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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
59/147

59:Ⅷ騎士-2-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

『はぁ、空からも見えてたけどでかい壁だなぁ……』


 俺達は太陽の都の北門へと無事辿り着いた。そして都に入ってすぐにある館へと案内させられる。


「ただいま戻りました。それとセンチ様の保護も」


 センチが水を卸しているという貴族、ライラ様の専属騎士ヴィッシュが帰還の報告をしようと話しかけていた男が話途中に早足で近づいてくる。


「だだだ、大丈夫だったかヴィッシュ。そそそ、それにセンチもよく無事で……それでヴィッシュよ、あの異常なコカリリスはどうなったんだ」


 身長180㎝超えだろう長身の男は動揺したようにヴィッシュへと話しかける。


「落ち着いて下さいライラ様。それと、センチとこの連れの者達が話があるそうです。あのコカリリスの件も含めて詳しく聞かせてもらえるかと」


『あー、何てごまかそうかな……』


「そうかそうか、わかった。まずは私の館にある会議部屋で話そうか」


「あの、ギルド支部でよければ話したい事があるんですがそちらではダメでしょうか」


 俺がライラ様に交渉する。タナダタの町以上の厄災がこの都に降りかかるのだ、すぐにでも太陽の都のギルドに連絡しなければいけない。


「あんな根の腐ったとこになんぞ行かなくてよい、私が聞く。ついて来い」


 俺の意見はあっさり却下され、素直についていく選択をとった。モコン様の館と比べて大きさは少し小さいが、ここは北門のすぐ近くなので別館みたいなものかと勝手に思いこむことにした。


 館の中を進むと、大きな扉につきあたり中に入ると縦長のテーブルとイスが何十もある質素な会議部屋へと辿り着いた。


「皆、かけてくれ。そして改めてセンチ、よく無事で戻ってくれた」


「ライラ様、お気遣いありがとうございます」


「では私から名乗ろう。私はライラという。この太陽の都で貴族をやっている、そして北の門番を任されている」


「では貴様から順に紹介を頼む」


「タマコだよっ! 皆を運んできました」


「ふむ、タマコか。元気でよい娘だ、よろしく頼む」


「次はモロかな? 私はモロと申します、太陽の都へは食べ歩きを目的として遊多達ときました。樹の精霊ですがお手柔らかに」


「そうかそうか、精霊さんか。こちらこそよろしく頼むよ、しかし精霊なのに食事を目的として来るとは面白い娘さんだ。美味しい店は後で紹介しよう」


『おお、何かモロが久々に大人っぽく話そうと頑張ってるな。しかし精霊と聞いても本当に誰も驚かないな。この世界の人の認識ってどうなってるんだろう』


 そんな事を思いつつ、俺の番がくる。


「えっと、俺、わ、私は深浦 遊多と申します。モロと一緒に食べ歩きの旅をしてます」


「深浦君、でいいのかな。小さいのに砂漠を渡ってくるとは元気だな。大切な人はちゃんと守るんだぞ」


「はぁ、深浦さんって食べ歩きに来てたんですね。私は元シャーケギルドに所属していた弓師のサーモと申します。深浦さんとアクセサリーや宝石の類を買いに一緒にきました。そしてこれからも一緒に色々していくつもりです」


「ほう、良い宝石が揃ってる店があるから紹介しよう。食べ歩きの次はショッピングか。何かよくわからん組み合わせになってきたな」


「では、次は私ですね。センチと申します。水を汲みにチャ川へと向かう途中、この者達と出会い、今はこの砂漠の先導者として共に行動しています」


「うむ、よく無事に帰って来てくれたな。しかし先導者か、もう水は運ばないのかね?」


「……すいませんライラ様、まだ決めかねております」


「そうか、わかった。それで現状について詳しい話と、ギルドにもっていくと言ってた案件を聞かせてもらおうか」


「はい、俺から話させてもらいます」


 立ち上がり、俺は現状説明を行う。


「まず、あの巨大なコカリリスはどこかに飛んでいきました。俺達が全員確認しているので大丈夫です問題ありません」


「ほう、私はあんな規格外のコカリリスを初めてみたよ。あんなのが近くに居たのに大丈夫だと言えるのか」


「はい大丈夫といいきります。理由は……」


 俺は理由までは考えてなく、言葉に詰まる。


「ふむ、いいだろう。確かに唐突にコカリリスは消失したようだし、あの朱色のフレイザーだと思われる光は都の上空を通過したのみ。被害は皆無だったからな。貴様の持つ書物が気にかかるが、いいだろう」


 一瞬ドキリとする。このライラという男、俺があの場からフレイザーを放ったという線で睨んでいるようだ。


「ありがとうございます。そしてギルドへ行く理由は、この都に厄災が迫っているという神託が降りたからです。早く防衛準備をしなければ、という進言が必要です」


「神託か。そんな妄言でこの都のギルドは動かんよ。あそこは完全に腐ってしまっているのでな。しかしそうだな、我ら貴族の騎士なら協力してもよいだろう」


「騎士、ですか……」


 俺はちらりとヴィッシュさんに視線を移すが、ライラ様の横で直立不動を貫き通している。


「この都には腕利きの騎士が8人居る。私からはこのヴィッシュをつかわそう、その厄災とやらから本当に守れるのなら、貴様に貸してくれる」


「ラ、ライラ様っ!?」


 ヴィッシュが声に出すが、ライラ様が会話を続ける。


「しかし条件はある。他の7騎士の協力を得るんだ。そしたら私も騎士を貸し出そう」


「そんな……神託で告げられてるんですよ、そんな悠長な!?」


 俺はライラ様の提案に食いかかる、タナダタの町があんな滅茶苦茶になっていたのに、あれとは比にならない事が起こると神様(自称)は言ってたのだ。


「そうだな、そんな妄言や滅茶苦茶な来訪をする客人の言葉を全て信じる訳にはいかないのでな。何、神託を受け、それを伝えに来たのであろう。騎士を纏めるくらい簡単であろう」


 ニヤリと笑みを浮かべるライラ。この男、どこまでわかって話をしているのだろうか。


「……わかりました、力を貸していただけるよう行動させていただきます」


「わかればよい、君たちが脅威でないことを私は願うよ」


 俺は席につき、どっと疲れが出てしまう。とにかくこれからの行動方針が決まった。


「よし、とりあえず飯だな!」


「わーい!」

「わーい!」

「その後はショッピングね!」

「この流れでそうなるんですね、この人は……」


 会議室をあとにし、俺達はさっそく昼食処をセンチに紹介してもらおうと案内をお願いしたんだ。だけど、センチは贅沢な食事をとった事がなく、結局ライラ様の執事という男が都のガイドマップをそっと手渡してくれたのだった。

ぎこちない文章はおいおい修正していきます。すんません。

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