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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
45/147

45:タナダタの町攻防戦(夜)-2-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

2015/4/10:文章手直し

「深浦の奴、大丈夫か」


 俺はモコン様と館を出て駆け出す。目的地は町の北側にあるチャ川である。心残りの一つある、結局最後まで姿を現さなかった深浦である。

 2日前に拾ったあの男は戦力として期待ができるのだが、アラートが鳴り響く館内で遭遇した者は誰もおらず、個人で危険を察知して行動にでたと推測している。


「無茶はするなよ」


 いくらポテンシャルが高くても、深浦はまだまだ弱いのである。アラートⅢが鳴り響く今、町が半壊してもおかしくない状況下なのである。もし避難場所を知らないでソレと遭遇してしまったら命は助からないであろう。


「ギルドにはいない、か」


 俺とモコン様はギルド前に辿り着くも、組まれた編成の中に深浦の姿は見当たらなった。と、なると深浦はきっと避難をしているはずである。


「厄災級です、水鉄すいてつがチャ川に現れました」


 スピーカーから大声で脅威の正体が告知される。


「水鉄だと……」

「シゼル、お前は水鉄を斬る事が出来るか……?」


 モコン様が俺に問いただす。水鉄、確か水が高速で体を巡回しており鉄をも切り裂く水の鎧を纏っている『魔物』である。


「水鉄は上半身がチャ川から出ており、2m程の巨体が露出しています。大地にあがると倍くらいの想定となります」


 再びスピーカーからアナウンスが流れる。


「4mクラスの水鉄か」


 俺は考える、斬れるかどうか。答えは……。


「いいえ、俺の技量とこの剣では斬れません」


 否だ。ただでさえ硬いのに、4m級となると斬るのは愚作だろう。


「尚、数は10。まっすぐに町へ向かって進行中です、距離は……」


 俺はアナウンスの途中で気が遠くなるのを感じる。ただでさえ厄介な相手が10もいるのだ、果てしてこの面子で守り切れるか。


「編成が完了しました、砲撃陣を適用します」


 ギルド前に集まっていた面子が、6組のPTを作りだす。


 第一組には防御担当、前線にでて敵の攻撃を受け耐え凌ぐPTである。


「後ろは任すから、頼むぞ!」


 防御を任された30人を統率する男性、マレイは希望を攻撃組みへ託す。


「任せろ、進行は遅らせてやる」


 マレイの肩を叩き、ヘイト取りを受け持つ第二組、ヘイト担当リーダーベンは皆に言う。


「俺達第二組がヘイトを取る、少しでも足止めをするから準備は頼んだぞ!」


 ベン率いるヘイト部隊には16人のメンバーが集まっている。弓を得意とするメンバーで構成されており、即効性のヘイトを請け負うのが担当である。


「詠唱が終わるまで頼んだよ」


 第三組と第四組は皆がツリィムの書物を片手に、各PT20人の火具師が集っている。その第三組のリーダーアザルが声を張っていた。


「俺達も必死来いていくぞ!」


 そして第四組のリーダーガインが続いた。


「火具は任せたよ、お前は絶対に守ってやるよ」


 最後に、第五組と第六組のリーダーがそれぞれ答える。


 第三組リーダーアザルへと声をかけたのは第五組のリーダー、バイン。


「おう暴れてこい!お前の命は必ず守るからな」


 第四組リーダーガインへと声をかけるは第六組のリーダー、ヘイ。


 第五組、六組はそれぞれ火具師を1:1で守る為に用意された組みである。


 ツリィムの世界にもぐり、相手に有効なデータを持ち帰る。それを詠唱する事により具現化される『力』を扱うのが火具師。


 火具には2種類ある、アラートや指輪などを作成できる製造書。そしてもう一つが今回のような場面で扱う詠唱書である。


 火具による詠唱攻撃は、火の操作・物理攻撃の効かない相手への有効打となるのだ。今回の火具師メインの構成で組まれたのは悪くない判断である。


 となると、俺はどうするか。


「よし、では俺は直接前線に向かわせてもらう。俺に当てるなよ?」


 ギルドの編成隊の前に踏みでて、俺は皆に伝える。


「まってましたっ!」

「頼んだぞ」

「頼みました」

「キャーカッコいい」


 など様々な声が沸き上がる。


「そんなに期待するなよ、オレ一人じゃ確実に死んでるしな」


 相手は4m級の水鉄10体。


 モコン様はギルド本部と合流して避難状況の把握へと向かった。

 俺達も本気でヤリアイマスカ!


「行くぞ!!!」


 俺の一声で一気に指揮が膨れ上がる。この戦、必ず誰も殺させない。必ず勝つ。

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