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七つの魔眼と王殺しの少年  作者: 盛盛鹿尾菜
一章 侵略と決意

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009 覚醒


月光に照らされた森で、インテリオの触手と俺の剣がぶつかり合う。


ズバァッ!!


飛び散る赤黒い霧。

インテリオの巨腕が裂け、森の地面に深い溝が走る。


「くっ……! この力……さっきまでと明らかに……!」

インテリオが息を荒げる。


俺の体は――熱かった。

皮膚の下で何かが脈打ち、胸の奥の“何か”がドクンドクンと暴れ続けている。


視界が赤く滲む。


(また……来る……!)


カッ!!


瞳の奥が燃え、赤く発光する。

それに呼応するように、体から淡い光が漏れ、髪がふわりと逆立った。


インテリオの目が細くなる。


「その光……その反応……一体なんだというのだ……!?」


「知らねぇよ……そんなの!!」


叫びとともに地面を蹴り出す。


瞬間、視界が伸びた。


(速い……!?)


インテリオの巨体が、まるでスローモーションだった。


「なッ……!」


剣を横薙ぎに振る。


シュバッ!!


“斬撃”が飛んだ。


空気を裂く刃が弧を描き、インテリオの脇腹を切り裂く。


「ぎゃあああっ!!?」


巨体がよろめき、木々が根こそぎ倒れる。


(飛んだ……! 俺の斬撃が……)


自分自身が信じられず、呼吸が荒くなる。


震える手。

湧き上がるのは喜びではなく――恐怖に近い何か。


(これが……俺の力……?)


インテリオが血を吐きながら叫ぶ。


「アニス君……あなた……! その力……どこで……!!」


「知らねぇって言っただろ!!」


再び飛び込む。


触手が襲いかかるが――


全部、見える。

全部、避けられる。

全部、斬れる。


ズバッ! バキッ! シュン!


「がっ……! ぐああああっ!!」


触手が次々に千切れ、地面へ落ちる。


「馬鹿な……!

私が喰らい続けた数百のイデアが……

ただの少年一人に……!」


違う、と気づいていた。


(“ただの少年”じゃ……もうない……)


体を満たす光は、確かに俺のものではない“何か”だ。


だが――理由などどうでもよかった。


「ティオルを……守るためだッ!!」


三重の斬撃が飛ぶ。


ドシュッ!!


インテリオの胴を深々と切り裂き、巨体が地面へ叩きつけられる。


「が……はっ……!!

こ、こんなはず……私は……完成するはず……だったのに……!」


痙攣しながら、インテリオの体が崩れていく。


静寂。

月光だけが冷たく森を照らしていた。


――呼吸が乱れる。


視界が揺れる。


(やばい……体が……重い……)


さっきまで溢れていた力が、急激に萎んでいく。


ドクン……ドクン……ドクン……


胸の奥の光が弱まる。


(このままじゃ……)


そのとき、倒れたままのインテリオが弱々しく笑った。


「ふ……君の……その力は……

君自身を壊す……“毒”だ……」


「……うるせぇ……」


「魔眼ですらない……逸脱したその力……きっと……後悔する……」


その言葉を最後に、インテリオの体は黒い霧となり消えた。


残ったのは俺と、眠り続けるティオルだけ。


「……ティオル……お前……無事で……よかった……」


声を出すのも苦しい。

体がふらつき、視界が二重に揺れる。


(……やばい……意識が……)


ティオルの寝顔がぼやける。


地面に倒れながら、温もりだけを感じた。


(守れた……よな……?)


その問いを胸に――意識は、暗闇へ落ちていった。


――そして。


◇ ◇ ◇


(……これは……夢か?)


真っ暗な空間に浮かぶ“映像”が、俺の頭に流れ込んでくる。


大きな木の下で、赤い実が一つ揺れている。

それを誰かが笑いながら手を伸ばしている。


天空に浮かぶ巨大な門――白い石造りの、見たこともない門。

また暗闇の中で聳え立つ、巨大な門。

(これは……?)


そして、空を飛ぶような視点。

雲の上から、果てまで広がる世界を見渡している。


(なんだ……これ……?

俺は……こんなの……知らない……はずなのに……)


映像は途切れ途切れで、まるで誰かの記憶を盗み見ているようだった。


胸の奥が再びドクンと鳴る。


(これは……誰の……)


問いかけが終わる前に、夢は音もなく崩れ落ちていった。



みなさん、応援よろしくお願いします!

いつも読んでいただきありがとうございます!!

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