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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
44/147

44:タナダタの町攻防戦(夜)-1-

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

2015/4/10:文章手直し

『ピリリリリリ』


 真夜中に館内部に電子的な警告音が鳴り響く。この館の主として、皆を、町を守るべく全力を尽くさなければならない。


「急げ」


 私は指示を飛ばす。この警告音は危機が迫ると鳴る。『アラート製造Ⅲ』から作り上げた火具(カグ)-アラートⅢ-は私が設定した脅威レベル水準を超えた場合に発動するように仕組んである。


 町の外側までも覆うアラートⅢは、『シゼルが動かなければ対処できないレベル』を想定して設定をしている。


 ギルドのみで対処ができる内容ならば、ギルドに任せておけばいい。しかしギルドにも限界というものがあるのだ。町の戦力となる一人、シゼルを私は独占しているのである。それ相応の町への警護は担うつもりである。


「集まったか」


 真夜中だというのにシゼルとメイド長、他にも使用人共々が大広間に集まった。


「はいモコン様。まだ深浦様が見当たりませんが、お部屋を訪ねるも反応がなかったので既に行動を開始しているものと」


 メイド長が迅速に点呼をすませている。


「わかった、シゼルから報告を受けている。あの深浦君なら、何も問題ないだろう」


 私は気を取り直し、皆に告げる。


「皆聞いてくれ。火具の-アラートⅢ-が鳴り響いた。町周辺に厄災が訪れようとしている」


 皆は私の言葉の続きを待つ。落ち着くんだ私。


「アラートⅢという事は、町が半壊する可能性のある火の流れを察知したという事だ。正直に言おう、状況は最悪だ」


 不安になるだろう事態だというのに、皆は黙って私の言葉の続きを待ち続ける。

焦るな、このような時に私がしっかりしなければいけない。


「北側、チャ川の方面から得体のしれない何かが近づいている。現場には私とシゼルの二人で向かう。ギルドは既に動き出しているはずだ、皆はメイの実家にある道具屋地下空洞へと非難してもらう」


 メイがメイド長の横へ呼ばれ、前へ出る。


「私が必ず皆を守る、諦めるな。生きて会おう」


 そう私が締めくくると、メイド長とメイが避難誘導を開始する。


「過去-アラートⅠ-が鳴り響いた時、確か町の東側がやられたんだっけか」


 シゼルが私に尋ねて来る。


「ああ、それを教訓に今のタナダタは出来上がっている。大丈夫さ」


 心がカチカチに凍り付きそうな程の恐怖に包まれるが、私は守り抜かなければならない。


「シゼル、力を貸してくれるか」

「ああ、そのために俺はアンタの傍にいるのさ」


 こんな状況下だというのにシゼルが笑いかけてくれる。


「ありがとう」


 このアラート音が長い夜の幕開けとなったのだった。

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