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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
77/147

77:焼き鳥

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 現在俺、モロ、サーモ、センチ、クゥの五人で都の中をぶらりと散歩をしている。夜だというのに、都の中は活気づいている。タマコは疲れたといい先に睡眠をとっている。


「わっは、あれ食べましょう!」


 クゥが指さす先には昼間通り過ぎた串屋があった。モロもクゥと同じく目を輝かせ食べたい! と絡めていた腕を更にギュッとしてきた。


「わかった、わかったから」


 サーモとセンチは少し離れた場所から俺達の後を追ってきている。そしてモロとは逆側からくっついてきているのはクゥである。


「えっと、お金を……」


 俺はセンチとサーモに言うと、センチがお金を手渡しで渡してすぐに後退する。


「あ、ありがと」


 警戒するのはわかるが、態度があからさま過ぎてクゥの機嫌を損ねないか心配である。


「ゆーた、早く!」

「さぁ、さぁ!」


 二人の腹ペコさんを抱えながら俺はお店で五本の串を注文する。ちなみに俺もこの世界の串を食べるのは初めてである。


「おいしー!」

「いっただきまーす!」


 即かぶりつくモロに対し、いただきますと俺の世界の言葉を使い食べ始めるクゥ。続いてサーモとセンチにも渡し二人も距離をとって食べ始める。


「じゃ、俺も。いただきます」


 俺は串を食べると、口の中に広がるスパイシーな味わいに加え、ねっとりとした脂身に含まれるジューシーな味わいが俺の味覚を刺激する。


「あ、あああ!」


 思わず唸る、これまで木の実・タマゴ・サンドイッチ(コカリリスの肉)と食べてきたが、温かい肉を口に含むのは実に何日振りだろうか。


「うまっ、うまっ!」


 俺は周りの目も忘れて、串をむさぼり食べてしまった。と、そんな俺をみてモロが話かける。


「ゆーた! 美味しいねっ!」


 応、とこたえる俺。もはや腹ペコは三人といって過言ではない。


「やっぱり美味しいわ、もっと早く降り立ったら良かった。それにまとめ喰いより全然いい。あなた、ありがと」


 そんな会話を聞いたからか、サーモとセンチが突っ込んでくる。


「クゥ様、本当にもうあなたは危険ではないのですか」


 とはセンチ。直球の問いかけである。


「わっは、安心してよいよ。私はミウラと同じ物を食べていこうと決めたからな」

「クゥ様は私達にも危害は加えない、と……?」


 今度はサーモが尋ねる、が。


「うむ、むしろ主達を守ってあげよう。そうだな、それならあなたも安心だろう?」


 クゥが串を食べ終えたのか(串ごと食ってたのはもはや突っ込まない)俺の腕をとる。


「えっと、それなら安心、していいんだよな……」


 そんな返答をしつつ、やはり食べ物を食べたからか先ほどまでスレンダーボディだったが若干の膨らみを感じ取ってしまう。と、ここで一つの疑問が生じる。


「あの、そういえばクゥは何か食べるとむ、ムネに栄養がたまるとかいってましたよね」

「そうだね、やっぱあなたも男だし気になるのかな?」


 俺は苦笑いしつつ、一番気になっていた事を問いかける。


「その、この都に来た時はたしかきょ、かなり大きかった、ですよね。それは……」


 胸のサイズの話となると、ちょっと言い難くなっていまうが勇気を振り絞って問いかける。決して女性のバストサイズに興味があるからではない。


「んー? 何を食べたらああなるかと、そういうといかな?」


 少し考え込み、すぐにその答えを言う。


「まず、あれだけの量はやはり火の神を喰らってたから、というのが一つだわ。でもこっちの世界に下りただけでほとんど消化しちゃったから、ちょっと南の方にあった都市を食べて来たよ!」


「えっと、それって……」


「うん、丸々都市を食べたからお腹はちょっとだけ膨れたかな? いや、胸は膨れたというべきかな? そういえばあの都市にあった物は色々と……」


 再びマシンガントークに火が付いたのか、語り出すクゥ。しかし問題は一つの都市が壊滅しているという事である。


「ちょっと待って! その都市にいた人は……」


 恐る恐る最後の質問を投げかける。


「私は人を喰う趣味はないよ? 火の神の火は美味だから食べる事はあるけどね。そうそう、そういえば都市に住んでた民はこの都へ向かって行列を作って歩いてたわ。後数日もあればつくんじゃないかしら?」


 いつの間にか二本目の串を片手に、バリバリと串ごと食べ始めるクゥがいる。


「ああ……」


 そして俺は不安の一つが的中したことに、気が重くなる。


『この神様、とんでもねぇもの食って来てたよ……』


 太陽の都での食べ歩きは始まったばかりなのに、考え過ぎてお腹が痛くなる俺であった。


 この会話を聞いて、サーモとセンチが更に距離を取ったのはここだけの話である。

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