68:Ⅷ騎士-9-
2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。
「じゃあ何、ボルカが勝手に暴走したから抵抗したって事?」
俺達は昼食をとった席と同じ場所に戻り、それぞれ向かい合って着席している。ボルカとパリイも意識を取り戻し同席している。
「すまねぇアヴィ、俺がこいつの暴走止めようとしたらこのざまだぜ」
「バカ、コイツらが本性現したかと思ったじゃないか。すまないねアンタ達」
パリイが事情を説明して、取り敢えずは場が落ち着く。
「改めて聞くよアンタ、何しにこの都にきたんだい?」
俺は食べ歩き・ショッピングと続き、最後に神託の話をする。
「アハハハハ、冗談。そんな理由でアラート反応させられちゃこっちも困るわ。で、神託っては特に現実味のない理由付けで。何アンタら、私らをそんなので騙せると思ってるのかい?」
笑ったかと思えばスイッチが入ったかのように真剣な顔つきになる女性。パリイがアヴィと呼ばれていたか、続けて話しかけてくる。
「まぁいい、アンタ達の連れに聞かせてもらうとするからさ」
「な、モロ達をどうしたんだよ……」
「ちょっとさ、アンタ達より事情に詳しくないか尋問させてもらってるだけさ」
尋問、か。モロがいるから大丈夫だと思うが嫌な予感がする。
「あー、もぅ神様はどこいったんだよ全く」
俺は思わず嘆いてしまう、一緒にいてくれる感じのセリフはくだけはいて、あれ以来姿を一切表すことが無い。
「バウッ」
机の上で俯せてた小型犬がその態勢のまま一鳴きする。
「ん、何だいバウバウ、アンタはこいつら信じるのかい」
「バウッ」
『えっと、この犬って喋ってるのかな』
俺が奇異な目でみつめているとアヴィが言う。
「アンタ、ちょっと失礼な事考えてるでしょ? 火の操作はそこそこできるんでしょ、しっかり声にのってる火を感じなさいよバカ」
「バウバウッ」
「深浦さん、まさかこの子の声わかってなかったんですね」
何か俺が今度はかわいそうな目でみつめられる。
『火の流れ、が声にのるって何だ。集中したらいいのかな』
「バウッ」(聞こえるかしら? 深浦さーん、おーい)
「お、おお、何て美声だ」
思わず聞こえてくる声に俺も思わず声を漏らす。ついでにサーモにモモをつねられた。
「バウバウッ」(私はバウバウよ。Ⅷ騎士の一人、貴方達を脅威とみるか、安全とみるか判断する為にⅧ騎士は今動いているのよ)
「お、おう。宜しくバウバウさん」
俺は机の上にいるバウバウに軽く頭を下げる、そして続ける。
「あの、もう一度いいますが俺達なんかより厄介な厄災が神託で降りてるんですよ。むしろ俺達何も悪さしませんし! タナダタの町に水鉄ってのが10体も現れたのに、その事件が眼中にない程この都を心配してました」
そうだ、水鉄を実際に見ていない俺だが、町がぐちゃぐちゃになってたいたのだ。早急に対応する必要があるはず、なのである。
「ライラ様も、Ⅷ騎士の皆さんの協力を得るようにという提案をいただきました」
「ああ、ライ坊がそんな事を。それでヴィッシュは全く行動をとらないわけね。さて、ずっと縮こまってるボルカのおっさん、はやくしな」
顎で促すアヴィに続いて黒服男のボルカは俺に言う。
「その、すまなかった。パリイがそもそも話し合いを持ち掛けてたようなのに。しかし俺はガフッ」
「おっさん、言い訳するな。完全に私達も信じるわけじゃないけど、取り敢えずは様子見にしてあげるわ。協力するかは別問題、そもそも何をしたらいいのかわからないし」
「そうだな、しかし嬢ちゃん達の方はどうしようか。あっち側に連れて行って大分たってるが……」
パリイがモロ達の心配をしてくれてるのだろう、しかしあっち側とは何だろうか。
「あの、モロとセンチ、タマコはどこにいるんでしょうか。解放していただけると嬉しいのですが」
サーモが皆の心配をして発言する、が。
「あの二人は既に尋問中だろうからな、お連れはどうなっちゃってるやら」
「なっ」
俺は徐々にモロがいるから大丈夫、という認識が薄れていく。
「運が良ければ一人くらいは生きてるかもしれないし、ってちょっとアンタ!?」
考えろ、考えろ、考えろ。
「何処にいるんだ……」
自然と声のトーンが下がる、助けに行かなくてはいけないのだ。
「お嬢ちゃんたちなら、精霊世界にシフトしちゃってるよ。精霊がいないとゲートは開かないから、俺達には無理な訳。残念だったな」
パリイが説明をしてくれる、精霊世界か。
「バウバウバウバウッ」(深浦さん、ごめんなさいね。私達Ⅷ騎士は基本単独行動なの。だからバラバラに尋問させてもらう結果になったのよ。でも、その場で手を組めたⅧ騎士が一緒に行動してるケースも勿論あるの。私とアヴィのようにね)
「バウバウバウバウバウバウッ」(ヴィッシュが最初に、次にパリイが。ボルカは完全にアラート無視してたようだけど、駆け付けた私とアヴィ。貴方達の連れを捕まえて尋問しているのは土の精霊ワズと、プルムね。もう1人はまだ南側にいるからまた1から説明しなきゃいけない感じね)
「そうそう、あのおっさんもね。でもワズはいいとしてプルムね。あの子結構過激だから……」
Ⅷ騎士が各自、俺達を拘束に向かってきた結果という事なのだろう。
『「しょうがない、少し手伝ってあげるよ。だから早く」』
唐突な声。周りを見回すも声の主は見当たらない。しかしこの声の主は。
「神様、やっと来たのか」
俺が声に出して呼ぶと、全員の視線が集まる。
「深浦さん、神様がいるんですか?」
サーモが問いかけるが、俺は神様の声に集中する。
『「いいかい、ゲートは自分の力でこじ開けるんだよ。俺の力は干渉出来ない場所だから。でも深浦、君は違う。それを可能にする火を持っているから。本当に急いで、こっちで話してる余裕がないくらい抑えるのに必死なんだから」』
「そうか、わかった。ありがと神様」
「何だい突然、気持ち悪い。やっぱアンタは危険な……」
アヴィが俺の独り言にみえるだろう発言に対し警戒をみせるが、俺は構わず言う。
「もう一度伝えるよ、神様からの神託だ。急いでⅧ騎士だけじゃない、ギルドも何でもいい、総力戦に備えるように今すぐ行動してほしい。もう直に厄災が訪れるから。そして俺は精霊世界にちょっくらいってくるから」
俺は精霊世界への道をイメージする。
『精霊世界へのゲートよ、俺の意志に応えてくれ』
「そうだ、サーモこれ」
サーモにそっと火の指輪を預ける。
「こっちはしばらく任せた、助けて来るから皆をまとめといてくれ」
そう告げた後、俺の体は豪炎の火に包まれる。そしてモロ達のいる精霊世界へとジャンプする。
『無事でいてくれ皆』




