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火の世界の豪炎  作者: PP
プロローグ
1/147

1:二代目テスター 

主人公

2015/2/3:文章手直し


性別:男

年齢:24歳

身長:164cm

体重:50kg

生活:ネトゲ中毒者

進行:異世界へ召喚されたネトゲ中毒者の行く末はいかに。



2015/3/2:各タイトルにナンバリング記載。

 俺、深浦(ミウラ) 遊多(ユウタ)は今、王様の言葉に対し現状を理解しようと必死であった。

 つい先ほど、四六時中プレイしているネトゲのキャラクターがレベルカンストしてやっと最後の魔法:豪炎(ゴウエン)を覚えれると歓喜したところで意識が遠のいた。


 それが2分前の出来事。体内時計に関してはネトゲのメンテナンス開けのログイン時間やクエストの開始時間を正確につかむため、かなり時間には正確だと自負している。


 目の前が真っ暗になったかと思えば、先ほどまで椅子に座っていたはずなのに唐突な浮遊感を感じ、途端に俺の体は落下を始めていた。


 訳が分からなった。


 気が付いた時には俺は尻餅をついており、視界が復活してきたかと思えば目の前にはゲームでみるような王様が目の前にいたんだ。そして俺にこう言ったんだ。


 「ようこそ、テスター君」


 「えっ?」


 「君が第二のテスターだ、君が得る能力は果たして……よい結果を期待してるぞ」


 「……?」


 俺は先ほどまでネトゲをやっていたはずだ。しかし、目の前に広がる光景はどうみても非現実。どうやら夢ではないらしい、視界にうつる物が全てリアルなのだ、音も、匂いも、何もかもが。


 そして今、目の前では金ピカの冠と宝石が詰まった杖を持った爺さんが立っている。周囲を確認するとここは広い空間であり、足元にはレッドカーペットがまっすぐ続いており、爺さんの背後には玉座らしきものが見える。


 ただし、目の前の爺さん以外他の人物は一切見当たらなかった。


 そして、更に視界の手前側には空中に浮かぶ謎のウインドウが一つ。


 そこにはこう表記されいた。


 『貴方へギフトを贈ります、欲しい能力(チカラ)を念じてください』 


 『欲しい……能力(チカラ)?』


 俺はすぐにその能力に思い当たる。


 『俺、さっきカンストしたキャラが豪炎っていうサーバーで一個しか取得できない火の魔法を覚えれたんだよなぁ……』


 『火の力ですね』


 『まぁ、そんな感じだよな』


 『完了しました』


 謎のウインドウとのやり取りが終わり、それは光の粒子となり消滅した。これで再び王様らしき人物と二人きりになる。


 「さぁテスター君、君の能力をみせてみたまえ」


 「え、どうやって…?」


 「それは私から説明しましょう」


 先ほど周囲を確認したが誰も居なかったはずなのに、突然と背後から他の人物の声が聞こえてくる。そっと振り返るとそこには宙に浮いた人がいた。


 「初めましてテスター2号君、私は最初のテスターである者だよ」


 「は、はじめまして……」


 俺は目の前の宙に浮いた人物と軽く挨拶を交わす。唐突に現れたこの青年は、黒髪ロンゲな奴だった。


 ざっと見たころ身長は170㎝ぐらいで、宙に浮いてる方法はわからないが全身真っ白いタキシードをまとったジェントルマンだった。昔テレビアニメでよくみた変態紳士にとても似ている。


 「私たちテスターは、最初に得たイメージを具現化できる能力(チカラ)を得ています。私は重力を操る能力を得ました。その結果イメージする事によりこうやって浮く事も出きたりするのです」


 「じゃ、じゃぁ……」


 「君がイメージした能力を強く念じてみなさい」


 俺がイメージした能力(チカラ)、それはサーバーで一つしか手に入らない豪炎の炎。火の力である。


 ただし俺が取得しようとしたその豪炎の魔法は誰も使ったことがないわけで、どれほどの可能性を秘めているか想像がつかなかった。


 ただ……


 『どんなレイドBOSSだろうと一殺できるくらいの火の魔法だったらいいなぁ』


 俺はそんな事を思っていた、これが悲惨な事件になるともこのときは思いもしなかったが。





 俺はそっと拳を空に向けて突き出し、念じた。


 『豪炎っ』


 その瞬間、俺の右手に炎の塊が纏いつき、俺が火の力を得たことを証明してみせた。


 「なん……」


 その瞬間、冷ややかな目線が俺に突き刺さる。


 「それ、それしかできぬのか……!?」


 「君はよりによって火の力だけ手に入れた、のかい?」


 王様と、初代テスターが俺に語り掛けてくる。


 「あ、ああ。そうだけど何か」


 まだ現状理解がぎりぎりの状況で、俺は一つだけ理解できたことがある。


 『選択を誤ったか……?』


 「く、くはっははは」


 そして俺の横までやってきたロンゲ野郎は俺に声をかける。


 「よりによって火の力のみを得るとはね、君は実に運がいいよ……」


 「こんな事で失敗するとは。次は何年後になるんだ大臣」


 「はっ、次は1年後になります」


 「ギリギリだな、、、まぁよい、そこのテスターは捨てておけ」


 「はっ」


 唐突に王様らしき人物の横に現れた大臣と呼ばれる男が俺に近づき、俺の豪炎を纏っている拳を素手で掴みそのまま外まで連行する。


 「貴様は用無しだ、どこにでもいけい」


 そして俺は城外へほっぽりだされる。何もわからぬまま。


 「なんなんだよコレ……」


 大臣は無慈悲にも俺を場内から放り出し、そのまま城門が閉じられる。


 隣にはいつの間にかついてきていたロンゲ野郎がいる。


 「本当に君は運がいいな、俺の時は召喚された瞬間足がコレだったからな」


 「なんなんだよ、ほんとに」


 「俺の名は海道(カイドウ) (アユム)、1年前にこの世界に召喚された。そして足を失ったテスター一号さ。まぁこの重力の能力は得たから不自由はしてないがな」


 「俺、なんかまずったのか…?」


 「いいや、この国にしては失敗だが君は正解を選んだだけだよ」


 「どういう意味なんだよ」


 「そうだな、俺たちテスターは兵士としての可能性を見出す為に召喚され、その実験体に選ばれたに過ぎない。都合のいい異世界もののような話ではないから覚悟しておくことだな」


 ロンゲ野郎、海道は続ける。


 「俺の時は、召喚された瞬間に暴れないようにと足をつぶされた。そして歩きたい想いで得たのがこの重力操作さ、兵士としては重宝されているかな。そして君の力は火を操るのかな、うん、非常に運がいいというべきか」


 海道は一呼吸おき、俺にこの世界の真実を伝える。


 「この世界では誰でも火を操ることができるのさ」


 海道の指先にはライターからでるような炎が舞い上がっていた。


 「なん……」


 俺は絶句した。せっかく得た力が誰もが使える力であり、そして俺はこの世界の一般人と同じ土俵にたっただけだったという事実に。


 「でも、その能力を選んだおかげで君は自由を失う事はなかった、俺のようにね。この世界の火は非常に危険だから、注意するようにね。それじゃあね」


 海道は一方的に語り掛け、そのまま城内へ戻っていった。


 「これから俺、どうしたらいいんだよ……」


 こうしてネトゲ中毒者、深浦 遊多の異世界物語は始まったのであった。

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