12:初めて森を抜けました-2-
2015/2/6:文章手直し
2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。
『うおぉぉぉ』
俺はまだ知らない、このイカダの加速を止めるイメージを。後から考えたがアンカー等を打ち込めば良かったのだろうか。いや、しかし川の深さが掴めていないのでそれも無駄だったであろう。
イカダは岸へ衝突し、その際に生じた慣性の法則により俺達は吹き飛び上陸していた。結果、俺は全身を砂まみれにしていたのだった。更に、バラバラになったイカダも勢いを殺さず飛来、その内の一本が俺の顔の真横に刺さったのはトラウマものだった。そんな感じで、向こう岸へと無事到着していた。
「遊多、大丈夫?」
珍しく本気で気にしてくれるモロは、しっかりと着地を決めていた。途中、空中で丸太を蹴飛ばしていたようにも見えたが、モロさん居なかったらやっぱり俺死んでたかも。
「応、大丈夫だ、けどもここは」
都のイメージは豊かな土地だと思っていたが、見事に裏切られる事となる。そこには辺り一面が砂、砂、砂。まさしく砂漠地帯だったのである。
「太陽の都って砂漠にあるのな」
「そうだよー、遊多は体温管理しっかりしてネ」
砂漠地帯、か。昼間は灼熱の大地、夜中は極寒の大地と2つの顔を持つのが砂漠の鉄則、だよな。しかし今の俺ならばきっと。
『熱いですモロさん』
口には出さなかったが熱い、体温管理のイメージが灼熱に劣っているのか、そういう事なんだよなこれは。
「で、唐突だけどあれどうしようか」
「どうしようかー?」
俺たちが乗ってきた丸太の一本が、見事に数メートル先にいる人物へ直撃したのを俺は目視していた。流石にあれは死んだか、殺しちゃったか、とか色々な感情が湧いたが、丸太が直撃した瞬間にソレは消し炭となって消滅していたのである。
『でもなぁ』
あの倒れている人物を襲った丸太は一本だけではなかった。続いて回転しながら飛んできた丸太に横殴りにされたその人物は『びゃっ』という声とともに横へ吹き飛んでいたのである。
「ほっとけないよな、俺たちのせいだし」
「遊多のせいだよー、私悪くないよー」
モロさん、少しは庇ってくれてもいいんだよ?
こうして俺は森を抜け、南側の大陸で初の人間と出会うのでった。




