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なーろっぱ世界の短編 婚約破棄とか聖女とかドアマットとか転生とか

裸の王様と3人の女

作者: マンムート
掲載日:2026/10/27

 


 バーで腐れ縁の友人と飲んだ。



「いいのか。お前、奥方怒らないのか?」


「ああ、あいつはよくしつけてあるからな」


「お前さ。確か、のっけから愛さないとか言ったんだっけ?」


「ああ、最初にビシッと言ってやらないとな。お前も結婚したらそうしろよ」


「……まぁ、機会があったらな。だが、奥方優秀なんだろ、お前と離れたって生きてけるだろ」


「あいつオレとは別れられない」


「ほう大した自信だな。だが白い結婚なら。確かそろそろ3年目だろ?」


「今夜だ。いままさに3年目だ」


「家に帰ったら奥方いなくなってる、なんてことになってないといいな」


「くっく、やったあとで言ったからな。白ならぬ赤い結婚さ」


「うわ」


「つまんない女だが、いろいろと仕込んでやったからな、ベッドの中でも悪くないぞ」


「……つくづく最低だなお前」


「しかもあいつのメシには、子供ができない薬もいれてる」


「それじゃあ奥方、お前の母親に責め立てられるだろう」


「ふ。子供ができないのだからな。だが、オレはそれを理由に別れる気はない。オレはあいつを庇ってやってる。子は授かりものだからとな」


「……お前、悪人だな」


「いいんだよ悪人で。オレは好きでもないが有能な女と結婚し、それを道具に家を建て直した。しかもあいつに功績は渡さずでかい顔もさせない。しっかりわからせてやってる」


「わからせてやってる、か」


「これが人をつかうという事さ。せいぜい参考にしてみたまえ」


「で、あの女とも切れてないわけだ」


「ああ、あいつは自分に子供ができれば、オレの妻になれると思っているが……アレにも子供ができない薬を、こっそりと飲ましてやってる」


「ふぅん。お前って本当に悪人だな」


「要領がいいと言ってくれよ」


「では、お前のうまくやってる人生に乾杯だ」


「乾杯」




 しばらくたってから。あいつが死んだと聞いた。


 ベッドの中で冷たくなっていたのだという。真夜中、心臓が止まったのだと。


 ふたりの女を手玉にとっていたくせに、死んだときは、ひとりだったんだと。



 葬式に出たら、喪服を着た3人の女がいた。


 あいつの母親と、奥方と、愛人だった。


 泣いていた。



 だが、オレは見た。


 棺桶の中に横たわったあいつの顔を見た時、3人ともチラと嗤ったのを。



 まぁそらそうだわな。



 奥方も愛人も、3年もやりまくって子供ができない。


 ふたりのうち誰かが調べる。


 いや母親だって、子供ができなければ調べる可能性はある。


 クスリがでてくる。


 真相がばれる。


 女3人が手を組む。


 ヤッたあと無防備な裸でベッドに寝ている男なんて、どうにでもなる。



 まぁ想像だけどな。



 その夜。


 オレはあいつと飲んでいたバーで、ふたりぶんの酒を頼んで盃をあげた。



「お前の、うまくやれなかった人生に」







たくさんの作品の中から、本作をお読みいただきありがとうございました。


最後までお付き合いいただけたこと、とても嬉しく思います。


少しでも心に残るものがあったり、何かを感じていただけたなら、


評価や感想をいただけるととても励みになります。


別の物語も書いておりますので、もしよろしければ、そちらも覗いてみてください。


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― 新着の感想 ―
母親も笑ったってことは自覚なくDVしてたんだろうな。 薬盛られた妻が一番の被害者だから、幸あれ。
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