11:初めて森を抜けました
2015/2/4:文章手直し
2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。
俺達はモロ母との挨拶を終え、家をあとにした。その際、モロは直接地面へと軽く飛び降りるが、俺にはまだそんな器用な事はできない訳で。
「これが俺の豪炎ロケット、だっ」
この業を使うのは久々である、が実際は飛んでいくイメージをしている火の操作なのだが俺の体は徐々に降下を始める。そして足元から無駄に弱弱しい煙が噴出されるこのクオリティ。
『やっぱ恥ずかしいわこれ』
ゆっくりと、そして盛大に着地を決めた俺はモロに向かう方角をうかがう。
「太陽の都は、こっちだよ」
そう言うとモロは加速を始める、俺もそれに続き追いかける。
『タタタタッ』
二人はものすごい勢いで森を駆け抜ける。木々を躱し、根を飛び越え、枝をも全て避けて駆ける。
『こっちの方角は一度しか行ったことなかったよなぁ』
一度だけこちらの方向に来たときは、モロに置いて行かれるかと焦った。何せ木々の密集具合も凄く、その先には。
『ここ、だよな』
海かと見間違えるほど巨大な川がそこにはあり、川の手前までつくとモロはあゆみを止めた。
『以前はここでモロが止まってなかったら俺、完全に迷子だったよな』
そんな事を思い出しながら今はもう、モロに遅れる事はない程には体力がついている自身の成長具合に、何故か川に向かってドヤ顔をしてみた。
「遊多ー、泳げる?」
「いや、泳げるけど泳げない」
「泳ぎもダメなのかー、ぷぷ」
笑われた。がこれは無理だろう、何せ向こう岸が視力があがった今でも霞んでしか見えない程遠いのである。
「どうやって遊多連れて行こうかなぁ」
モロさん、何も考えてなかったんですね。それにしてもこの先に人が住む都があるのか。まぁ海や川や、それを渡るならやっぱり……
「ちょっと、待っててくれないか、イカダ作るから」
「イカダ?」
「応、木を浮かべてそれに乗るって言えばわかりやすいかな?」
「そっかー、えいっ」
『ゴゴゴ』
モロの掛け声とともに丸太が数本地中から生えてきた。
「ぬわっ、あぶねぇ。でもこれに乗れば」
俺はモロさんの不思議現象には驚かない、ようにしている。さっと丸太を組み合わせ、弦もついでに用意してもらい括り付ける。
「俺、案外アウトドアいけるんじゃね」
モロが不思議そうな顔をしているが、この際気にせずイカダを浮かべよう。
『ドプッ』
イカダは川に浮かぶも、川の流れにより下流へと徐々に流されていっている、がここは問題ないだろう。
『豪炎:ブースト』
俺とモロはイカダが流される前にひょいっと飛び移り、俺は即座に豪炎:ブーストをイメージしていた。言葉通り、ブースターを取り付けるこの業。
俺はイカダに手を当て、イメージを続ける。と、どうだろうイカダは流れに負けず徐々に加速を始める。
「よくできましたっ」
モロが俺を褒めてくれる、が今では照れる事はあってもイメージが崩れるような失態はしない。焚火修行で嫌というほど熱々な思いをしたのを思い出し、思わず苦笑してしまう。
「そりゃどーも、それじゃまだ見ぬ土地へ、いくか」
「うんっ」
期待せずにはいられない、まっていろ異世界の都よ!




