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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
78/147

78:俺の意志

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 太陽の都に着いてはや一週間が経過している。先日、南にあった都市からの難民が一気に押し寄せてきて都内ではそれぞれ大忙しの日々を送っている。


 俺は、暴食の神様と接触したあの夜、南にある都市が壊滅、難民がこちらに向かっているという報告をライラ様にした。その翌日から太陽の都は受け入れ態勢を整えるために慌ただしく準備を始めたのだった。


 そしてもう一つ、モロの事である。傷は治せたのだがまだ問題が残っていたのだ。


『あんにゃろ……』


 俺はモロの寝顔を見ながらプルムのバカ騎士を思い出す。あのプルムという騎士は、どうやら薬品の扱いに長けていたようで、モロに実験中の対精霊水という薬品を使っていたようだ。その効果は、精霊世界とのリンクを断つという物らしく、今のモロは樹の操作が安定せずロクに外出も出来ない始末なのだ。


『必ず戻してやるからな』


 暴食の神様も、毒などなら喰えたんだけどね。と、断ち切られたリンクを取り戻す術は持っていなかった。しかし、知識だけは持っていたのだ。


『あなた、北の大地にあるペンネの国を越えた先にある種族がいるわ。精霊降臨という儀式を扱える種族がね。あの子達ならリンクも取り戻せるんじゃないかしら』


 俺はその言葉を聞き、モロを助けたいと行動を決意を固める。



「あれ、ゆーた、おはよう!」

「応、おはよう」


 俺が頭をさすっていたらからか、起こしてしまったようだ。


「今日、本当に行っちゃうの……?」

「ああ、必ず戻るから」


 俺は誓う、必ずモロを助けてやると、ここに戻って来ると。


「うん、必ずね? 絶対だよ」

「応」


 俺はそういうと、ライラ様の館を出て準備は終わったと皆に伝える。


「ちゃんと戻ってきなさいよ」


 センチが俺に声をかける。彼女の道案内による同行もここまでである、少し悩んでいたようだったが、彼女は言う。


「私が水運ばなきゃ、水がいくらあっても足りないわ」


 と、太陽の都に今は欠かせない要因となっている。人口の急激な増加で、水不足の現状悪化を加速させたのである。そのため、水運びの需要が急激に増しているのだ。


「本当は、私も……」


 と誰にも聞こえない小声でセンチは言う。


「あなた達と世界を見てみたかったわ」


「ん、何か言ったか?」


「いいえ、見送りたいところだけど、私はこれからオアシスに水を汲みに行くから。それじゃあね、早く戻って来てあげなさいよ!」


 口早にそれだけ伝え、センチは背中に大きな水瓶を抱えその場を去ってゆく。


「サーモ、お前はいいのか?」


 俺の隣にいるサーモに確認を取る。勿論、この先の同行についてだ。


「うん、遊多。私は貴方についてくわ」


 そういい、俺の前で一礼するサーモ。


「そうか、ありがとう」

「んん、私が決めた事だから。宜しくね」

「うんー! 私も宜しくねー!」


 サーモとの話していたが、横からタマコが割り込んでくる。そして。


「そうだな、私も宜しく頼むよ主様ヌシサマよ」


 タマコに続いて暴食の神様、クゥも一緒にやってくる。


「ああ、皆宜しく頼む。俺はモロを助けたいんだ」

「わかってるわよもぅ。遊多、そればっかり」

「タマコも頑張る!」

「主様よ、私も守ってね?」


 各自がモロを助けたいという俺の気持ちに乗ってくれる。


「ありがとう皆。それじゃタマコ、早速だが頼んだ!」


 俺とサーモ、クゥはタマコの背に乗り目指すは北の大地。


『必ず戻って来るから、必ず助けてやるから』


 俺の新たな旅が今、始まる。

一章、太陽の都編は終了です。次回より二章へ移行します。

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