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ろにーず いんとろだくしょん その2 『先導会』

今回も解説になります。

前回に比べて大分短めになっておりますが、正直前回がちょっと長すぎると思っていましたので、今後もこれぐらいすっきりまとめられたらいいなと考えています。



 さぁて、お久しぶりぃ~。また、わたしによる解説コーナーがやってきたよ~。

 帰れっつったって帰らないよ。好き勝手やらせてもらうからよろしくぅ。


 さて、今回は《先導会》についてお話させてもらうわ。

 本編でも何度もこの名前は出てきてるけど、結局のところ何をやってる組織なのかいまいちピンと来ない、って人もいるかもしれない。そういう人達のために、ごく簡単に説明していくよ。

 ピンと来る人は……まぁ適当にね。




    ※




 《先導会》は、最初に《因子(ファクト)》を発見した草薙 魁元教授が、発見から大体三ヶ月ぐらいで設立したんだ。《因子》が世の中に出張ってきた当時は、そりゃあ人々は『なにこれわけわからん!』、って具合に混乱したの。そうなることを事前に予測して、《因子》の研究を進めながら事前に準備していたのかもしれないね。草薙元教授――もとい、会長にしとこっか――草薙会長は、《因子》を発見したすぐ後には、務めていた大学の教授職を辞職して姿を消した、ってことだし、信憑性は高いと思うよ。


 この組織の最初の仕事は、《因子法》を作ることだった。こっちも、事前に準備はしてあったんだろうね。組織の設立とほとんど同時に国会に提出されて、あっという間に可決された。突然現れた《因子》なんてものを制御するためには、まずは法律が必要不可欠だったからね。

 これから説明することは大体、この《因子法》に基づいたもの、って考えて貰ってもいいかな。

 勿論、例外はあるけどねぇ。

 ちなみに《因子法》の中で、《先導会》は《因子》に関する最大の権限を持った機関って決められてる。


 《先導会》の第一の目的は、『《因子保有者《ファクトホルダー》》の管理と保護、権利の尊重と義務化』ね。

 そのためにまず、《保有者(ホルダー)》が所属している社会的な環境――学校やら会社やらのことね――は、その《保有者》のデータを記録し、こまめに《先導会》に報告しなきゃいけない。まずは《保有者》の総数。そしてどこで何をしているのかを把握しとかなきゃ、ってことだね。

 当然、故意に《保有者》の情報を隠したりしたら罰則の対象になっちゃう。非保有者《アン・ホルダー》が後から《保有者》だと分かった時はまた別だけどね。セーイチの場合は後者ってことになるから、葦原高の誰かのクビがぶっ飛ぶ、ってことはない。いやぁ安心安心。


 それと、《保有者》がその能力を充分に発揮するための教育や福祉などもやってるね。

 それがセーイチ達の通ってる葦原学園グループなの。

 葦原学園にもいろいろ種類があって。大学とかになると、非保有者と同じで工学系やら医学系やらが全国に配置されてる。ちなみにセーイチ達の葦原高からエレベーター式に上がる葦原大学は、法学部と経済学部があった……と思う。確か。

 あと、《保有者》専門の病院っていうのも経営されてるよ。葦原医科大学の大学病院なんてのがその代表だね。普通の人間とは違う《保有者》に対する治療は専門的な知識と技術が必要とされてるから、同じ《保有者》がこつこつ大学で勉強して医師免許をとって、面倒見てあげるってわけ。ちなみにこの医師免許も、普通の医師免許とはちょっぴり違ったりする。大体《保有者》が取得できる資格や免許は、非保有者のとは別物と考えていいと思うよ。

 前の解説コーナーでも説明したけど、《保有者》を認定するための検査とかもそこで行われてるの。


 で、次に、《保有者》の多くは海外に派遣されて仕事をすることも多い。そういう人達に対する金銭的な援助も《先導会》の仕事ね。

 勿論、日本国内でもいろんな学問に対する研究がされてる。そういうのは大体葦原学園グループの大学の中でやってるね。


 それと、先天的か、幼い頃に《保有者》になったけど、親が事故とかで亡くなってしまった子供達のための養育施設とかも運営してる。そこでも、《保有者》の保母さんが働いてるってわけ。

 《保有者》の生活っていうのは、ほとんどの場合、同じ《保有者》同士だけとの関わりが多いんだ。《保有者》の病院で生まれて、《保有者》の学校で勉強し、《保有者》ばっかりの社会へ出て、また《保有者》の病院で死ぬ。それまでずっとね。海外で働く人はまた別だろうけど。


 と、日本での《先導会》の仕事は大体こんなもんかな。

 こういう業務には多大な費用が必要だから、国家予算が回されたりしてるんだけど、実際のところ思っていたよりも額が少なかったりする。ということは、《先導会》独自の収入があるってことね。

 でも、葦原学園はむしろ《先導会》が学費を補償したりして支出が多い。《先導会》が経営してる病院も、法律に従って、他の病院と治療費は特に変わらない。

 でも、海外から入ってくるお金が馬鹿にならない額なの。《保有者》が発明した技術に対する特許料や《保有者》の収入とかを合わせれば、自分達がお仕事するだけの資金なんて簡単に手に入る、ってわけ。

 実を言うと、お金の出処はそこだけじゃなかったりする……それについては後で説明するよ。

 《保有者》の発明っていうのは、ホントに世界中から重宝されてるんだ。一体どんな発明があるのかってことについては、また次の機会に説明するね。大国 八千穂博士の“ピリグリム”もそのひとつだね。




 と、ここまでが表向きの話。

 ここからは、日本人の多くが知らない裏の事実、ってのをお話しよう。おぉ怖。

 世界で活躍している《保有者》のお仕事の中には、実は“人殺し”も含まれている。《保有者》によって構成された民間軍事会社(PMC)が、世界中に傭兵を派遣してるのよ。

 そう。平和主義国家の日本が、民間でも軍隊を持っているのはおかしい、違憲じゃないか、って考えるよね。でも実は違憲じゃないんだよ。それについてもすぐ後で説明する。

 要人の護衛やら紛争への参加、独裁国家の軍隊教育。破格の雇用料だけど、百人規模の兵士なんかよりも余程有用なもんだから、オファーがひっきりなしに来て止まらないときたもんだ。世界中の戦場で《保有者》達が暴れまわってる。勿論そこには《Aランク》もいる。もっとも、《Aランク》まで出てきたら、国一つ滅んで戦争どころじゃなくなる危険もあるから、出番はそんなにないけどね。

 でも、いろんな国が《保有者》の傭兵を雇うってことは、敵国同志でもそういうことはあり得る。でも実はそういう場合、同じPMCの傭兵同志では決して戦闘したりはしないんだ。せいぜい適当にやりあって、都合がいい時に片方が撤退したりする。兵隊として扱っても、《保有者》ってのは貴重な人材なの。戦争するのはあくまでも金稼ぎの一環、《保有者》同士の殺し合いで片方が奪われるなんてのは馬鹿げた話、ってわけさ。八百長なんだよ。でも、《保有者》の戦闘は手を抜いたって並の人間には分かるはずもないし、《保有者》でもなんでもないただの兵士なら、一回の戦闘で多ければ百人単位殺すこともあるわけだから、誰もそんなことには気づかない。

 で、当然このPMCに所属している《保有者》達も、《因子法》によって《先導会》が管理している。つまり、このPMCは《先導会》とはっきり繋がってるってわけ。さっき言ったお金の出処――《先導会》の資金源の何%かは、このPMCの収入なんだと思うよ。

 で、もうひとつ、さっきの違憲どうこうの話だけど、実は《保有者》は日本国憲法じゃなくて《因子法》が優先的に適用されるんだ。だから、《保有者》は実を言うと“日本人”ですらないの。で、《因子法》の中には『平和主義』なんて条文はない。だから、軍隊持とーが戦争しよーが関係ないってわけ。

 《先導会》と彼らが管理する《保有者》ってのは、日本とは別の“独自の国家”と言っても過言じゃないんだね。互いに共存しているとはいえ、いうなれば“同盟国”みたいなもんさ。

 で、さっき、事故とかで両親を失った《保有者》の孤児を保護する養育施設があるって話をしたけど、誰もがみんなそこに入るわけじゃない。一部には、このPMCで戦闘のための英才教育を受けて、一端の傭兵に仕立て上げられるって例もあるんだよ。《保有者》の少年兵よ。もしかしたら、その“事故”ってのも……って話ね。


 他にも、表に出ていない、っていうか出せないような危険な研究が人知れず行われてたりもしてる。具体的にどんな研究をしてるのかは、今は言わないでおくけどね。っていうかわたしだって知らないし。

 仮にもし本当に《先導会》が《因子人《ファクトリアン》》による組織なんだとしたら。連中による人間の支配の下準備ってのが、着々と進められてるのかもしれないわね。


 でも、そういう事実を、《先導会》は情報統制ですっかり隠して、一般人には分からないようにしてる。今まで説明してきたことを知ってるのは、《先導会》の中でも一握りのヤツらと、セーイチ達に《因子人》のことを教えてくれたあの人――イコールわたし達だけなの。




 《先導会》のおかげで、確かに《因子》が現れたことによる混乱は早い内に収まったし、今でも社会は安定してる。そういう意味では、連中に感謝するべき、っていうのはわたしとしても異論はない。けど、そういう慈善事業の裏にはきな臭いこともあるし、非人道的なことだってやってる。手放しで信用できる組織でないってのは確かなのよ。

 コーコーセーの手前あんまり目立ったことはできないけど、セーイチには是非とも眼を光らせていてもらいたいもんだね。




    ※




 ってことで……あれぇ? 今回は結構早めに終わった。おいなにホッとしてんだ。無駄話二時間ぐらいするぞ。

 ……まぁいいや、今回はこれだけ話そうって決めてたし、他の解説はまた今度にするね。解説ばっかりして本編がお留守にするのもあれだし、早々にお暇させていただくとしましょうかぁ。

 そんじゃねェ~ん。



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