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火の世界の豪炎  作者: PP
第一章-太陽の都編-
14/147

14:ああ、川の流れにノーリ

2015/2/17:文章手直し + ジャージの色を紺色→白色に変更しています。

2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 俺は砂まみれになった体を気合いで起こし、丸太で横殴りにされボロボロになった人間を見る。異世界で初めて出会う人間なのだ、放っておくことも出来ない訳で。


「ちょっとモロ、待ってて」


「うん」


 俺の持つ唯一の服、白色ジャージ(上下)の中に入り込んだ砂がチクチクし痛むが、まずは助けないと。勿論、俺のせいなのだが深く考えないようにした。


 ザク、ザクっと足取り重く砂の上を歩きフードを被った人に声をかける。


「すいません、ごめんなさい」


 反応、がない。背負っていたであろう、水瓶から僅かだが水滴が滴っている。


『壊しちまったか、いやそれよりも早く』


 俺は気を失っている人を背負い、更に足取りを重くしてモロのいる地点まで戻る。


「一度、川まで戻ろう」


「いいよー」


 モロさんは相変わらずマイペースである。そして歩きながらモロへ問いかける。


「なぁ、モロの力でこの人癒してあげれないかな」


「やだぁー」


「どーしてもダメ、かな」


「私は遊多だけのー」


「お、応」


 そんな会話をしつつ、吹き飛んできた距離をトボトボと重い足取りで戻る事十分程。この人重い、なんて感想を抱きつつ自分が悪い事を棚に上げ川まで戻った。



「ちょっと水汲んでくるわ」


「待ってるー」


 俺は両手で水をすくいあげ、ボロボロになってるAさん(今、仮の名称を思いついた)の元へ運んだ。


『それにしても、この川って水の流れはやいなぁ』


 インドア派なのである、川で遊んだことは勿論、泳ぎにプールへいったのも何年前になるか。海?知らんがな。


『ぴちゃ』


「……」


 うん、わかっていたのだ。両手ですくった水がどんどん零れ落ち、Aさんの顔に浴びせた時には雀の涙ほどしか残ってなかったのである。


「これじゃ、効果ない、よな」


「……ぷぷっ」


 俺の行動をみて、相変わらず微笑んでくれるモロさんマジ天使。いや、それどころではないか。


「さて、それでも繰り返すしかないよな」


 俺は全く気が付かなかった。衣服など濡らして運ぶなど、色んな方法がある事に。そして三往復目にしてやっと、反応があった。


「ん、、、んん」


「あの、そのゴメンナサイ」


「ん、、、あ、れ、ここは」


「その、もう一回運んできますね」


「……?」


 まだ状況把握ができていないのだろうが、水をもう一度運ぶ事にする。フードに隠れた顔からは表情はほとんど伺えなかったが、口元がカラカラになっていたように見えたのだ。もっと水が必要である。


 そして。


「ぎゃーーー」


 ドボン、という音と共に俺はひんやりとした世界の中にいたのである。一言で表現すれば川の流れに身を任す状態になっていた。泳ぎ? そんなん衣服着た状態とか無理やん。


「だ、てjwふえwfkpw」


 ボコボコボコ、と沈みそうで沈まないを繰り返しジタバタと水中であがく。岸に手をつくも水の流れに負け掴んでも掴み切れずすぐ流される。


『お、れここで、、、し……』


 死ぬイメージが強く脳裏に浮かぶ、生きたい。やり直せるならやり直したい。苦しい、モロさん、短い間だったけどありがとう。


 俺の体は意識と共にブクブクと水の中に飲み込まれていくのであった。

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