56:コンビ
2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。
俺達3人はコカリリスにしがみつき、飛来する火球よどうか当たらないでくれ……と祈る。しかし、1人立ち上がり、コカリリスの背中から先頭の方へと移動する影あり。
「よいしょっと」
先頭で腕を組み仁王立ちするモロが、火の制御にて周辺に薄い火の膜を展開。それまで感じ取れてた風がピタッと止み、肌寒かった冷風が暖かな空間へと早変わりする。
「遊多はもう『落とさない』んだからね」
モロの顔は見えないが、テンションが明らかにあがっている感じで誰に話しかける訳でもなく答えている。
「行きましょうタマコ、全速全身だよ!」
聞きなれない名前を呼びながらこのまま突っ切ろうとするモロさん、いやタマコってこのコカリリスの名前ですよね、そうですよね? 卵吐くからタマコとかそれでいいんですか……。
そんな突っ込みを胸中でいれてると、ついに火球の嵐が飛来してくる。
「ピチュン、ピチュン、ピチュン、ピチュチュチュチュチュチュチュチュチュチュ」
飛来する火球はモロの展開する火膜に接触すると物凄い勢いで火球が拡散し、そのまま消失していく。
「な、なぁこれって大丈夫なのか……」
「し、知らないわよっ」
「深浦さん、守ってくださいね?」
それぞれがテンパる中、丁度1分程で火球の嵐が止む。そしてふと顔をあげると、再び先ほどよりサイズの大きい火球が飛来してきているのを確認した。
『くそ、どうにかしなきゃ……』
打開策は無いのか? いや、今の俺にはこれがある。
「くそ、俺があの火球を撃ち落してやる」
そういうと、足元に火の制御を施しコカリリスの背の上に立ち上がる。
『火の制御でバランスまで整えるとか、本当に難しいわ……』
そんな事を思いながら、俺は一冊の書物を取り出す。そしてページをパラララっとめくりながら火の制御を開始する。
『フレイザーⅤ起動・構築ルーチン開始・5・4・3・2・1・展開完了・装填準備完了』
書物の制御をはじめた途端、脳内に響き渡る声。カウントダウンと同時に書物の上にリングが生成され、カウントダウンが終わると同時に5つのリングがこの世界に固定される。
『一つじゃ終わらせないぜ……』
俺は豪炎の力を制御、そしてイメージをする。
『フレイザーⅠ部分のリングを対象、完了。コピー&ペーストを実行』
一番手前に発現していた朱色のリングを四角の火が覆い、その四角い火が横にパタンっと四角の右側を軸に回転する。更に上方向へ、左へ、左へ、下へ。
『まだ、まだいけるぞ……』
俺はペーストを繰り返す。あの火球を全て撃ち落せるだけの数をイメージして。
『パタンッ、パタンッ、パタンパタンパタンパタパタパタパパパパパパパパパ』
「お、おいお前……」
「み、深浦さん……」
二つの声が聞こえてくるが、集中しているので今は答える事が出来ない。むしろ俺の今のイメージをそのまま声に出すことにする。
「フハハハハ、我が豪炎に恐怖するがよい!」
腕を組み仁王立ちするモロの遥か後方にて、俺は書物を片手に、空いた手を前に掲げて一気にイメージを膨らませる。
「フレイザー100連砲、装填開始。3・2・1・テッーーー」
キィーンっと甲高い音をたてリングが回転をはじめ、中央に宿った火球がそれぞれ収縮・後100もの一閃を真っ直ぐと解き放つ。
『キィーン』
耳鳴りがするが構わない、俺の放ったフレイザーⅤとフレイザー99連の朱い光はまっすぐに伸び、天を朱く染めたのだった。
『き、きもぢぃ』
そんな俺の感想とは裏腹に、太陽の都では防衛のために放った火球は全て霧散。それどころか太陽の都の空を朱色に染めた光景に、都の住民は怯えたという。
この瞬間から、俺とモロのコンビはやり過ぎバカだと二人から罵られるようになった。
コピペ最強説




