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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
71/147

71:Ⅷ騎士会議-1-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

『ジュー』


 鉄板から鳴り響く食のハーモニー。まさにソレは熱々の鉄板の上で踊っている。


「わーおいしそー!」


 今この場には、順にサーモ、センチ、タマコ。テーブルの正面側には順にⅧ騎士のヴィッシュ、パリイ、ボルカ、プルム、アヴィが座っている。


そして俺の両サイドには元気になったモロとワズに囲まれ、テーブルのど真ん中には小型犬のバウバウがうつぶせになって待機している。


『何だこの状況』


 そう思いつつ、俺は思い返す。


 モロを助けた俺達は、タマコの力なのだろうか? 俺の力なのだろうかに癒され無事に元の場所に戻ってこれた。その際に、同時に復活してたワズがゲートを開いてくれたのである。


 プルムとワズはバウバウにやり過ぎだと説教され、その後やけに素直に全員でライラ様の館へと帰還したのだった。そこで、先ほどサンドを食べたばかりにも関わらずお腹が空いたとモロがいうので、ライラ様が気をきかせて食事を用意してくれたのだった。


「ぅー」


 目の前に置かれるステーキをみて、目をギュッと瞑ってるタマコが不憫でしょうがないが、今は話し合いを進めよう。


「さて、皆揃ったな? 夕刻までにⅧ騎士の内7人を集めるとは恐れ入った、北の悪魔君」


『はて、それは俺の事をさしているのだろうか』


「改めて、このライラが仕切らせてもらうが良いかな」


 皆はそれぞれ頷き、一匹はバウっと吠えて同意する。


「さて何から話か、そうだな。Ⅷ騎士はそれぞれの貴族に仕えているという話は知っているよな? それ故に、統率というものが一切無い。それぞれ自由に動く訳だから、私では他の7人は御せないのだよ」


『おかげで胸糞悪い思いしたとも』


「君たちを監視するために、ヴィッシュに頼んでおいたが悪い人、ではなさそうだという結論だけ先にしておく。ただし、やはり非常に危険な存在とも」


「私はアラートが鳴る程の存在か見極めようと思ってた。が、こうもⅧ騎士達を手駒に取られては脅威とは思うものの、それ以上に力を振りまくそぶりは一切見受けられなかった」


 ヴィッシュがライラ様の言葉に続けて報告する。


「氷使いのパリイは穏便に会話ですまそうとしていたようだが、単細胞なボルカの暴走阻止に絡んだ為に二人とも沈黙させられた。その際にフレイザーの使用を確認した(面白い使い方をしていたようだが)アヴィとバウバウが後を追い、アラートの原因として有無を言わさず排除しようと君たちへ接触。しかしバウバウの嗅覚が安全と判断した為、パリイ・ボルカ・アヴィ・バウバウは休戦へ。そして一方でアヴィと同じく排除思考のプルムがワズを率いて精霊世界でのセンチと樹の精霊、巨大コカリリスと思われるタマコの拘束を行った。そして『事情聴衆』という名の拷問に、深浦君、君が阻止に向かったと聞いている」


 ヴィッシュは言葉を止める、どうやら精霊世界で何が起こったかは流石にわからなかったのだろう。


「そうです、私達は樹の精霊に『事情聴衆』を行いました。この子の目的は明確で、『美味しい物を探しに来た』だけでした。プルムは信じないで拷問をしていたようですが……」


 歯切れの悪い言い方をする土の精霊ワズ。


「バウバウバウ」(アラートが鳴るってのは、都に脅威が無い限りありえないの。そしてあなた達が間違いなくその対象だと各自確信して行動してたの。実際にあったら何かの誤りだとスグに気が付いた者と、アラートを信じ切ってる者とでわかれたって感じね。私達の行動を許してほしいの、これは都の為なのだから)


「バウ、バウバウ」(確かに……タナダタの町でもアラートが鳴ってから町がぐちゃぐちゃにされちゃいましたし、わからなくは、ありません)


 俺が答えると、センチ・サーモから突っ込みが入る。


『ちょっとアナタ、それ何語ですか。言葉で話してください』

『深浦さん、喋り方喋り方。うつってますよ』


「おっと、失礼。しかし俺達を信じてくれる気になったんですか?」


 あんなことを立て続けにされた後なのだ、俺だって警戒してしまう。


「深浦さん、この指輪で証明できました」


 そこでサーモが一言、新たな事実を教えてくれる。


「そうそう、まさかメイちゃんの知り合いだったとはねー。おまけにシゼル兄貴の弟子になったとか? そりゃアラートが鳴っても不思議ではないよなハッハッハッ」


 パリイが口を挟む。アヴィとボルカがさらに続く。


「ああ、シゼル様の弟子とかうらやましいよアンタ。アタシ、一度でいいからシゼル様に鞭でぶたれてみたかったわ……」

「シゼル兄貴の弟子を疑って悪かった。同じ悪を断つ者として許してくれ……ください」


 ボルカの話し方をどう思ったのか、バウバウがガウッとボルカの腕に噛みつき言葉を訂正させられている。



「私も聞きたい事はたくさんあるけど、力と力を合わせあった仲だ。よろしくしてやんよ」


 プルムに続きワズも言う。


「私も協力させていただきます。精霊に愛され、そして不思議な火の操者よ」


 各々が、兎に角協力してくれる方向で話をしてくれる。


「と、そういう訳で君たちはアラートの対象から外す。一方、深浦君、気になる事を言っていたよな。タナダタの町でアラートが鳴り壊滅に近い状態に陥ったと。それすらもこえる脅威がこの太陽の都へ迫っていると」


「はい……」


 ライラ様が話をまとめにかかる。


「他の貴族には既に報告をいれて賛同は得ている。そしてⅧ騎士の皆も合意を得ている。深浦君、君に協力しよう。だから必ず都を守ってくれ」


 俺は頷くも、厄災がどういったタイプで、どのタイミングで来るかまでは正確に把握していないのである。


「さて、俺の出番のようだな」


 このタイミングで、入口付近に背を預けている少年が一人姿を現す。


「やっとか……」


 俺は神様(自称)の姿をみて、何でもっと早く来てくれなかったんだと思う一方、その存在に安堵していた。


「貴様、何者だ!?」


 ボルカがいち早く異常と思い立ち上がろうとするも、ボルカはおろか誰一人動けなくなっていた。


「あー、俺が神様ってやつだな。ついさっきまで厄災の元凶を抑えてたんだが無理だったわ。ごめんな! 奴は南からやってくる、単騎だ。何とかしてくれよ、じゃないと砂漠化がもっと進んでしまうから……」


「あの神様、何が来るんですか? ドラゴンですか? 太陽でも落ちてきますか?」


 俺が発言すると、神様はため息交じりに応える。


「それならまだマシだったろうな、今南から『徒歩』で都に向かってるのは『悪友』、暴食の神なんだわ」


 俺達はやっと厄災の正体を把握する、が。


「おかわりー!」


 モロはマイペースに食事を楽しみ、タマコは目を瞑ったまま震え、他は神様の降臨にただただ動けないのであった。

モロとセンチ、タマコに癒されて元気になってましたね。

ついでにプルムとワズも元気になってました。


1章のシナリオも大詰めです。

Ⅷ騎士の言葉使いなど、個性をいつか訂正(加筆等)すると思いますのでご了承を。

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