65:Ⅷ騎士-6-
2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。
とても暗い暗い部屋に連れてこられたのです。でもタマコは暗闇だって何も問題ないのです。
「モロー、大丈夫ー?」
「うんー、平気ー」
暗闇の中、タマコとモロは狭い部屋の中を探索します。
「あんた達、よくはしゃげるわわわっ、わね……」
何もないところでセンチはつまづき態勢を崩すも、何とか踏ん張り話続ける。きっとセンチは暗闇の中は苦手なのだろう。
「大丈夫センチ―? 羽かそうかー?」
「結構よ、と言いたいけどちょっと掴ませて頂戴」
両手を前にだしオロオロしてるセンチの手を握り、とりあえずぎゅっとしておく。
「これで大丈夫かなー?」
「え、ええ、ありがとう」
「なんで私達はここに連れてこられたのかなー」
モロが悩みだしました。私も鳥並の頭をフル回転させて考えます。
「私達、食べられちゃうんじゃ……」
そう思うと、怖くてセンチをよりぎゅっとしてしまうのです。
「いや、食べられるのは主にアンタだけよ」
「そ、そんな」
「冗談よ、ちょっとだけ」
「なんだ冗談かー。タマコちょっと泣きそうになったよー」
思わず鳴き声をあげるところでした、そんな会話をしていたらモロが壁に向かってえいっと拳を突き立ててます。
「モロは何してるの?」
「うん、ここはきっと精霊側の世界だね。間違いない」
「……なーにそれ?」
精霊側の世界とは何だろう、先ほどまでいたピカピカしてたお店とは別の場所ってことなのかな。急に夜になったと思ったのは間違ってたのかな。
「えっと、急に夜になっちゃったと思ったけど、そうじゃないんだね!」
「変な場所に連れてこられたとは思ったけど、精霊側の世界って何かしら。その世界はこんなに真っ暗な場所なのかしら?」
モロが、んーとって唸りながらしぶしぶ答えてくれる。
「本当は精霊しか入れない場所なんだけどねー。ちなみにここは土の精霊が好んでもぐる穴の中だと思う」
「土の精霊さんなんて居るんだー。ファンタジー!」
「何よそのふぁんたじぃ、って。それよりも明りは無いのかしら、何も見えなくてちょっと気分が悪いわ」
「ここだと火の制御が意味ないからねー。モロには無理かな、ごめんねセンチ」
明りが欲しいとセンチさん。明りかー。明りー明りー、そうだ。
「あっ、タマコなら出来るかも」
「ほんとかしら? お願いできる?」
「任せて!」
私は体いっぱいに力を入れます。思いっきり力みます。きた、きましたっ!
「あら、うっすらと視野か……」
センチが私の輝きに視力を徐々に回復させる。やったね!
「ねぇ、明りってもうちょっと高い位置にできないのかしら」
センチが私の輝きを凝視します。恥かしいです。
「そんなにタマコの見ないでください、恥かしいですから」
「なっ……」
目が慣れてきたのだろう、私の姿をみてセンチは驚いてます。
「アナタ、なんてところを……」
私の股間を凝視するセンチさん。何度も言います、恥かしいです。
「タマコのここって光るのです、でもずっとは出来ないからー」
「え、ええ。今のうちにちょっとここがどこか調べましょ」
センチが私の手を握ったまま、モロと一緒にこの大部屋の探索を開始するのです。
「あっ、あったあった。ここから精霊世界の地上に出れるよ」
せっかく私が恥かしい思いをして視界を確保したのに、モロはあっさりと地上への道を見しちゃうのです。
「タマコ、モロ達を乗せて。この位置からなら真っ直ぐ上昇すれば天井突き破れるから」
「あいあいさー」
ばふん、と元の姿に戻りいざ、精霊世界地上へ。




