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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
67/147

67:Ⅷ騎士-8-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 俺とサーモは悪目立ちしていた。


『どこかに一度隠れた方がいいか』


 俺の意図を感じ取ったのか、サーモは一言。


「サンド亭に行きましょう。あそこなら隠れれる」


 応と軽く答え、俺達は先ほど昼食をとったばかりのサンド亭へと引き返す。駆け込んだ店内には人気は無く、更に奥の部屋へと無断で侵入する。


「ちょっと借りますよー」


 誰も居ないが勢いだけで入り込んだのである、後になってきょろきょろとあたりを警戒してしまう。


「誰もいませんよ深浦さん。それに店員さんは目の前にいるじゃないですか」


 サーモがパリイを指さしここの店員だったという事を思いだす。ふと、視線を戻すと丁度店の中から一人の女性が入ってくる。そして開口一番。


「あんたらね、そう簡単にそこの二人を気絶させられちゃあたし等も困る訳」


 そこにはサーモの欲望を全身で表現したような身長の低い女性がいる。勿論、アクセサリーや指輪などをたっぷりと着込んでいるという意味である。


「貴女、もこいつらの仲間なんですか」


 俺は問いかける、明らかに敵対意識を持っている目の前の女性に対して。


「仲間ねー、まぁ共闘するって意味では仲間かしら。でもそこでのびてるようじゃ話にならないわ。深浦君、でいいのかしらね」


 俺の名前を知っているこの女性は一体何を企んでいるのだろうか。


「はい、俺が深浦です。唐突すぎて何で狙われてるか検討がつかないんですが」


 俺が話しかけるとガンッと女性の足元にあった酒樽に蹴りをいれる音が室内に響き渡る。


「ふざけんなよテメェ、もう割れてんだよ北に出たっていう謎の勢力ってな」


 謎の勢力、とは俺達の事だろうか。


「こちとらアラート鳴って都全体ピリピリしてんの。わかる? あんなふざけたフレイザーぶち込みやがって。ヴィッシュの野郎が一番近かったから先行してたのに、明らかに怪しいアンタ達をこのタイミングで招き入れたわけ。Ⅷ騎士の一人が裏切るとは思わないけど、私達がアンタ達の観察をしているってわけ。わかる?」


 女性の言葉は止まらない。


「ヴィッシュから報告は既に受けているわ、でもテメェが厄災そのものじゃないのかああん? だから私達は貴方達を排除するだけよ。そこのパリイともう一匹は話だけでも聞こうっていうけど、それで手遅れにする義理はないのよ」


 バシュっという切り裂く音が鳴り響いたかと思うと、フレイザーのリングが女性の放った鞭のような物でパキンという音と共に破壊されてしまう。


「さて、話は終わったわ。それじゃサヨナラ」


 一方的に話を進め、一方的に好戦的な女性が腕を振り上げた瞬間、更に店の中から一つの影が現れる。


「バウッ」


 振り上げた右腕に唐突に現れたソレは噛みつき、鞭の軌道が大きくずれる。


「痛っ、バカ犬邪魔すんなよ!」


 背後から迫って来ていた犬は女性の腕に噛みつき、振り払われると同時に俺達の目の前に跳躍する。


「バウッ」


 尻尾を振る小型犬は、俺に振り向くとバウッと鳴いた。


「えっと、とりあえず少しだけでも話を聞いてくれない、かな……?」


 再度交渉を試みると小型犬もそうだそうだ、と言わんばかりに吼える。


「はぁ、アンタまで。ちょっとだけよ、ちょっとだけ」


 気絶するパリイとボルカ、鞭を振るう女性と小型犬一匹が集う店内で話し合いが始まるのであった。

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