64:Ⅷ騎士-5-
2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。
俺は対峙する二人と間合いを保ちつつ、どうしたらいいか思考する。
『まず俺の豪炎、火の制御であの氷は溶かせた。しかし刺さるとやっぱ凄く痛い、それに何故か刺さった氷の刃は解けていない。と、なるとデバフ効果でもついていると考えるべきだ』
一度思考を閉じ、もう一人の男ボルカについて思考する。
『あのボルカって男はやばい、火の制御が荒すぎて接触しただけで大きく体を弾かれてしまったのだ。荒いのに隙がない制御、あれはタンカーてきな位置づけだろう。間合いに入るのは避けたい』
と、思考を一瞬でまとめた結果、サーモの気配を遠くに感じる。これはもう期待するしかないだろう。
「おい、お前等。いい加減一方的にやられるのは性に合わない、よって反撃させてもらうからな!」
俺はPvPの感覚をイメージする、1VS1なら今の俺では何もできないだろう。それが今は1VS2なのである、が。
『2VS2なら連携っていって戦略幅は広がるんだよっ!』
俺は駆ける、そしてボルカの正面に入りサッと横に跳躍する。ボルカは一体何の意味があるのかと疑問を浮かべたような顔をするが、俺の跳躍した先を振り向いた瞬間にそれは訪れる。
「がはっ」
ボルカの右腕を矢が射ぬく。その反動でボルカの体が少し崩れるのを見逃さず俺は正面から豪炎:ロケットを噴出させる。
「なっ、後ろか!?」
ボルカが後ろを確認し、パリイは警戒を続けたようで俺と対峙したままである。
「それは何の意味があるんだい少年、しかし大人しくしててもらおうかっ!」
パリイが再び氷の剣を生成させ、俺に向かって襲い掛かる。が、俺の豪炎:ロケットの効果により俺の足元から大量の煙が発せられ、それにどうしても視線がうつってしまうのである。
「チェックメイトだな」
俺がそういうと同時に、パリイの肩に上空から飛来する矢が直撃する。
「ぐあっ」
俺は豪炎:セット装備2に瞬時に切り替え、俺は放つ。
「ファイオーッ!!!」
威力は無いが、俺が放ったロケットランチャーは爆発して、その爆風が二人の体をそれぞれ吹き飛ばした。その爆風で壁へ激突した二人は意識を失い地面に転がるのだった。
「ナイスサーモ」
「深浦さんこそ、よくあわせれましたね」
俺とサーモは拳をこつんと合わせ、ニタッと笑みを浮かべるがすぐにサーモが真顔になる。
「深浦さん、すいません。モロ・センチ・タマコの3人がさらわれました」
まさかと思ったが、3人の姿は無く俺は何かに巻き込まれている事に後悔する。
「くそ、もっと警戒するべきだったのか……」
「いえ、私こそすいませんでした。とりあえずここから離れましょう」
サーモの提案に頷くが、俺はふと思いつきで書物を手に取る。
「豪炎:ペースト。フレイザーⅠを展開、完了」
俺はフレイザーⅠを展開して、そのリングを倒れている二人の男に通す。
「拘束完了っと。こいつら連れていくから」
「そんな使い方、誰も思いつきませんって」
ひょいっと二人を拘束したフレイザーのリングを手元に移動させ、移動を開始した。そんな姿を見たサーモは呆れたような、諦めたような表情のままただただ後をついてくるのだった。