第12話 ノーラ様を警護します
○月×日
今日は決戦の最終日である
ノーラ様に群がる害虫を駆除するのだ!
私とシャナは今年10歳である
つまり、ノーラ様と姉様は16歳! デビューの年なのである
会場は王族が出席するので当然王宮なのだが、出席出来るのはデビューする本人とその家族なのだ
つまり部外者は入れない
私とエミー、それにシャナは妹として辛うじて出席出来る
本来なら突っ込み隊全員出動な事態なのだが、正式に出席出来るのが私達と家族にデビューする人がいる非転生者の数名位だ
つまり当てになるのが私達だけなのだ
しかもシャナは魔法の使用を禁止されている
なかなかハードなミッションである
頑張れ私!
超頑張れ!
ノーラ様をお守りするのだ!
ノーラ様のドレスの出来は素晴らしいの一言だった
リンスター家のお針子メイドはまだ幼いのになかなか優秀で、色々な服をノーラ様やシャナに着せている
半分以上がネタなのが玉にキズだが
貧乏貴族のリンスター家では買えないだろうと、姉様の親友という事で交流のあるわが家が生地の都合を付け、おそろいの白のデビュードレスが仕上がった
お針子メイド、ぐっじょぶである
私は試着したノーラ様のドレス姿を見て、鼻血の海に沈んだ
ノーラ様のエスコートは公爵家のシェールだ
姉様のエスコートは何故か兄様
姉様、婚約者がいませんでしたか?
「■■ちゃんがお嫁に行くまでは結婚しません!」
ええーっ!
シスコンも大概にしろよ!
姉様の婚約者は理解してくれてるそうで、もしかして姉様愛されてる?
そう言うと姉様は
「うふふーん」
と良い顔で笑った
くそっ!
余裕だな、リア充め!
いけない! はしたなかった
身内になるのだから、もげろと言えないのがツライ
私たち子供組も当然ドレスだ
しかもロングである
トレイ流は何もミニスカに特化した流派ではない
ロングスカートでは下着の見えるアクションが少ないので、より自由度が増しているのだ
何より足技が多彩になるのは大きい
普段ミニスカで特訓している私とエミーに取って枷を外されたも同然なのだ
トレイ流の真髄! 見せてやる!
とは言っても私達の害虫駆除は秘密裏に行わなければならない
警備の騎士が居るのだから
勿論、警備が厳重だからと言って躊躇う事はあり得ない
私達はリンスター家の馬車と一緒に馬車に乗って王宮に向かう
親友同士一緒に行きましょうと言う事らしい
シャナのパパは何と言うか家族が大好きで、過保護、子煩悩
まだ子供なシャナはともかくノーラ様にまで子離れしてないって!?
ノーラ様の警護の話をしたら協力すると言ってくれた
日頃の突っ込み隊の活動の事も聞いているみたいだ
王宮に向かう街道に突っ込み隊が見えた
私は彼らにサムズアップをした
彼らもサムズアップを返す
彼らにはパーティ会場の外の害虫駆除をお願いしてある
会場から漏れた害虫を追撃して貰うためである
害虫は徹底的に駆除されなければならない!
□□□
王様の挨拶が終わりバーティがが始まると、貧乏貴族とバカにしてたはずの奴等や学園の噂を聞き付けて、ノーラ様の美しさにやられた連中が群がってきた
おまえ等ゾンビか!
エミーには姉様の警護に付く様に言ってある
ノーラ様に振られた流れ弾が姉様に来ないとも限らない
婚約者の居る令嬢をかすめ取ろうとするなんて魂胆が許せない
姉様の婚約者はイケメンだった
リア充爆発……
うう、言えないのか
家は自由恋愛推奨派で未だに兄様には婚約者が居ない状態
あの姉様を射止めたなんて、どうやったんだろう
しかも姉様あの余裕
分からん!
私とシャナはドジッ子を装い、水やジュース、料理をゾンビどもにわざとこぼしたり
気が付かれない様に足を踏み抜いたりした
子供のイタズラ程度に止めているのは、将来自分達がデビューする時に目を付けられない様にするためである
私はデビューする気は無いので暴れても構わないのだけど、家名に傷が付くのは避けたかった
自分の事はどうでも良いけど、家族に迷惑を掛ける訳にも行かない
シャナはやる気マンマンみたいだったが、有望な愛人が来なくなるぞと言ったら自重してくれた
アイツが暴れるとロクな事にならない
何でアイツは愛人欲しがるかなぁ
まだ10歳だぞアイツ
「やあ、シャナ。来てたんたね」
ルイン来たか!
第二王子のルインは私達のクラスメイトで、シャナの幼なじみだ
ルインにもノーラ様の警護を頼んでおいた
ルインもこういう事は大好きなので、快く引き受けてくれた
と言っても直接警護しているのではなく、騎士達に指示していた
ただ騎士にノーラ様を直接警護させられない
ミイラ取りがミイラになる事は避けねばならない
騎士が害虫になる事もあり得るからだ
ノーラ様に群がる害虫がやっと減って来た
エミーもバテてる様だが、まだ大丈夫そうだ
私とシャナは交代で休んでいた
そこへ視界の隅に知った顔があった気がした
「よう、元気か」
ハリセン!?
「仕込みが終わったのでな、こっちへ来た」
「仕込み? 何の?」
「まあ、それは後だ。くろも来とるぞ。それと面白そうだからピコも連れて来た。しーは来れなかったな。家の方が大変らしい。メロンとドリ男は呼べば何時でも来れる様に待機中だ。しかし、ここの警備はザルだな」
そんな事言うのはあんただけだ
その時、私の影からくろが現れた
「ノーラ様のピンチに駆けつけたわん」
「ピコさんは?」
「あっちで釘付けになっとる」
見るとヘイン先生を見つめるピコがいた
ハリセンは派手な格好でパーティ会場から浮きまくっていた
くろも何時もの着ぐるみ状態だ
ピコは周りが見えてないので普段着でも関係無いみたいだ
「さあ始めようか」
そう言うと指をパチリと鳴らした
すると中庭から花火が上がった
ハリセンの仕込みはこれか?
花火なんて見たこと無いファンタジー世界の住人達はバルコニーへ花火を見に行った
一方、警備の騎士達は予定にない事で右往左往している
ふと見るとノーラ様を花火に連れ出そうとしている輩がいる
シャナはどこだ?
私はノーラ様と一緒にいるはずのシャナを探したが見つからない
私は客達を避けながらノーラ様の所へ向かう
ノーラ様の手を取ろうとしていた男に近付き、トレイを一瞬だけ召喚してパカンとやった
私は倒れる人を介抱するフリをして座り込み、カモフラージュのため膝枕をした
「ノーラ様大丈夫ですか? 何かされてませんか?」
「はい、私は大丈夫ですよ。何かって何です?」
「いえ、ノーラ様がご無事なら良いのです。所でこの方は?」
「キャー、王太子殿下!?」
その時、倒れ込んでいる人を見て叫び声がした
ん?
王太子?
この人が?
「うっ…… うう」
王太子は目を覚ますと、膝枕に気が付いたのか起き上がろうとする
「君が介抱してくれたのか?」
「はい。急に倒れたので、動かしてはいけないと思い……」
寝かせたのも私だけどな
手を貸して起こしてやる
子供だから腕力は無いけどな
おっと、人が集まってきた
「ありがとう小さなレディ」
私の手を取って今度は立たせてくれた
「どういたしまして」
目立ちたくなかったのでさっさと立ち去る事にした
ノーラ様はパパさんが確保したみたいだ
「それではごきげんよう」
私は淑女の優雅な礼をして立ち去ろうとした
「待ちたまえ、小さなレディ。君の名は?」
あー、もう、人が集まってきた
「それは秘密です」
足早にその場を去る事にした
姉様の元へ戻ると、姉様は私の耳元で囁いた
「大変な事になったわね」
姉様はずっと見ていた様だ
「もう帰りましょうか? ノーラも帰るみたいだし。お披露目はすんだわ」
「はい、ノーラ様が帰るのであれば帰りましょう」
「大丈夫、■■姉様」
「そちらこそ大変だったでしょう」
「私は大丈夫だよ」
□□□
後日、王太子殿下のお触れが出た
パーティ会場で王太子殿下を介抱した少女の行方を探していると
何故?
私何かした?
あ、王太子殴ったな
これはしらばっくれとこう
ノーラ様と姉様のデビューでした
10歳だとこの時期かと
あんまり活躍とか暴れたり出来なかったw
ピコさんヘイン君、見に来ただけだしw
話の流れであんな事に




