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火の世界の豪炎  作者: PP
二章-精霊降臨-
80/147

80:ヤーなの

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

「ここ、渡らなきゃダメ……?」


 屈み、上目づかいで人化しているタマコが俺に問いかけて来る。現在俺達はチャ川の前で足止めをくらっているのである。


「モロを助けるにはここを渡らなきゃいけないんだよ」


 俺はタマコに説得するも、タマコは目をギュッと瞑ってうーと唸りだす。


「主様は鬼畜だよね、鬼畜鬼畜! そうそう、鬼畜っていえば……」


 俺はクゥの相手をサーモに任せ、タマコの説得を続ける。何故こんな事になっているのかというと。


「砂が無いのヤーなの」

「つ、土はたくさんあるから!」

「砂がいいのー」

「美味しい、かもしれないぞ?」

「砂食べないとお腹ぺこぺこで倒れちゃうのー」


 と、どうやらコカリリスのタマコはこの砂漠の大地でしか生息できないと言い張るのである。人化が出来ても、本質はコカリリスそのものなのだ。


「タマコガチャを取るか、いや主様と一緒についていくべきか。悩ましい、実に悩ましい、サーモはどう思う? 私としては……」


 クゥはクゥでタマゴガチャを取るか、俺について来るかで悩んでいるという始末である。最近のクゥは一日一度のタマゴガチャに夢中なのである。


「私はついていくから安心して遊多さん」

「お、おう。ありがとサーモ」

「よし決めた、私はタマコの面倒を見とくから行って来て良いよ主様!」

「えっ」


 目をギュッと瞑ってるタマコを撫でながら、クゥがまさかのここで待つ宣言をする。


「私、ここに居て良いの?」

「ああ、主様が戻ってくるまで面倒みてやるから。明日もタマゴ楽しみにしてるね!」

「うんー、ここにいるのー」

「よしよし、話は決まったし主様が居てたというタナダタの町でゆっくり待たせてもらうよ。うん、行こうタマコ。ふふふ、次こそ金色を……」


 タマコは人化を解き、そのままバサッと羽を広げ飛び乗るクゥと共にタナダタの町の方角へと飛んで行ってしまった。


「遊多さん、何かあっさり行っちゃいましたねあの二人……」

「そう、だな……」

「それで、どうやってこのチャ川渡るんですか?」

「そう、だな……」

「何も案がないんですね……でもやっと二人っきり」

「何も案が無くてすまない。後、何か言ったか?」

「んーん、何でもないです。ここから少し西の方に行けば休める場所がありますから、兎に角そこへ向かいましょう」


 俺はサーモが居てくれてよかったと心底思いつつ、サーモの案内の元西へと歩きだすのであった。皆が居なければ俺は何も出来ないんだという事を改めて実感する。


「ありがと」


 俺の声はチャ川の音にかき消され、サーモへ届く事は無かった。

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