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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
23/147

23:とても修羅場です-3-

2015/2/25:文章手直し

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

「お前ってやつは……」


 シゼルが俺の言葉を聞き数秒固まっていたが、やっと発した言葉はそれだった。


「ふざけんなっ!」


 立て続けに三連射される火球が俺を襲う。火の剣を構えて受け止めるも、一発目を相殺しきれず砕け、そのまま直撃、直撃、直撃。


『あ、モロ……』


 そこで擦れ行く意識の中、モロの無邪気な笑顔が脳裏に浮かんだ。


『たお、れる訳には』


 意識が遠のく、思い出せ、あの、辛い修行の日々を。


『まだ……』


 俺は薄れゆく意識の中、日々モロとの修行の動作を体が反復する。


『ザザザッ』


 俺は砕け散るセット装備1を無視して、燃え続ける腹部に溜まる火の塊に手を出し入れする。俺の意識は既に制御できていない、日々の辛い辛い修行を体が覚えているだけなのである。


『ザザザザザザッ』


「なんっ!?」


 シゼルの声、だろう。何故驚いているのだろう?


 自らの腹部を高速で手で触り、火を『消化』しているだけなのに。


 そうだ、火が消えたらすぐに移動しなければ。すぐにまた飛んでくる。射出地点は既に捕えている。ではストップさせよう、投げられる前に捕えてしまえばいいのだから。


 俺はフラフラとした足取りのまま、小刻みに大地を蹴り間合いを詰める。


「こなくそっ」


 再び飛んでくる。しかし俺はソレが見えているし、しっかり『拾わなければ』ならない。そう、『木の実』を食べなければ空腹で倒れてしまうから。だから飛んできたソレは全て手で『握り取った』。


 意識が混濁する中、俺は更に木の実を投げてくるソレの腕を掴みとる。これでいい。


「わかった、わかったから終わりだ終わり!」


 何か聞こえる、だけどまだ腕の中にある木の実は焼き木の実ではない。モロは焼けと言っていたのだ。だから俺は。


「豪炎:オーブン」


 俺の手の中にあるソレに微粒子状の火を放つ。その微粒子は手の中の物に微振動を与え、豪炎にイメージした振動による発熱する業である。俺が木の実を焼くために編み出したイメージである。


『バキンッ』


「これ、で、しょく、じ」


 俺はバタンって音を立てて地面に倒れこみそのまま意識を深い闇へと落としていた。


「くっそ、何だよコレは。深浦の奴俺より強いんじゃないのか」


 これがシゼルの抱いた感想である。シゼルの腕に装着していた白銀の腕輪は砕け散っていた。


「兵として組もうと思ってたが、俺の予想を超えてお前は規格外だったよほんとに」


 その白銀の腕輪は太陽の都に稀に手に入る、この世界で最も固い鉱石で作られた物であり、破壊される事はないと信じられている物であった。

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