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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
69/147

69:Ⅷ騎士-10-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 俺の視界が火に包まれ移動が完了したのであろう、同じ店内の同じ位置に俺だけが座っている。


『ツリィムみたいだな』


 誰も周りにいないが、内装は全く同じなので火の世界とリンクしているのだろうと推測する。


「モロー」


 俺は大きな声を出しながら外へ出るが、外に人はおらず閑散としている。おかげか、無駄に声が遠くまで流れていく錯覚に襲われる。


「センチ―」


 もう一声、しかし反応はない。


『タマ、コはまぁいいか。アクセサリーショップ『シャン』で襲撃があったんだからそっちに行くか』


 俺一人で何も反応がないので、そう思考し駆ける。するとすぐ一つの影をみつける。


「あなた、は誰ですか」


 念のために尋ねる。精霊世界なのだ、関係ない精霊さんもいるかもしれない。


「私はワズよ。ここまで人間が来るなんて思いもよらなかった。でもここは通さない」


 そう言い終えると、土の壁が地面から生え道を塞ぐ。


「ちっ、こんなものっ!」


 豪炎を火球にして飛ばすと、その大きな土壁が盛大な音と共に崩れ落ちる。


「なっ。火の力!?」


 何故か驚いているワズだが、俺は構わず2発目、3発目と火球を連射する。


「何なのアナタはっ」


 土の精霊ワズは俺の火球にあわせて巨大な土をぶつけて相殺を続ける。


「まだまだっ!」


 俺は優勢とみて、更に連射をしようとするとワズは顔をしかめ何か小声で口走ったように見えた。


 刹那


「うわっ」


 俺の足元が泥沼のように柔らかくなり、足をとられる。そのまま顔から突っ込みそうになるのを堪え、足を止める。


「くそっ、豪炎:ロケット」


 ボフッと盛大な音と共に俺は地上10m地点まで飛び上がっていた。


「うわああ」


 自分で浮きながら驚いてしまう。精々30㎝が限界だった浮遊距離が一気にあがったのだ。空の上で態勢をとろうとおどおどしていると、ワズは容赦なく土球を飛ばしてくる。


「う、うおぉ」


 今度は土球を直接火を纏った拳で受け止め、そのまま後方へと受け流す。


『あ、あぶねぇ』


 そう思った時、連続で襲い掛かる土球の一つが俺の体を抉る。


「ぐえっ」


 クリーンヒットだ、俺は地上10mの地点から一気に地面へと垂直落下をする。しかし地面に接触する寸前にセット装備を纏いダメージを和らげる。


「いでで、本当に容赦ないな」


 ロングソードを杖の代わりに立ち上がり、俺は再びワズと対面する。と、更に新しい声が聞こえてくる。


「ワズ、いつまで遊んでるのよ。とっとと怪しいのは消しちゃいましょう、まぁこの子で私はもうちょっと遊ばしてもらうけどね」


 アクセサリーショップ『シャン』から出てきた女性は、モロを拘束して一緒に出てきた。しかしその光景を俺はハッキリとみてしまった。


「ぁ、ぅ……」


 首輪をつけられ、紐でひっぱられ無理やり歩かされるモロの姿を。着ていた筈のローブもほとんど原型がないほどズタズタに切り裂かれており、露わになった肌からは赤い傷跡が多数見て取れた。


「おま、、、え、ら、、、」


 瞬間、俺の頭の中はドス黒い感情に覆われる。


「あら、良い声だすじゃないお兄さん。一緒に貴方も遊んであげましょうか?」


 何てゲスイ声なんだ、あれがⅧ騎士なのか。あんな事をやっていいものか。


『許さないぞお前ら……』


 俺の理性は一瞬で振り切れていた。


「てめぇら、この代償は大きくつくからな!」


 相手の排除を決行する為に、豪炎の火が赤色から黒く染まりあがる。

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