやる」

「うん」


 俺はサーモに小声だが、十分にその言葉が届く距離で返答する。


『ああ、こういう時だからこそ思いつくのかな……』


「なぁ、こんな会話した直後で言うのもアレなんだが、少しの間俺を守っててくれないかな」

「遊多さん?」

「いや、そのあれだ。ギルド書庫に繋がってるツリィムに没入してこようと思う」


 ほんの少しの間をあけて、サーモはクスリと笑いわかりました、と返答してくれた。


「早く戻ってきてくださいね」

「勿論だ。いってくる」

「はい」


 サーモが俺の膝から退き、俺は書物に火の操作を注ぎ込む。


『没入』


 俺の意識はここで途絶える。

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