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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
52/147

52:ご注文は卵ですか

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

2015/7/10:文章手直し

 朝日が差し、俺の意識を覚醒に導いていく。


『ああ、変な音も消えてるしグッスリ寝たなぁ』


 俺は伸びをして、窓ガラスが床に散乱しているのを確認するが気にせず窓際に近づく。


『そういや昨夜、何があったんだろうか』


 物凄い揺れがあったり、ホースの先をつまんで放水したような音がしてたような。ううん、その時にガラスは全部粉砕したのかな? そんな呑気な事を考えながら外を見た俺は息をのんだ。


『あ、れ……?』


 違和感を感じる、いや違和感だらけである。


 町を覗くと、真っ直ぐに何かに抉られたような縦長の傷跡を幾つも大地に残している。その線上に視線をやると、傷跡の一つがチャ川の方面から館に向かって真っ直ぐ伸びているのを発見する。


『ははっ、まさかな』


 俺はドアに近づき、ガチャガチャッとドアノブを回すが開かない。


『おや……』


 よく見ると内側から鍵がかかっており、道理で開かない訳である。


『暗かったから見落としたわー』


 と、そんな言い訳を自身にしつつ、開錠して扉を開ける。


「はっはーん、これはアレか」


 目の前にあったはずの廊下は消滅しており、代わりに大きなクレーターが目の前には広がったいた。


『昨夜、何かあったな!』


 俺の名推理はきっと当たっているだろう、昨夜何かがあったのだ。何かが。


『神様(自称)がイタズラでもしたのかな?いや、でもやり過ぎだよなー』


 そんな事を考えながら、俺はローブに着替え豪炎:ロケットを駆使して窓側から外へ飛び出す。


 ゴウゥっと無駄にクオリティの高い灰煙を足元から発しながら無事に着地。


 慣れたものである。遠目にギルド付近に人が集まっているのが見て取れた。


『とりあえず行ってみるか……』


 俺は朝のランニングと思い、ダッシュでギルドへと向かったである。すると、俺がここ最近ずっと恋しがっていた声が耳に入る。


「ユーーーターーー!」


 決して幻聴ではない、この天使の甘声は、間違いない……っっ。俺は走る速度を上げ、視界に映る少女へ思いっきり抱き付こうと接近する。


「モーーーローーーー!!!」


 後少しで感動の抱擁である、が。パシンッ、と頭を思いっきりドつかれた。


「遊多っ、卵臭い!」


 おおう、そりゃモロさんあんまりです。確かに卵のシャワーなら昨日浴びましたが……。


「ん、何か急に曇ってきた……ってうぇ」


 俺はドつかれた勢いで地面を向いていたが、急に影が濃くなり暗くなってきたので空を見上げるとそこには巨大なシルエットが。


「でけぇっよっ!?」


 そして驚いている間にその巨大なシルエットが俺とモロの間に降り立ったのである。


「こら、遊多怯えてるから空で待ってて」


 モロが言うと、その巨大な鳥は空へと羽ばたいて空中遊覧をはじめたのだった。


「あ、あのモロさん、あれは一体……」

「やっ、やっと会えたわ。貴方のせいでひどい目にあったわ……」


 モロの後ろからもう一つの声が聞こえる。女性の声だが、心当たりが全くない。


「だ、誰……」


 と、フードを深く被ったその人物に話しかけたところで更に横やりが入る。


「おお深浦、無事だったか!!!」


 今度は駆けてきたシゼルが俺にボディブローをかます。


「ぐえっ」

「てめぇ、出来る奴だと思っていたが、何だ。どういう事だ説明しろよな!」


 まくしたてるシゼルさん、何でしょう。僕、何かしましたか?


「貴方が深浦さん、ですね。ありがとうございました、フレイザーⅤが扱えたからこそ今回の被害は最小限でおさまったといってもいいでしょう」


 今度は知らない男性から話かけられた、誰なんでしょうか。俺が寝てる間に何かあったのだろうか。


「えっと、その、そうだ!」


 俺は状況整理のために提案をする。


「朝ごはん、食べましょう!」


 俺がそういうと、モロの笑顔が弾ける。


『ああ、やっぱりモロは天使さんだなー』


 そう思っていたら、再び大地が暗闇に覆われる。まさか、と思い顔をあげるとそこには巨大な卵が急速落下をしてきていたのである。


「あー俺もうダメだわー」


 棒気味にそんな台詞を呟きながら、昨日に続いて卵まみれになる覚悟をしていたがそこはモロさん。


「とうっ」


 飛び上がり、巨大な卵を無傷なままキャッチしてそっと大地に降ろしたのである。


「これ、美味しいの?」


 モロが卵に頬を寄せ、上目づかいで俺に尋ねて来る。だから俺は答える。


「ああ、卵料理ってすんごくうまいんだぜ」


 そんな会話をしていた俺たちは、ギルドにいた人達に強制連行されたのでした。


『何がどうなってんだよ、もぅ……』


 どうにでもなぁれっ。

 俺はとりあえず考える事を辞めた。

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