第27話 犯罪者を捕まえるだけの簡単なお仕事です
ちょっと重たい話です
○月×日
「……あー、つまり、専門科の手伝いとして、町の治安維持を手伝って欲しいと言う事なのだが。どうだろう?」
ディアス先生が我がクラスにやって来てそう言った
近年町の治安が次第に悪くなっているそうで、学園の専門科でも人手が足りなくなっているのだとか
「ディアス先生、それは強制参加ですか?」
「いや、そうではないが。君は反対か?」
ディアスは意外そうに言った
もう…… 全員が暴走してる訳じゃないんですよ、ディアス先生
「いえ、アリサちゃんの様な婚約者持ちの人は問題ありです。暴れたせいで破談になったら可愛そうです」
私は先生を睨み付けながら言った
もう少し、女の子への配慮が欲しかった
朴念仁め!
クラスの半分位はもう婚約者がいるんだ
ピコみたいに破談にしたい子はともかく
まあ、先生の意図は分かる
シャナを含め暴れるヤツらのガス抜きをしようと言うのだろう
自分もこの前やっちゃったし♪
反省はしてるけど後悔はしてない!
こんな台詞が言える日が来るとは思わなかったな
「そうか、それは気が付かなかったな。すまない。とにかく人手は欲しい。参加したいメンバーは名簿に名前を書いてくれ。人数だけでも把握したい」
「先生。私はバイトをしているのでフルタイムでの参加は出来ませんが、それでも良いですか?」
「バイト?」
「はい。学生街の外れのメイド喫茶です。早朝に氷を仕込んで、授業が終わったら後はメイドになります」
ディアス先生があきれた顔をした
まあ、こんな生徒はいないからな
「そんな事をしてたのか。でもそうすると朝しか出られないぞ」
「警備スケジュールがどうなっているのか知りませんが、朝なら参加出来ると思います」
「そうか、それだけでも助かる。早朝の警備も勿論ある。騎士達を休ませたい。是非参加してくれ」
騎士を休ませる
そう言う理由か
そうして私達は警備に参加する事になった
まあ、私の場合は早朝だけだけどな
○月×日
本来、町の治安維持は騎士団や兵士の仕事だ
特に王宮や王都は第一騎士団の担当だったりする
つまり、兄様のお仕事だ
実際には、下っ端の準騎士、騎士見習い、学園の専門科、それに一般兵だ
兄様も昔やってた
今もそれほど出世していないので、事務屋なのに巡回に駆り出される事もある
顔が広い事もあって事務仕事を押し付けられたんだそうだ
おかげで余計顔が広くなったらしい
荒事は得意ではないと言っているけど腕は良い
私と模擬戦をやっても、私は3本に1本しか取れない
私の動きは読みやすいと言っている
時々一緒に修行してたからな
手の内が読まれてるって訳だ
修行が足りないって事だろう
警備での私の基本の配置は‘遊撃’だ
飛行に転移、格闘に魔法まで持っているオールラウンダーは意外と少ないのだ
他の突っ込み隊メンバーも担当区域で待機だ
突っ込み隊は荒事担当で、犯人を捕まえたり、ガサ入れしたりする
他のメンバーは使い魔で町中を探索させてたり、怪しい人物を尾行させてたりする
勿論、毎日出来る訳ではないから、シフトを決めてローテーションする
なんだかバイトみたいだ
バイト代は出ないけどな
しかし、こんな朝早くから犯罪者がうろついてるのか疑問だったが、この世界ではそういう奴もいるらしい
どうやら始まった様だ
通信役と使い魔を担当ブロックに分け通信機代わりにする
使い魔に話しかければ主に伝わる
通信役がブロックリーダーに報告して行動開始だ
私はミニトレイで似た様な事が出来るけど、私がいない時の方が多いので、他の方法が考えられたらしい
こんな方法騎士団でもやってないぞ?
全員が使い魔持ちの我がクラスだから出来る事なのだ
私とエミーは朝起きると早朝の修行にはげむ
修行を欠かした事は一度もない
修行が終わると私はメイド喫茶に行き冷蔵庫の氷を仕込む
その後にいよいよ警備のお仕事だ
「遅くなりました。状況はどうです」
今回は誘拐と人身売買のガサ入れのため、標的の周りに配置している
遊撃部隊は隊長のシャナの側で、いつでも出動出来る様に待機だ
いつもは警備、つまりパトロールがメインなのだが、ずっと追い続けた犯罪者をたまたま見つけてしまったのだ
ここを発見出来たのは、昨日誘拐事件が起きたからだ
たまたま、くろが現場に居合わせた
助けるのは簡単だったがアジトを潰さないと事件は終わらない
くろは誘拐とか監禁とかにトラウマがあるのによく我慢してた
ハリセンに慰めて貰うと良い
私では多分くろを慰められない
母性なんか無いんだろう
今度メイド喫茶に呼んでおごって上げないとな
「ボスは待機中、あそこが取引場所みたいですね。‘荷物’はもうすぐ到着です。‘荷物’の中身は子供でした。くろちゃんが確認してます」
そこは倉庫街の様な所で、早朝の今は人気がない
取引には打って付けなのだろう
シャナは今にも飛び出しそうにキョロキョロしてる
つくづくリーダーに向いてない
こんな時は冷静な人がいれば良いんだが
しかし‘荷物’が子供となるとドリルとメロンが心配だ
冷静でいてくれるだろうか
あの二人もトラウマがあるからな
先走らない様に出来るだけフォローしないと
今回の作戦では、二人か冷静でないと失敗する可能性が高いからだ
「ドリルさんとメロンちゃんの様子はどうです?」
「今は二人共、落ち着いています。‘荷物’も無事やり過ごしています」
シャナは‘荷物’と言うのをイヤそうに言った
そんなにイヤならそんな符丁にしなければ良いのに
符丁を決める時はノリノリだった
今回の作戦は誘拐犯と人身売買組織の壊滅が目的だ
一網打尽にしなければならない
下っ端を幾ら捕まえても事件は解決しないのだ
だから誘拐犯は泳がせて、組織自体を壊滅させなければならないのだ
そのためには踏み込むタイミングが重要なのだ
メロンとドリルは誘拐にトラウマがある
冷静でいてくれると良いんだが
二人が暴走しない様に、メロンにはハリセンが、ドリルには私がフォローする事になっている
「二人共落ち着いていてくれると良いんですが」
本気のドリルと対決した事はないからな
この前テストした赤いヒールを使われるとやっかいだ
後の学生ギャング、誕生ですw
16歳の時点で手慣れてたので、この時期に誕生したかなと思いまして
外伝を書いたんですけど、思いのほか反響がなくてがっかりしてますw
良い話だと思ったんだけどなぁ
別小説としてupしたせいかな
読んでやって下さいませ
シリーズ登録したのでそこからジャンプできます




