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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
25/147

25:また修行がはじまりました-1-

2015/2/27:文章手直し

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

「では、深浦行くぞ!」


「朝、はやいんっすね」


 俺は、まだ陽も出てない内から起こされ館の外に出ている。なんでも、これから薪を取りに行くそうだ。


「それで、何で走ってるんですか」


「そりゃお前、時間が足りないからだよっ!」


 と、加速するシゼルに平然とした顔で追いかける俺。モロさんに毎朝、マラソンという名のデスレースで鍛え上げられたのだ、これくらいの速度で置いて行かれる事はない。


「ハハハ、お前やっぱいいな、早く兵として登録しちまおうぜ」


「いやいやいや、俺はモロと……」


 と、早朝からタナダタの町を駆ける、駆ける、駆ける。

 しかし、森の中より走りやすいと思っていたが意外に足に負担がかかる。


 森の中は土だったけど、このコンクリート? みたいな地面はつらいなぁ。と、俺は町を駆けながらそう思う。コンクリートっぽい地面に、民家も同じくコンクリートにカラーをつけたような感じで連なって建っている。館周辺は、もっぱら住宅区といったところだろうか。


「あの、こんな場所に薪とかあるんですか?」


「ん、あるぞー大量にな!」


 と、シゼルは急にまっすぐ進んでいた道を曲がる。こちら方向は確か道具屋などが集まってる地区である。しかしそこには特に森が広がっている訳でもなく、到着したのは予想通り道具屋前である。


「おはようございます、ラルルさん」


「今日もよろしく頼むよ」


 メイ母の名はどうやらラルルさんという名前らしい。


「おや、あんたも来てたのかい。メイとは上手くやってくれてるかい?」


 と、ニヤニヤ顔で言われたがとりあえずコクコクと頷いておく。


「じゃ、お邪魔しますよ」


「ああ、お願いするよ」


 と、シゼルは店内にある扉をあけて奥へ進んでいく。


 こんな場所に階段? と、歩みを進めると地下空間に広大な空間が広がる。そこにはまき割りスペースと、木々が少し生えている。


「よーし、では深浦、薪を割れ!」


 どん、と切り株の一つに腰を据え、俺を見ているシゼルさん。ねぇ、シゼルさん? 俺、都会育ちですよ。


「えっと、どうやったらいいんでしょうか……」


 恐る恐る問いかけると、ため息と共に立ち上がり、手本をみせてくれるシゼルさん。何だかんだで優しい人である。


『スパコーンッ』


 華麗なるフォームから繰り出される斧のラインは、薪を綺麗に真っ二つに断ち割っていた。


「よし、やってみな」


「は、はいっ」


 見様見真似で斧を振りかぶる。


『かちょん』


 という音がしたかと思うと、ブウンブウンと音をたて薪はシゼルの顔面へと向かって飛んでいった。が、何事もなかったかのようにガシッと薪をキャッチしてみせたシゼルは、俺に薪をリリースしてくれる。


「ほれ、もう一回やってみな」


 再び、俺が実践してみるも今度はあらぬ方向へ薪が飛んでいく。


「はぁ、お前って奴はブレッブレだな、なんでそれで……」


 ぶつぶつとシゼルが呟きながら、俺に体を密着させてくる。


「いいか、深浦。こうやってな」


『ふぁっ!?』


 俺の耳元でシゼルさんが呟いてくる、耳、耳元っすよ? そこ弱いっすよ。


『すぱぁぁん』


 と、そんな事を思っていたら既に俺は斧を振り下ろした後だった。


 あれ、何だ今の? 振り下ろした斧は、違和感なく薪を真っ二つに断ち割っていた。


「今の感覚、忘れるなよ?」


「あ、はいっ!」


 そうやって俺は徐々に薪割りのコツを掴んできたのである。


『おお、思ったより楽しいかもな』


 なんて思ってたのは最初だけである。


「い、いだだだ」


「またぎこちなくなってきたな、そろそろきたか?」


「いてて、体の節々痛みます……」


 俺が苦しそうに振り向くと、シゼルが笑いながら俺の肩を叩く。


「やっぱりお前は面白い、鍛えたら本当にすごい奴になれるかもしれんぞ」


 普段使わない筋肉が悲鳴を上げて、俺は本当にまだまだだな、って思い苦笑した。


「これ、終わったら次は水運びだからな」


「げぇ」


 思わずげんなりしてしまった。そう、まだ薪割りを始めて一時間しか経過していないのであるから。


『こ、これは初日からきついわぁ』


 モロさんの修行がやさしく思えてきた、モロさんマジ天使、マジ天使。

 俺の中のモロへのイメージがどんどんと美化されてゆくのであった。

修行はじまりましたね。シゼル→メイ→?という流れで修行が組まれるので、深浦さん大変ですね。

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